2020年08月16日

石田川と猿

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石田川の流れ(午後1時半ごろ)

湖西の川、友人S氏と石田川の清流に行く。
7月末の梅雨明けから2週間以上も日照り続きというのに、美しい水が豊富に流れる魅惑の渓流。
福井県境に源流があり、森が深いのだろう。
これは漁獲も期待できそうだ。


この日、京都の最高気温が37.8度。大津は36.3度の猛暑日。
しかし湖西の高島市今津では33.8度とそこまで高温にならない。琵琶湖岸で大津と海抜は変わらないけど、湖西の高島は涼しい。
背後に山があり、緑が多いせいだろうか。
現場はその今津から川をさかのぼった地点で、着いたのが午後1時すぎの暑いさかりだったが、しんどさを感じることもない。最高気温は30度そこそこだったのではないだろうか。
川は冷たいとまではいえないが、それでも野洲川中流のようなぬるさは感じない。
各所で、森から本流への流れ込みがある。その水はひんやりとして水温はおそらく20度そこそこといった感じで、気持ちがよかった。
本流よりも水面が高い、冷たい流れ込みの水たまりに鮎の群れが見られた。どれも細くて小さい。

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猿も涼む

猿もいて、川べりの木の上で涼んでいたり、上の写真のように、川の中を歩いているやつもいる。
猿も川べりが涼しいのだろう。こないだもこの川で猿を見た。
自然豊かな石田川よ。

しかし、我々の目的は猿ではなく、鮎だった。
8月もなかば、滋賀県内の川や琵琶湖での投網が許される期間(漁協管理区域除く)があと数日となった。
清流で育った鮎が大きくなっているのではないかとの想定で、水の豊かな湖西にやってきた。
この清らかな流れなら、期待できるのではないかと思ったのだったが、案外と捕れるやつはそれほどの大きさはなくて、どれも魚体が細い。

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水はきれいだ

鮎釣りのおじさんがおり、情報交換。おじさんの釣果は、大きいやつでも17センチという。
もっと早い時期にはより大きなのもいたとか。

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細い鮎たち

川から上がったらもう4時半。夏至から2か月近くが過ぎ、だんだんと短くなる日が傾きかけている。
いい年の男2人が時間を忘れての川遊び。
ノンアルコールビールをS氏からいただき、着替えてぐっと飲み干す。
筆者は魚のサイズが不十分だとこぼしたが、友人Sは、水がきれいだったので良かったと言っていた。
たしかに、酷暑の京都で昼間をすごすのとは大違いの環境だ。

捕れた鮎はどれもほっそりしており最長寸が16センチ。
これだと、6月の犬上川で捕れた同寸のやつのほうが肉付きがよかった。
筆者の事前の想定では、鮎は川のコケを食べ、初秋の産卵期に向けて日に日に大きくなるので、8月の遅い時期ほど大きいやつが捕れるという図を思い描いていたが、じっさいに県内の各川で魚を捕ってみたところ6月下旬や7月のほうが魚体が立派で丸々としており、8月初旬の野洲川を除けば、むしろ細くて身が少ないような鮎しか捕れなかった。

これはどういう現象なのだろう。
石田川の流速が早いので、流れに負けないよう泳いでいるうちに、どれも魚体が細くなるのか。あるいは縄張りを勝ち取り立派に育ったやつは友釣りで捕りつくされてしまい、じゅうぶんに育てず劣位におかれた魚だけが川に残存していたのか。

もし前者の理由なら、川の流れが速めのところでは必然的に魚体は細くなってしまうが、後者の理由なら、どこか釣り人が立ち寄りにくいフロンティアもあるのかもしれない。ふたつの理由を考えたが、実際にはどうなのかわからない。経験が不足している。
未解決な答えを残しながら、今年の投網シーズンはもやもやと終わりを迎えようとしていた。
この疑問はつぎのシーズンに持ち越されることとなったが、そこまで根を詰めて解答を得ようとするかはわからない。
なにせ、憩いの川漁だから。。。


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2020年08月07日

姉川の中流

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伊吹山を背後にのぞむ姉川の流れ(午後2時半ごろ)

猛暑のなか姉川を訪れた。
滋賀最高峰の伊吹山(1377メートル)が背後にそびえて雄大な景色。
豊富な流れに、友釣りの人が竿を出している。
最近、薄濁りの野洲川を見ただけに、同じ県内の川かと思うくらい水が澄んでいて冷たさもある。

