2026年02月08日

貝殻を訪ねて2026

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大泊海岸(2月4日午後)

貝拾いの「貝殻を訪ねて」シリーズで記事を書くのは実に6年ぶりとなった。
立春の2月4日、紀伊半島の熊野市や御浜町を訪れ、せっかく来たのでと、熊野市から鬼ケ城をはさんだ北側の内湾になった大泊に立ち寄る。
幅300メートルほどの弧状の浜で、細砂に打ち寄せる波が滑らかだ。

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砂浜に打ち上げられた貝殻

砂の上には、それほど多くはないが貝が打ち上げられているのが見られた。
これはナミノコガイだ。

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タカラガイだ

南の海に行くほど種類が増えるというタカラガイも落ちていた。
これは日本海側でも見られるカモンダカラだが、日本海で落ちているやつはたいていもっと小さいので、サイズの大きさに南方の海の気配を私は感じた。
浜の南半分は、先行のビーチコーマーが箒で砂の表面を掃いて持ち去っていた。
30分ほど貝拾いしただろうか。

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拾った主な貝

集まったのは上の写真のようだった。
二枚貝では、二枚ひっついた新鮮な状態のやつが比較的多かった。

サア持ち帰ってから、これは何貝なのかと、図鑑をみてみるが、必ずしもすぐ判るわけではない。
手元にある図鑑は、「標準原色図鑑全集3 貝」(保育社刊、1967年)。
これに載っているのは2000種類くらいだ。
しかし現在、日本でみられる貝は1万種類以上といわれている。
図鑑にない貝の種類が多いが、本州の浜でぱっと拾える貝くらいは、この図鑑で網羅されていると思われる。むしろ、浜に落ちている貝はすり減っていたり模様が消えたりして、生きていた時と見た目が変わっていることが大きい。
さらに、個体によって変異が大きいことも、わかりにくくなっている原因だ。

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これは何貝か

この二枚貝は何貝なのか?
こんなでっかい貝ならば、図鑑にはまず載っているはずだ。

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ワスレガイ(7番)

図鑑では、いちばん近いのがワスレガイに見えた。
説明では「殻のふくらみが弱い」「重厚堅固」とあり、そこは合致。
「折線模様がある」は、殻がすり減っており確認できず。

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貝類図鑑の記述

いっぽう「肉量は少なく、しかも肉が堅いのでうまくない。しかし、食べて食べられないことはない。」と、食味について低く評価しながら擁護しているようなトリビアも。
だが貝殻を拾ったので身はないし、知りたいのはワスレガイであるかどうかの決め手になる特徴だ。

結局、インターネットで「ワスレガイ」と検索したところ、拾ったやつとほぼ同じ色形のものが出てきたので、ワスレガイだと自分の中で判定した。
まず図鑑で調べてからネットで検索すればわかりやすかった。
ただネットの情報も必ずしも正しいとは限らず、明らかに違うやつも含まれているので、大多数が同じ内容を示していればそれを判定材料とした。

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白くて殻頂が紫色の二枚貝

ではこの二枚貝は何貝か。
小さい左側のほうは、大きい右側のほうの殻頂付近が残ったもので同じ種類と思われる。
これも検索したら「アリソガイ(有磯貝)」というのに似ていた。

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アリソガイ(20番)

図鑑でアリソガイを見ると、茶色い薄皮に覆われていて印象がずいぶん違う。
よく見ると大きさや形、皮がない部分の色つやはよく似ている。
だがこれでは図鑑を見てもわからなかったはずである。
図鑑のは、あまり美しい感じがしなかったのだが、浜で拾ったやつのほうが、表面がつるつるして美しく感じられた。

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ハマグリ

これらは食用として有名な「ハマグリ」だろう。
しかし左下の1枚は、ほかのやつに比べて丸っぽい。
ハマグリの模様は変異が大きく、このような模様のやつもネットでは紹介されている。
でも、この丸っぽい形については、紹介例が見つからず不明だった。
ハマグリの中にはこういう丸っぽいやつもいるのか、あるいは別種なのか、もやもやが残る。

