伊賀上野駅
伊賀鉄道に乗車体験
三重県の伊賀地方、伊賀上野を訪れた。
伊賀上野駅までは自宅から車で1時間あまりで来て、駅前の市営駐車場(1日500円)に停めて伊賀鉄道に乗る。
伊賀上野駅1番線の伊賀鉄道
改札を通り抜け1番乗り場を目指すと電車が止まっている。
JR関西本線と接続駅しているが専用の改札はない。
これに乗り三つ目の駅「上野市」を目指す。
車内の様子
ロングシートとクロスシートが組み合わさっているがクロスシーとの方は向きを変えられない。
ガタンゴトンと進んで旅情緒。数分間の旅である。
伊賀盆地を流れる服部川(奥が下流方向
上野市駅前の広場
駅に着いた。「忍者市駅」と改名されいている。
鉄道は城と城下町との間を横切り、駅前広場からは小高い山のお城を望める。
駅前の広場はゆったりと広くて豊かさを感じる。
電線も地中化されて景観もいい。
平成初め頃までは商店にも活気があったのではと思わせるような雰囲気。
武家屋敷
目的地は武家屋敷で開かれていたアート展だった。
昨年12月にふき替えられたというかやぶき屋根が散髪したてのうなじのようにシャープだった。
室内に展示された作品
床の間の絵画
平成の初め頃までは家の人が住んでいたという武家屋敷は築200年との説明。
伊賀地方を拠点にする気鋭画家らの絵画や立体作品は見事で満足した。
不思議な天井画(これは展示作品ではない)
盆地の水の出口を見る
さてここまでは、乗り鉄アート旅であったが、正午には伊賀上野駅に戻り、車に乗った。
伊賀盆地の北側の山並み。向こうは滋賀県だ
平らな盆地の向こうに、高さが一様な山並みが連なっている。
洪水から市街地を守る水門
まるで中国の城の楼門のような重厚な水門だ。
門より手前側が遊水地で、洪水の際はゲートを下げて遮断する仕組みとなっている。
トンネルの向こうには伊賀鉄道の踏切が見える。
土手から見た城
土手から南側を眺めると城山が見える。
城山の向こうに城下町がある。
城下町は城山よりは低いが台地の上にあり、周囲の田んぼは低い土地となっている。
川が氾濫すれば水浸しになるのだろう。
盆地出口の渓谷
岩倉峡
盆地の西端に「岩倉」という集落があり、ここで服部川は木津川と合流。
そこから先はさらに水量を増し、保津峡のような渓谷の景色となった。
これが岩倉峡という。
川の合流地点の岩
しばらく進むと川の合流地点となり広い場所があった。
駐車場から河原に下りることができた。
水流で削られた岩
花崗岩が水の流れで丸く削られ、甌穴(おうけつ)などができている。
印象的な岩
川中に突き出た印象的な形の岩がある。
川の流れが増えたら、川中島のような景色になるのではないか。
渓谷の景色
渓谷の景色は、流れは激しすぎず悠然として、ところどころで滝状に落ち込んで水音を発し趣があった。
ただ、水の透明度は低い。分厚い粘土層である古琵琶湖層が分布する伊賀盆地を流れてくるせいか。
上の写真のようなアングルで写すとわからないが、透明度はせいぜい2メートルくらい。
生活排水の影響もどれだけあるかはわからないが、もっと水が澄んでいればと惜しい気持ちに。
澄んだ水の流れ込み
上流の補陀洛寺跡
ふと流れ込みを見ると、水が澄んでいる。
北側の山麓から流れ込んでくる水で、こちらは透明度が高かった。
この川筋の数キロ上流に「補陀落寺跡」というものがあり、気になったので行ってみることにした。
鉄橋を渡る関西本線の列車
「宮谷川」をさかのぼること約500メートルで「湯蓋」集落に出る。
関西本線の鉄橋を列車が通過。
那智川
昭和三十年竣工の橋にはなぜか「那智川」とある。
補陀洛寺跡はここから7、8キロ上流の山峡にある模様。
丸々とした防火用水の金魚たち
坂道を振り返る。伊賀盆地が山林の向こうに
滋賀県の信楽を結ぶ新たな峠道「伊賀コリドールルート」を登り、坂の途中に車を停める。
「天吹山の霊泉」「補陀落滝」とあったが、あまり見映えがせず省略。
地蔵や五輪塔
滝の近くに、地蔵や五輪塔をまつる小堂があった。
昭和28年の山津波で流されたものを集めたという。
補陀洛寺跡への道
さて、補陀洛寺跡はどこかとまごついていたが、先ほどの小堂から300メートル進むと、おかっぱ頭の後頭部をみせる人物が右手で「80m」と指し示す不気味な看板があった。
石垣の跡
林道を入ると右側に、山の斜面をテラス状に切り開いた2段の平たい場所と、石垣の跡が見える。
ここに寺があったようだが、そんなに大きな規模ではない。
寺の説明看板
そこに説明看板がある。
ここに説明がある高倉神社とはこの地点から約2キロ川の下流にある神社。
補陀落寺跡は説明によれば、熊野信仰が強まった鎌倉時代には存在し、16世紀末まではあったようだ。その間300〜400年間くらいか。
街道からの道案内の石標がたてられていたというから、そこそこ参詣者が訪れていたのか。
補陀落といえば紀伊半島の那智の滝から川を下って、海の彼方にあるという補陀落に赴く「補陀落渡海」を思い浮かべるが、この伊賀地方の補陀洛寺では、先ほど見た合流地地点の岩が、何か補陀落をイメージさせたのかもしれないと勝手に思ったりした。
水上池
補陀洛寺跡から先の急坂を上りきると「水上池」があった。
シカに遭遇。山の上にも、仙境のような水辺が広がっていた。
乗り鉄アート旅から始まって、午後の時間は一転して山中の補陀落巡りとなった。