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姉川の鮎

魚がたくさんいるだろうと思ったが、網を打つと意外と1匹だけ入った。
スマートなかたちの鮎だ。
友釣りの人を見ると、ちょうど釣り上げたところで、魚はいなくはないみたい。
しかし、網にはあまり入らず、流れが速くて網が流され、尖った石に引っ掛かり小破も食らう羽目に。

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白い石灰岩が多い河原。さすが伊吹山のふもと


網が流されないような緩い場所を探そうと下流に移った。

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よさげな瀬だが

網を打ったらよさそうに見える瀬がある。
たくさん捕れる湖東の犬上川よりも川幅が広くて水量もある。

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細い鮎

たぶん微笑みを浮かべて網を投げた。
しかし何回やっても、魚の形をしたものが入らない。
そうであったか、、、とついに得心する。

この日、訪れたのは中流の、河口から10キロ以上の地点。
姉川では河口付近と、数キロさかのぼった地点の2カ所で定置漁法「やな」が設置されている。今回訪れたのはそれらより上流で、漁協管轄区域よりは下流の場所だった。

やなが2カ所もあって川をふさいでいるから、普通に考えると魚は少ない。
ただ、増水時には治水上の理由で取り外しもされるだろうし、設置日以前に魚が遡上することもあるだろう。いろいろとやなを魚が突破する「抜け道」は考えられる。
そこでじっさいどれくらいの魚がいるのかを今回知りたかったが、答えは「ほとんどいなくなる」のようだった。

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長い穂のビロードモウズイカの花

考えてみると、かりにやなというものが8割の魚を捕るとしたら、第一のやなを突破できた魚が2割で、第2のやなではその8割が捕られ、上流に行けるやつは当初の4%しかいないということになる。これが捕獲率9割だったら、残った1割の魚のほとんどが第二やなで捕られるので、1%しか上流に行けない、というたいへんな難関になってしまうのだ。

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ダキバアレチハナガサ(抱葉荒地花笠)

だがそれはきょうの成果をもとにこしらえた理屈にすぎない。鮎がどういうときにやなを抜けていくのかや、やな操業のルール等実際のところを知らないので、もしかすると何かの折には群れが上流まで遡上、ということはあるのかもわからない。
なのだけれども、きょう川に入ってみた感じからは、あまり魚がいないという以上のものを得られなかった。

やながひとつもない湖南の大河、野洲川より、やな二カ所を乗り越えた姉川中流のほうがまだ魚が多いんじゃないかと思っての訪問だったが、川の魚影の濃さの「南北格差」はそこまでではなく、湖北の大河、姉川への過大な期待は是正された。

天野川での鮎捕り

帰りがけ、天野川に立ち寄り、やなが1か所の川では、上流にも鮎がいることを確認。

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細い鮎

ぜんたいに魚体が細い。
尾びれが大きくて切れ込んでいるのもいる。野洲川ではいなかった。速い流水に対応しているのかもしれない。
夏の川探索は、期待とはちがった結果に終わった。
まあでも、あの川のあの場所はああなっていたのかと知れてよかった。

posted by 進 敏朗 at 00:41| Comment(0) | 漁撈活動記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月03日

野洲川中流2020

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野洲川中流の橋(午後2時半ごろ)

野洲川は滋賀県湖南地域住民にとって身近な川。
琵琶湖に注ぐ県内の川では最大級だが、魚影は薄い気がする。
ことし5、6月の下流でのコアユ捕りなんかは、2匹とか、ゼロとか、悲惨としか言いようがなかった。
だけれども、7月前半には下流でまとまった数が網に入り、やはり遡上はあったとみられ、例年にない降雨があった梅雨が明けた8月初め、豊かな流れを保つ中流に鮎がいるのではないかと探索する。
野洲川漁協が今シーズンから解散してしまったので、放流は行われず天然遡上の鮎しかいない。

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粘土盤

甲賀市水口町あたり。
川岸の白っぽい岩は、岩ではなくて、古琵琶湖層由来の粘土が固まったもの。
琵琶湖がいまの場所にできる前の大昔、「甲賀湖」という湖が甲賀市一帯にあったそうな。
野洲川はそのあたりを流れている。
この粘土、乾いているときはひびが入ってかちかちだが、濡れたら、まるで巨大な石けんのようにつるっと滑って転倒するので、上を歩くのは非常に危ない。
この粘土層が多いので、野洲川は薄く濁ったような水の色になる。
それが鮎の数にも影響しているだろうか?

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鮎が入った

梅雨明けから4日くらいしかたってないというのに水量が多くない。
青土ダムからの放水を絞っているのか。
つるつる粘土盤に足を取られながら、よさげなポイントを歩き回って探し、網を投げると鮎が入った。

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鮎だ

立派な鮎が入った。しかし、後が続かない。
なかなか捕れそうな場所を探すのが難しい。

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ムギツク

ムギツクがとれる。
とがった口、その割に尾が太くずん胴に見える魚体、真ん中に入った黒い一本線、オレンジ色の尾びれなど、ちょっと独特の形をしたコイ科の小魚。
やっぱり琵琶湖水系は魚種が豊富だな、などと見入る。

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バス稚魚?

見覚えのない魚が捕れた。
色や模様はギルに似ているが細長い。でもブラックバス(オオクチバス)ともちょっと違うような。
これが流れる川の中を生息域にしているというコクチバスというやつなのか。持ち帰ることにする。

追記:コクチバスは、野洲川では青土ダムに定着していることが報告されていた。魚を捕った現場はダムよりも下流だが、ここで捕れたということは野洲川中流域で広範囲に生息しているのかもしれない。ただでさえアユ生息にとって微妙な環境に、ますます厳しい条件が加わっていると言えるだろう。

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雄大な野洲川の風景

野洲川の中流の風景は雄大だ。その川景色にはほれぼれする。
しかし、流れの中には魚が少ない。
網の中に何ひとつ入らない、ということがほとんどだった。

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水の色

古琵琶湖層の粘土がとくに厚い地帯を流れてくる最大の支流、杣川(そまがわ)との合流点より下流は、水量こそ多くなっているが、水の色は上の写真のように薄濁りが増している。グーグルの衛星写真からも、白ナイル川と青ナイル川との合流のような、水の混ざり具合が確認できる。

野洲川はなぜ、鮎が少ないのか。
そもそも琵琶湖の鮎は、湖の北のほうに多くて南は少なめということがある。
加えてこの水質。
粘土質の薄濁りに加え、中流域に10万人以上の人口があり(湖南市や甲賀市の大半)、下水網が整備されたとはいえ工場立地や田んぼも多いという事情(生活排水、工業、農業排水などの影響)もあろう。
そして県内最大のカワウコロニーが同河畔にあり、コクチバスもいるとなれば、三重苦、四重苦を背負っているようなもの。

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とれた魚

しかしそれでも、鈴鹿山脈に源を発している本流は澄んでいて、ぶじ遡上できた鮎は大きくなれるようだった。
捕れたのは17センチ。身に厚みがある天然鮎。
ここまで育つのはさすがに時間がかかると思うので、7月に遡上したやつではないと思われる。もっと早いどっかの時期に遡上があるのだろう。

野洲川も、決して捨てたものではないことがやってみて分かった。
でも、これ以上の数を捕るのはなかなか厳しいものがあるんじゃないかと思わずにはいられない。
湖南地域のホーム河川、野洲川。
県内のほかの川にくらべて環境的には厳しくても、もっと都市部の暮らしとか広い目で見れば、まだこんな自然が身近にあるだけましと思わないといけないだろう。


posted by 進 敏朗 at 21:42| Comment(0) | 漁撈活動記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月22日

海断念、のち川

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若狭湾の朝(午前5時ごろ)

ボートで釣りをしようと朝5時ごろ、若狭湾に着くと、コロナ感染防止のため駐車場が閉鎖されており、いつもの入江から出航できず。
世久見まで行くと、海水浴場を開設しているが、ブイとロープが張り巡らされて沖に出られない様子が、高台から見てとれる。
ほかの場所を探すのも面倒だし、早々に釣りをあきらめ帰宅した。
7時前に帰り着いた。
今年は海釣りもなかなかに難しい。

一休みしたのち、海がだめなら、川に行こうと決意。

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犬上川の金屋頭首工下流(午前11時ごろ)

近くの野洲川は昨晩の雷雨で濁流が押し寄せていた。
犬上川まで足を伸ばす。増水しているが澄んでいる。
むしろ適度な水量となった川に、釣り人もたくさんいる。
ただ、上の写真でも見えるが、名神の橋の上流で重機が護岸工事を行っている。
それがために、下流では濁りが生じていた。