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ハザクラガイ(左)、ナミノコガイ

ハザクラガイは、手元の図鑑では図版がなく「オチバガイ」のところに「まだらの模様がある」と一行記述があるだけだった。
ナミノコガイは「変異が多い」とだけ書かれており、模様のない個体が掲示されていた図版とは大きく違っていた。
これらはネットによって「これに違いない」と思えたのである。

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白い不定形の二枚貝

白い不定形の二枚貝もいくつか落ちていた。さてこれが何貝なのか。現状、「エガイ」の茶色い殻皮が取れて白くなったものかという気がするが、エガイについてはネットでもあまり掲載がなくてよくわからない。簡単に拾えるので、まず図鑑に載っているはずである。殻がすり減っている割に、二枚の殻をつなぐじん帯が切れていないので、この部分がよほど強力にできているか、もともとすり減ったような殻をしているのかもしれない。生息場所はおそらく、拾った場所からそんなに離れていないと思われる。図鑑が示す「潮間帯の岩礫地」を探れば生きたやつが得られるかもしれない。



posted by 進 敏朗 at 11:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月18日

貝石山と波打ち際

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柳谷の貝石山遠望(午前11時半ごろ)

山の中に貝の化石を見る

三重県津市の中心部から東に約10キロの山あいに、「貝石山」があるという。
「貝石山」とは、貝の化石が見られる露頭の古い呼び方のようであった。
江戸時代、貝の化石は「貝石」と呼ばれたそうで、近江の草津にいた「石の長者」こと木内石亭のコレクションにも貝石がある。
「貝石山」は、ひとつ山を越えた榊原温泉にもあるというが、今回は滋賀県から近いという理由で柳谷の貝石山を訪れた。

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貝石山の説明

伊賀街道の長いトンネルを抜けて到着。
現場は狭いので、集落入り口の道がひろくなった場所に車を止めて少しだけ歩く。
さっそく説明の看板がある。

貝がみられる地層は約1700万年前。一志層群と呼ばれる堆積層で、1850万年前〜1400万年前ごろにかけて堆積したとある。
現場の海抜は約130メートル。

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貝石山の現場

看板のすぐ左横が貝石山。
ひさし状になった岩の天井部分に貝の化石が露出している。

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貝の化石

見ると貝が群集しているのがわかった。すごい密度だ。
何の貝なのかは所々で二枚貝や巻貝の形があるが、だいたいの形までしか判別できなかった。
そうすると急に、興味が薄れてくるのを感じてしまう。
粘りが足りないのではないか。

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ツノガイ(中央)がある

ツノガイが存在感

その中で、ツノガイは象牙のような形をしているので判別しやすかった。
何ツノガイまでは分からないわけだが、このツノガイが、この場所の化石の中ではけっこうな個体数がみられた。

ツノガイは巻貝でも二枚貝でもなく、堀足綱(くっそくこう)という独自のグループに分類されている。
ツノガイの殻の構造は、角というよりは両側に穴があるパイプ状で、太いほうからは足が出て、反対側には肛門がある。足は伸び縮みして、砂や泥を掘り底にもぐってすごす。微小な珪藻とか泥底の有機物とかを食べるという。その生態は二枚貝に似ているが、頭糸という触手状の器官でエサをとらえるのが独特で、口の中には舌に付いたやすりのような歯「歯舌」があり、頭糸から口へと運ばれた餌ををこすり取って食べる。
歯舌は巻貝にもあるが二枚貝にはない。「二枚貝」「巻貝」という二大メジャー貝類の間で、どちらにも似ているようで似ていないというか。希少というほどでもないがそんなに繁栄もしていない。目立たないニッチな貝類といえるだろう。

だがこうやって貝石山の中で、ツノガイも他の貝と勢力を争うかのように存在している。マイナーだが、幾たびかの大絶滅も乗り越えて現在も存続しているところを見るとしぶとさもあるのだろう。
私もこれまであまりツノガイに注意を払ったことがなかったので興味を惹かれた。

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美里ふるさと資料館

深海産貝の化石も

とまあ、しばし見学したあと、車で7分くらいの美里ふるさと資料館(入館無料)で、掘り出された化石が展示されているのを見に行く。

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川底から掘り出された貝化石

展示されていたのは柳谷川の川底から掘り出された岩だという。

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岩の表面

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ホタテガイの仲間らしき貝

こちらの岩は、砂泥が固まってできた滑らかな表面に、白色の貝類化石が散らばっている。
先ほどの貝石山では、天井を見上げる姿勢で観察を続けていたが、だんだんと首が疲れた。こちらは至近距離で観察できてがぜん見やすい。現場近くにこうした見学施設があるのは大変ありがたい。
ところで、説明によるとこの化石を含んだ岩は2500万年前とあり、最初に見た貝石山より800万年古いことになる。
だが説明では「貝石山化石層と連続する」とあり、先に見た一志層群の時代と合わないのがじゃっかん気になる。
一帯から発見された化石は貝類のほか、サメやクジラ、アザラシといった脊椎動物の骨が混じり、けっこう幅広い。

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展示されている岩などについての説明

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見つかった化石の説明など

水深数十メートルより深いところにいるヒタチオビガイの仲間が見つかるということが気になった。ヒタチオビガイは、形や色が見栄えがするので貝類ファンに人気があると聞くが、深い海にいるせいか私は浜で拾ったことはない。
この化石が堆積した環境はどういう場所だったのか。

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御殿場浜海岸(午後3時ごろ)

貝打ち寄せる現在の浜と比較

このあと、津市の御殿場浜へ向かった。

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貝が打ち寄せられる波打ち際

波打ち際には多量の貝が打ち寄せられるが、よく見ると、何もない砂だけの部分と、貝がびっしりと集まる部分とがある。
先に見た貝の化石がびっしりと詰まった場所も、このようにしてつくられたのではと思っていた。
だからあのような「貝石山」は、その時代の海岸線近くだったと類推されうる。
だがしかし、それだと、貝石山で見つかる貝は浅場にいるやつ限定となるのではないか。

例えばサメやクジラとかの脊椎動物は、死体が浮遊して打ち寄せられることはあるだろう。
だが深海の貝類が波打ち際まで運ばれてくる現象はあまりイメージがわかない。
あるいは干潟でなくても、水深があっても海流など波以外の要因で貝や動物の骨が集まりやすい場所ができるのか? あるいは大地震による海底の崩れや、津波によって深海のものが打ち寄せられるなど、特殊な要因もあるのか。またまた問いかけで終わってしまうのだが、なぞは尽きない。

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拾った貝

新鮮な貝殻が少ない

最後に、拾った主な貝を並べてみた。
ツノガイが落ちていないか探したが見つからなかった。
右下の細長い貝ふたつはツノガイではなく、二枚貝のマテガイだ。
アサリも少ない。
かろうじて拾ったアサリの殻が左側列の4個で、実際に浜に落ちている比率は少ない。潮干狩りも近年はきわめて低調と聞く。
全般に、浜に落ちている貝殻は死んで数年はたったような色褪せたものがほとんどで、色つやが鮮やかな貝殻や、若い貝殻の比率が少なかった。
ムラサキガイ(右から2列目の楕円形の大きな貝)は殻を覆う茶色い皮がしっかり付いており、死後間もない感じで、この貝は増えているんじゃないかと思われたが、アサリやハマグリがどうにかして増えてほしいものである。また潮干狩りをしてみたい。

posted by 進 敏朗 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月15日

海浜の鴨

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海が見える

三重県鈴鹿市の鼓ケ浦に着いた。
滋賀県南部から国道1号を東進、鈴鹿峠を越え、近い海岸を目指すと行き当たる。
滋賀・三重を隔てる鈴鹿峠のトンネルを抜けて約40分。

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海岸への階段

風はほとんどなく温暖な午後。浜を散歩するにはちょうどよい。
2月も中盤となり、午後を回ってもすぐに日が陰らなくなった。
もう春はすぐそこだと感じられる。立春は過ぎたのですが。

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浜に出る

広い浜の先に波穏やかな海が広がる。

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まっすぐな海岸線

本日は大潮で昼頃が干潮だったので潮が満ち始めているところ。
何年か途絶えていた貝拾いをしてみた。

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引いていく潮が形作る模様

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落ちている貝

アサリやバカガイ、サルボウガイといった、潮干狩りでおなじみの貝が多い。
緑色をしたイガイがいくつも落ちていて、色がきれいだったのでいくつか拾った。
帰ってから調べると、それは外来種のミドリイガイという貝で、国立環境研究所の侵入生物データベースに記載があった。
原産地はインド洋や西太平洋の熱帯域で、水温が高い海を好むようだ。
「水温8度以下で100パーセント死亡」とあるが、伊勢湾ではどうなのか。

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拾った貝。右上の8個がミドリイガイ(16日撮影)

気づけば貝拾いは2020年を最後に途絶えていた。
継続してやっていると、いろいろ変化にも気づけるかもしれない。

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満ち始めた浜

だんだんと潮が満ち始めている。

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鳥の群れ。浜にいるのは鴨で、飛んでいるのはカワウとみられる

浜を右手に進むと波打ち際に黒い丸石のような集合体があり、近づくとそれは鳥の群れだった。
さらに双眼鏡で確認すると鴨だった。
姿をカメラに収めたいが望遠レンズがないので上の写真が精いっぱい。
じりじりと接近を試みるが、20メートルほどの間隔を保ち鴨も歩き去っていく。

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双眼鏡

一計を案じ、カメラのレンズに双眼鏡を接着させて画像の拡大を図ることにした。
この方法で、湖北の山本山でオオワシを撮った実績もある(2015年12月23日「西野水道(上)」参照)。

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カメラ&双眼鏡でズーム成功

試行錯誤したのち、望遠撮影に成功した。
鴨はスズガモという、海浜にみられる種類のようであった。
警戒されているのでこちらに尻を向けている。
先日の米原市の三島池では、餌付けされた鴨が人に近づいてきた(1月27日「三島池」参照)。それとは対照的な姿だ。
だがこれが本来の野生動物の姿であろう。

posted by 進 敏朗 at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月05日

西宮貝類館

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西宮貝類館

兵庫県の西宮貝類館に初めて行った。
国内外の貝類2000種類を展示する施設ということで、貝類ファン必見の施設ではないだろうか。
以前から訪れてみたいと思っていたが、場所が駅から離れた埋立地にあり、躊躇していたが、早春のこの日に車で行ってみた。
無料の駐車場が3台分あり、日曜日でも停めることができた。
建物は貝類をイメージしているのか、二枚貝の水管、または巻貝の殻口を思わせる回廊に吸い込まれるように入った脇に入り口があった。
安藤忠雄設計で、阪神大震災から4年後の建立だ。

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入口の展示

玄関の展示は大規模で迫力があった。
世界の貝類を一目で見れるように展示してあった。

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貝拾いも(持ち帰ってはいけない)

台の上は貝類が散りばめてあって手に取ることができる。
貝殻でできた浜のようだ。来館者の子どもが夢中になって遊んでいる。これはいいぞ。

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ピンクガイ

大きいやつもあるぞ。ピンクガイは、巨大なつやつやした唇のようで、ずっしり重い。

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頭足類であるアオイガイ

頭足類のアオイガイも。これは、殻のあるタコイカ類である。
昔、幼少時に鳥取県の母方の祖父母の家に飾られていた。
3〜4歳の頃、古い家屋の薄暗い部屋の中、棚のガラスごしに白い殻が浮かび上がっている映像が断片的に頭の中に残っている。
その数年後、小学校の高学年となって貝拾いに目覚め、海辺の祖母の家に貝拾いを目的として通うようになった。あの飾ってあった殻はどこにしまってあるの、と祖母に尋ねたら「家を新しくしたときに割れちゃって捨てた」と明かされ、がっかりしたことを思い出す。
浜で打ち上げられていたのを拾って来たものだというが、あれから約40年、浜辺をうろうろしているが、いまだにアオイガイの殻を見つけたことはない。

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採取地が記載された標本箱

館に展示の貝類、採取地はフィリピンが多かった。
国内では沖縄か、本州では潮岬の周辺。
やはり貝は、南洋に行くほど色・形が派手になっていく。
北は北で、北方産貝類の美しさの基準があるとは思うのだが、どうしても南方の浜で貝拾いをしたほうが楽しいような気がする。
そういうわけで貝拾いが自分の楽しみになるとともに、南方の浜へのあこがれを抱くようになった。
いつかヒマになったら日数をかけて鹿児島の大隅・薩摩半島とか、浜が広そうな種子島とかの海岸を数日かけて回って誰にも邪魔されず貝拾いに没頭したい。このようなことを思って忙しい日々の慰めにしていたものである。
ここ数年は中断しているが、冬場の恒例となっていた貝拾い活動では、在住の滋賀県から主に伊勢方面を目指し、志摩からさらに南方に進み、ある年には三重県境を越えて和歌山県の新宮まで至ったが、展示を見る限り貝類採集はやはり、潮岬にとどめを刺すようだった。
潮岬まではさすがに遠く、滋賀からは泊りがけで行くことが求められるが、いつかは目指してみたい本州最南端の貝の「聖地」。

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角が生えた二枚貝も

世界の珍奇な貝類もあり、生物の不思議をいろいろと思う。

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螺鈿フィッシュ

アワビなどの殻の内側の光沢を板状に薄く剥いだものを張り合わせる螺鈿細工も、私が好きな工芸だ。
これは螺鈿で魚を形作った工作だった。
堀江謙一さんのヨットも展示されている。大洋の荒波に耐える堅牢な室内は、巨大な貝殻を思わせた。

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貝殻が並ぶ内部

貝に魅せられた関西の研究者やコレクターによってつくられたコレクション。
カンブリア紀の生物爆発のように、1990年代日本では全国各地で博物館の爆発的な開館ラッシュがあった。ここ兵庫では、阪神大震災の復興事業が取り組まれ、貝類の殿堂が誕生した。
貝殻は、中の軟体動物が分泌した骨のようなものだが、コレクターにとって興味があるのは貝殻で、中の軟体は余分なものとして忘れられる。ビックリマンチョコとシールの関係に例えられようか。
貝を採取するとき、貝殻の真の形・色の鮮度を得たいと思えば、生きた状態で捕獲し、中の肉を煮るなりして殺して取り出すのが本筋だとは思うのだが、生きている貝を殺すにはしのびず、また、浜辺に漂着したのを拾うほうが、生きていたものが死んで海によって浄化され、純粋な「貝殻」となっているような気がする。
静かな館内にしばし時間を忘れて見入った。



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2020年02月09日

貝殻を訪ねて2020

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南伊勢の海浜(午前10時半ごろ)

異例の温かさだったこの冬にとつぜんの積雪。
水辺活動オフシーズンである冬期の貝拾い、立春もすぎたこの日、行ってみようかなと思って朝起きたら、滋賀県南部は雪に覆われていた。
峠はどうなっているのか危ぶまれもしたが、三重県側は晴れという予報。気温は0度よりいくぶん高いためか路面の雪も解けていた。


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滋賀県南部、突然の積雪(午前7時半ごろ)

ただ行ってみると、降雪ゾーンは県境をこえても終わらず津あたりまで銀世界で、松阪付近からようやく黒や緑色の田園がひろがってきた。
出発から約3時間後、南伊勢の南張浜では冒頭の写真のような青空だったが雲も浮かぶ。

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堤防から浜を見下ろす

風はかなり強く、沖合には冬の筋状の雲も見える。
浜の北西側は山地で、北西風には強い地形かと思ったが、強烈な季節風は海へと回り込んで吹き込み、山の配置など関係ないようだった。

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ぼつぼつと落ちている

浜の中央部には貝がまったく落ちてない。
波打ち際に向かって右側に進むと、貝殻が打ち上げられているところが少しだけあって、そこには、南洋にいくほど種類が多いといわれる、タカラガイがよく見られた。
さすがは、黒潮洗う三重県の外海。この浜に落ちていたなかで、タカラガイがいちばん多いんじゃないかというくらいだったのでつい夢中になって拾った。

しかし波にもまれてしまったのか、つやがなかったり欠けたりというやつが大半。
もうちょっと薄い貝とか、微小なやつとか、そんなのが落ちてないか砂や小石の間を注意深くみたが、ある程度の大きさのやつがまばらに落ちているだけだった。

冷たい突風も吹き荒れ、鼻水が出てくるので、頭のフードを二重に。
手も冷たいし、晴れているといっても冬の荒れた天気だった。

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層状の岩や、小石が広がる浜

さらに南の浜に行く。
「密漁禁止」の看板が立つが、貝殻拾いなのでそこは大丈夫。
一様に黒っぽい小石が広がる浜には、どういうわけか、サザエ、アワビ、ヒオウギといった、大きな食用貝の殻だけが落ちている。
これは海女さんらが漁で採ったやつなのではないか。
食用以外の貝はほとんど落ちていない。

そんななか、打ち上げられた海藻とともに、すり減っているがイモガイ発見。
これも南洋に多く産する貝で、黒潮の浜だなあと南洋ムードを味わう。
アオリイカ釣りのまだ使えそうな餌木もゲットした。
根掛かりしたやつが、海藻ごと浜に打ち上げられたようだ。

とにかく寒かったので早々に退散。

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拾った貝

並べてみると、あんがいたくさん拾ったことに気づく。
タカラガイ(右上に並べた楕円形の貝)はみなおなじように見えるが、内側の歯や模様の違いからみると、ハナマルユキ、クロダカラ、チャイロキヌタ、メダカラなど数種類あるようだ。

また、右下のあたりは、南張浜に流れ込む南張川河口の干潟で拾ったもの。
ウミニナの仲間(右側上から5列目の細長い巻貝)も、よくみるといろいろな形、模様があって数種類あるものとみられる。

イモガイ(左端真ん中の逆三角形の貝)は、模様からベッコウイモガイではないかと思う。

もうちょっとまじめに拾っとけばよかったのかもしれないが、そこにあったやつを一様にひろった結果が上のような感じだったとしたら、そこの海における貝のありようを素直に反映している部分もあるのかもしれない。
もしかすると、浜の形状、傾き、波の強さ、砂粒の大きさ等で、打ち上げられやすい貝とそうでないやつがあって、たまたま浜に上がりやすいのがタカラガイだったのかもしれない。どうなのだろう。

太平洋側、晴れてるといっても、風のきつい日は、浜を歩くのも大変なので、これからは貝拾いにでかけるとき、風の強さにもう少し注意しておこうと思った。

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びん詰め

空き瓶となっていた菓子のガラスびんをふたつ、子どもからもらった。
大きさ別に、分けて入れてみたら見やすくなった。
貝のびん詰め、入れすぎないことがこつか。
しかし小さなびんに小分けすると、たちまち置き場所がなくなってしまうだろう。困ったものだ。

posted by 進 敏朗 at 00:00| Comment(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする