
大津沖をいく観光船ミシガン
昼、湖岸に出ると、北風が吹いて空は暗かった。
比叡山を左手に湖が広がり、観光船「ミシガン」が沖をゆったりと走っている。
ここは大津の中心部近く。大津は、琵琶湖に面した町なので「湖都」ともいわれる。
その風情は平野広がる滋賀南部では独特のもの。
滋賀南部の平野部に住んでいると、湖岸は意外と遠いうえに、湿地やヨシ帯に阻まれてアクセスしにくい場所だが、ここ大津ではしっかりとした地面で、ちょくせつ町が湖岸に接していて、広い公園になっている。
ベンチに腰掛けて弁当を食べた。ハトが寄ってくる。人を怖がらない。餌を待っているのか。

並ぶ船たち
琵琶湖文化館前から、湖岸を湖に向かって左の方向に進むと、桟橋に係留された数隻の船が見えてきた。

消防艇おおつ
赤い船は大津市消防の消防艇「おおつ」。2015年に就航した3代目で愛称は「ことかぜ」。これは往年の名大関ではなく「湖都風」。1分間に8000リットルの水を放水でき、放水砲3門を備え、湖岸の火災に対応する。全長は19メートル、重量19トン、速力36ノットと速さ自慢。

はっけん号
つづいて左隣には、びわ湖トラストの実験調査船「はっけん号」。重量物を上げ下げするガトリングクレーンを積み、琵琶湖を探査する自立型潜水ロボ「淡探」を搭載。双胴の構造から安定が優れている。18.9メートル、36トン、20ノット。

びわかぜ
そして3隻目は新鋭の水質実験調査船「びわかぜ」。これは以前、乗船体験に参加したことがあった(2015年5月30日「水質実験調査船びわかぜ」)。球状の船首バルバス・バウを備え北湖の荒波もかき分け進む。琵琶湖を忙しく走り回っているがきょうは港で休んでいた。28メートル、71トン、22ノット。

megumi
さらに4隻目は、クルーズを楽しみながら環境学習を行うという新コンセプトの環境学習クルーズ船「megumi」。シップ・オブ・イヤー2008も受賞している。バイオディーゼルを燃料にしているのも環境学習船らしい。33.6メートル、122トン、16ノット。
形も色も用途も違う中小型の船が並んでいるなあと思っていたが、こうして調べてみると個性がより目立ってくるのだった。

うみのこ入港
とそこに、大型の船が沖から入港してきた。
琵琶湖の環境学習船「うみのこ」だ。滋賀県の小学5年生はこれに乗船、1泊して琵琶湖をめぐり、環境の大切さを学ぶ。筆者は鳥取県出身のため体験をしていないが、子供は全員がお世話になった。

入港したうみのこ
1983年の就航以来、52万人の児童を乗せてきたという。65メートル、928トン、8〜9ノット。児童の定員は240人。来年、新しい「うみのこ」が就航予定でどんな船が現れるかが楽しみだ。
ところで冒頭の写真「ミシガン」と同名のアメリカ潜水艦が先日、日本海に現れたので「どうやって琵琶湖から出たのか」などと一部のツイッターで話題になったのだそうだが、それはもちろんあののどかな船ではない。
観光船「ミシガン」は、滋賀県が友好提携している湖の州、ミシガン州にちなんでの名づけとなっている。59メートル、1038トン、8.65ノットの外輪船。ここは平和の琵琶湖なのであった。

〈おまけ〉鳩群れる湖岸の公園