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細い鮎

今回の魚捕りは、網目の大きな投網だけを用いて、大きな鮎だけを捕ろうとした。

濁りの入った川の場所、以前と同じ場所で開始。
1投目から大きいのが入ったが魚体が細い。6月のほうがまだ型がよかった。
7月のほうが魚も大きくなっているだろうと期待したがそうはなっていない。
数もそんなに捕れない。

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極彩色のオイカワ

15センチある最大体長のオイカワ。
青とピンクのメタリックカラー、頭部は黒、尾付近は緑やレモン色、胸びれ、腹びれ、尻びれはオレンジっぽい朱色。
和テイスト極彩色魚。
とにかくこのカラーリングはすごい。川から上がったのをみるとはっとする。
極彩色が3匹捕れ、いつもなら放流するが1匹キープ。

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ハス

大きな手ごたえがあってハスをゲット。
リリースしてもいいが、あまりの鮎の捕れなさにこれもキープ。

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浮きだまり

釣り人を避けて、上流や下流へと歩き回って網を打つ。
対岸の川岸に、玉ウキが数個漂着。川は大きな石さえも押し流すいっぽう、こんな軽いウキを、そっと接岸させる繊細さもあるのだ。
使える玉ウキを7個もゲットした。
1日に拾ったウキの数では最多記録!
うち一つは、投網の最中に上流からどんぶらこと流れてきた。
犬上川のコアユ釣りの盛んさを物語っているといえるだろう。

流れてきたといえば、弱ったコアユが上流から次々と、1分に1匹くらいの感じで流れてきて、手づかみでもとれる。
コアユ、寿命が短くて弱い魚なんだな。
手づかみかたもで、流れてくるコアユだけを専門に集めても、数十匹は捕れたのではないか。
弱っているがまだ生きていて、魚体もきれいで鮮度は問題ないように見える。

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成果

夕方近くまで投げまわった割には、あまり捕れなかった。
鮎は最長でも16センチどまり。
ハスは26センチ。オイカワは15センチだが、太いので鮎より立派に見える。
これらをみな、背開きにして塩麹に漬けた。
未明から起きて活動した疲れがピークに達し、調理のあと爆睡し、1日が終わった。



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posted by 進 敏朗 at 11:11| Comment(0) | 漁撈活動記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月18日

魚・米・野菜 地産地消

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朝に入手した米や野菜、魚

コメを近くの農家から直接買い入れて10年くらいになる。
2〜3か月くらいにいちど訪れる。
キヌヒカリ30キロ入り袋を、農家のお母さんは両手で抱えて運んでくれる。
米を買うと、その都度、野菜をおまけしてくれるので、すごく助かる。自家製ふなずしをもらったこともある。
この日は大きなカボチャ2個、キュウリ、キャベツ、インゲン、ミニトマト多数、シシトウ、タマネギやジャガイモのほか、めずらしい岡ヒジキもいただいた。

そして上の写真ではボウルの中にコアユもあるが、これは農家からの帰りがけに野洲川で捕った90匹。
米・野菜・魚、すべてが地産地消。朝のうちにそろう。
滋賀に暮らしてよかったなーと思えるひととき。

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この日の野洲川(午前9時50分ごろ)

川に着いたときは雨まじりだったので、土曜日なのに人は少なかった。

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網にかかった魚が光る

入漁料は必要ないフリーな野洲川下流。
投げた網が流されないような浅い瀬で打つと、2投でじゅうぶんな量が取れた。
5〜6月はさっぱり魚がいなかった野洲川が本気を出した、とでも形容したくなるような。
日が差さなかったので、車に置いたままの野菜も傷まない。

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天ぷらに

コアユはすぐさまさばき、天ぷらにした。インゲンも一緒に揚げた。
インゲン、切らずに細長い天ぷらにしたが、これはうまい。
食感がいい。自分の中で夏の定番料理になりそうだ。

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南蛮漬け

昼食や弁当に天ぷらを入れ、残った約40匹は夜、南蛮漬けに。
セロリ少々、タマネギ1個、ハラペーニョ(緑色のトウガラシ)1本、タカノツメ1本をまぜる。
ちょっとピリ辛になった。
セロリ以外は庭で栽培したもの。
滋賀の大地を利用して暮らしているぞ、という気になった日。







posted by 進 敏朗 at 23:58| Comment(0) | 漁撈活動記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする