2017年01月10日

琵琶湖のプランクトン

プランクトン2.jpg

琵琶湖博物館に「本日の琵琶湖のプランクトン」のコーナーがあって、顕微鏡でのぞいた画像をダウンロードできる。

筆者はプランクトンを撮ってアップしたかったけどQRコードというものを扱ったことがなかった。

でも今回初めて挑戦した(取りこんだ画像が上の写真です)。

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コーナーのようす(琵琶湖博物館)

実は先日、画像を取りこんで家に持ち帰ったつもりが消えてしまっていた。

それで本日再度、同博物館のコーナーに行き、説明をみると取りこまれた画像はそのままにしておくと1時間後に消えるとあり、保存方法を見ながらやっと成功した。やっとできたよ、とほっとした。

係員さんによると同コーナーのプランクトンは毎朝、当番の係員が同館近くの船着き場でプランクトンネットを湖中に放り、ロープをたぐりよせ10メートル引き、採取しているという。

だから密度はかなり濃縮されていて、琵琶湖の水をそのまんま見てもこんなにプランクトンが観察できるわけではないという。「こんなたくさんいたらアオコですよ(笑)」と。

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琵琶湖から採取された水(係員さん撮影ご協力)

顕微鏡の倍率は接眼レンズが10倍で、真ん中にあるダイヤルで0.63倍から6.3倍まで変えることができ、像の大きさは6.3〜63倍になる。パソコン画面に映る像は、顕微鏡でのぞいた像より2倍くらい大きく見える。

ただ顕微鏡で直接のぞくほうがシャープだ。

案外倍率は高くないが、一面に広がる大小のプランクトンを見たりできるから、倍率が高ければいいというものでもないようだ。

冒頭の画像で、大きいやつはミジンコだ。

緑色をしているのは植物プランクトンの仲間だ。

緑色をした星形のやつが広がっている。この名前を先日、同コーナーで観察していた少女から「ミクラステリアスハーディーです」と教えられた。筆者はそれをメモった。もはや教える教えられるに年齢は関係ないのだった。

充実した施設環境がプランクトン好きをはぐくんでいる。

プランクトンたち.jpg
皿の上のプランクトンたち

冬場は植物プランクトンが多く、季節によって、見られるプランクトンが違うという。プランクトンを通じて「生の琵琶湖」を見られるようで興味深い。これを折々に観察していけば変化があって、より広い世界が見えるかもしれない。
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2016年12月31日

ミズアオイの種

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「頓服薬」袋の中から小さな透明なカプセルがひとつ。
水辺の植物ミズアオイの種が届いた。
違法な種子ではありません(笑)。

今月、京都のギャラリーで開かれた展覧会の福島県の美術作家の企画で、東北地方でとれたミズアオイの種を育てたうえで茨城県内で繁殖させるというプロジェクト。

薬のカプセルがロゴになっているギャラリーの趣向で、頓服薬の袋に入って届けられたのだった。

袋をよく見ると植物の絵があしらわれていておしゃれだ。

ミズアオイは、水田に生える雑草という。調べると北海道から九州まで分布しているが、今では各地で絶滅危惧種か準絶滅危惧種に指定されている。田んぼ以外の湿地とかには生えないのかと思うが、田んぼの環境を好む植物ゆえ、どうしても防除の対象となり、除草剤によって消えてしまった。

たしかに、田んぼが広がる滋賀県南部でも見た記憶がない。

東日本大震災で東北地方を襲った津波の後、ミズアオイが生えるようになってきたという。田んぼの土の下で長い間眠っていた種子が、津波のあと目を覚ましたのでは、とギャラリーで聞いた。数十年、100年…どれくらい眠っていたのだろう。このミズアオイを種取りし、集めて繁殖させたいという趣旨だった。

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メダカ池のようす

筆者は単純に、水生植物を育てるというところに興味をひかれた。

ちょうど庭にメダカ池がある。水田に生えていたような草だから、育てるには絶好の環境だ。

もう気温も下がって、池を見ると、枯葉の下のほうで、時々メダカが動いているのが見える。

池際の湿地.jpg
池際の湿地。ホテイアオイの葉などがある

カプセルに入っている種子を半分ほど取り出して、池辺の水が浸っている場所に数か所にまいた。池の周囲にはごく浅い湿地のような場所を設けていたのだった。流されないよう泥に押し付けた。

北海道でも自生するような草なので、寒さは問題ないだろう。

種のあとの半分は鉢に泥を入れてやってみることにする。

ミズアオイは、外来植物ホテイアオイと近縁の植物で、9〜10月に、ホテイアオイの花を小さくして色を濃くしたような青紫色の花が咲くという。

遠く東北の太平洋岸近くからやってきた種。育てて花を咲かせ、種取りまでやってみたい。
池の楽しみがひとつ増えた。




posted by 進 敏朗 at 13:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月07日

河骨

替コウホネ.jpg
コウホネ(河骨)の花

河骨(コウホネ)、それはスイレン科の水草。
夏に黄色い花を咲かせる。

三面張り全景.jpg
三面張りの群落全景

野洲市の、家棟川近くの三面張り水路にある、コウホネ群落をみると花を咲かせていた。
カメラを、コンパクトデジカメの従来機から、ミラーレス機を新調したので、道すがら、車を停めて、うれしがって撮ったのだった。

コウホネの花.jpg
コウホネの花(2014年9月14日)

こうしてコンデジ画像と比べてみると、写りの違いはあきらかだ。

プラスチックの梅の造花を思わせる色と形。

コウホネが生えている水路は地面より2メートルくらい低くて、近づけないので110ミリの望遠レンズを使った。ただ、ミラーレスの110ミリなので、1眼レフでは250ミリくらいに相当するかもしれない。

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〈参考〉2012年9月9日撮影

4年前の写真(2012年9月9日「コウホネ」記事)を見ると、今年よりも4年前のほうが、群落がこんもりとして範囲も広い。

おそらく、刈られたりしたのではないか。やはり、あんまり生えると、排水路の障害になってしまうから。
骨のように白い根っこがはびこるから、根絶はなかなか骨が折れるかも。

この三面張りの幅と、コウホネのサイズ感がちょうどよい感じだ。

蝶がとまっている.jpg
チョウもとまる

コウホネは在来の植物だけど、滋賀県南部では、このほか、琵琶湖の菖蒲漁港付近でも見たことがあった。あまり水草はくまなく見ていないのだけど案外、見る機会が少ない。少なくともヒシとかよりは圧倒的に少ない。

posted by 進 敏朗 at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月10日

ベニズワイガニ

ベニズワイガニ.jpg

鳥取県の実家からカニが届いた。

カニは、11月に解禁となる松葉ガニ(ズワイガニ)ではなくてベニズワイだ。
ベニズワイの解禁は早くて、9月から捕り始める。

ベニズワイガニはズワイガニとよく似ていて外見はほとんど見分けがつかない。ゆでた状態で送られてくるので、ズワイガニでもベニズワイでも、外見は赤っぽい。細かく見れば、甲羅のエッジの形がちょっと違うとか、あるようだが、まあ同じようにしか見えない。

違いは、食べた時に歴然としていて、ベニズワイは、身があんまり入っていない。ズワイガニは、脚でも本体(?)でもみっちり身が入っているのに対して、ベニズワイは、半分くらいに身が縮んでいて、汁がたくさん出る。

鳥取県の生家では昔から、カニといえばたいていベニズワイだった。
ベニズワイのほうがズワイガニよりずっと安い。

ズワイガニやベニズワイガニは、日本海や、ロシアの海とかに生息していて、太平洋側では捕れないみたい。ベニズワイは、ズワイガニよりも深海にすんでいて、1000メートルから2000メートルの海底に、かごを沈めて捕獲するんだという。

昨年の農水省の統計によると、ベニズワイは1万7000トンの水揚げがあり、4000トンの水揚げがあるズワイガニの4倍の漁獲量がある。鳥取県のベニズワイの水揚げは4300トンで全体の4分の1を占め全国一。境港は、日本一のベニズワイ水揚げ港だ。ベニニズワイが入手しやすい地域に育っただけに、同カニに親しんで育ってきたのは必然だったかもしれない。ズワイガニに比べて鮮度が落ちやすく、遠くには出回らないものだったようだ。多くは缶詰とか、加工用に回されるという。

ラージサイズのカニが5杯、トロ箱に入っており、夜、家族で食べた。足の両端を折って、箸で中身を押し出して食べる。足の殻の中からは、なじみのある、甲羅の半分くらいの身が出てくる。味は、ズワイガニとさほど変わらない。サイズ自体が大きいから、そこそこの量の身が食べられる。

汁が多いので、服とか汚さないように注意が必要だ。ひとりで2杯くらい食べたが、これはズワイガニに換算すると1杯くらいになるだろう。日本海の深海の幸を堪能した。

食べた後の殻の量が、食べた身の量に比して膨大だ。カニの甲羅は、砕いて土に混ぜると発熱して高温になる。甲羅の質もズワイガニと変わらない。いい堆肥ができそうだ。

posted by 進 敏朗 at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月23日

近江妙蓮

近江妙蓮のつぼみ.jpg
近江妙蓮のつぼみ

梅雨明けが発表された近畿地方だが、朝から強い雨だ。お昼前に雨は上がったが、野洲川は濁流がごうごうと流れている様子。

午後から昼寝して、守山市の近江妙蓮公園に行く。
ここには珍しいハス、近江妙蓮があるというが、行ったことはなかった。

近江妙蓮の池.jpg
池の様子

野洲川の旧南流に近い、田園の集落に池がある。入場料を払い、入ると、つぼみが見えるが、咲いているものが少ない。これから咲こうとしているつぼみは直径10センチくらいの球状で、中にぎっしりと花びらが詰まっているようだった。

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三つの花が咲いている

咲いているやつは、中心部が黒っぽく焼けているものが多かった。この近江妙蓮は、ふつうのハスと違って中心部に花托がなく、種ができずに、数千枚という花びらが詰まっている。花びらは外側は一枚一枚が大きいが中に行くほど小さくなってザクロの実か何かに見える。

花が開いた様子.jpg
開花した近江妙蓮

同公園の資料によると、この妙蓮はもともとインドにあったものを6世紀ごろ、達磨大使が中国に伝え、それが慈覚大師円仁が唐から日本に持ち帰ったと伝えられているという。この守山の妙蓮が生える「大日池」からは室町時代、足利義満に献上されたと伝えられ、600年前には繁殖していたことが知られている。しかし、1896(明治29)年以降、花をつけなくなり、妙蓮池を代々もつ田中家や地元の人が困っていたところ、「ハス博士」こと大賀一郎博士が、同池から金沢に移植されていた妙蓮を里帰りさせ、1963年に復活に成功させ今日に至っているということだった。

池の脇の水路.jpg
池の脇を流れる水路。中世にはつながっていたのかもしれない。現在は、水路のほうが掘り込まれて池の水面よりも低い。


この妙蓮は種はできず、すべてレンコンからクローンで増えるので、600年前と同じ蓮を見ていることになる。それゆえに、同じ形質のやつしかないので環境の変化には強くないだろう。静かな野洲河畔の田園に、千年以上の時を経てインドから中国、日本へと旅した空間と時間の流れが継承されていると思うと不思議なことだ。

係員の方に花期を訪ねると、8月の上旬までは見頃が続くという。今年は、梅雨明け前に猛暑となり、そのあと台風が襲うなどしたため、花が焼けて黒くなったり、折れたりして、例年にくらべていまひとつなのだそうだ。

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〈おまけ〉濁流の野洲川

夜、野洲河畔でカブトムシを子供と探すが、雨上がりだったせいか、あるいは今年は少ないのか、昨年見かけた木にも気配がなかった。



posted by 進 敏朗 at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする