2023年01月29日

ワカサギ展示

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湖南平野の雪景

3日間にわたる降雪がいったん明け、青空が広がった。最低気温は氷点下。
琵琶湖博物館で、ワカサギの展示をしているというので見に行った。

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館へ続く道

1年間の有効期間があるパスポートが先月で切れたところだったので、1600円を払い購入する。
来年1月までにもう1回来れば元が取れるのだ。近距離に住んでいる者としては、これはお得だ。

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ワカサギ

水族展示の「流れる水槽」のところで、そこには夏場はコアユが泳いでいるのだが、本日は、コアユに似た魚が泳いでいた。
ワカサギなのだが、素人目にはコアユとの違いを見出すのが難しい。ほとんど同じに見える。強いていえばコアユよりも細いような。銀光りが強いような気もしなくもない。体をくねらせて泳ぐ様子もそっくり。


ワカサギはこの季節、産卵期を迎え、日没後に湖岸の河口付近を目指して接岸する。その機をとらえての展示とのことだが、たもですくっただけで弱る繊細な魚ということで、連日、弱ったやつを入れ替えるなどして元気に泳ぐさまを生態展示しているのだという。
水槽には、群れですいすいと泳ぐワカサギ。水槽の底の砂利、どのように管理しているのかわからないが苔が生えておらず見事だ。

夜に湖岸に行くと、実際にワカサギがたもですくえるそうだが、寒いし、暗いし、自分としてはやる気が起きない。
しかし、こうして泳ぐ姿を間近に見ると、捕ってみたいなあという気も少し起きる。
風がなくて月が出ているなどの気象に恵まれれば、場合によっては行くこともあるかもしれないが、また検討したい。

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モロコ竿

本日の展示ではさらに、B展示室でモロコ竿の展示があった。
高槻からの寄贈で1950年代ごろのものらしい。
竿は京都でつくられた京竿という。大きいほうは12本継で、1本30センチとして3.6メートル級くらいだろうか。小さいやつのほうは9本継で1.8メートルくらいか。光ってて保存状態がいい。大事にされていたのだろう。

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馬井助作のウキ

そしてこのウキ、京都の「馬井助」の作という。釣りのウキを作るウキ職人というものがいたことに驚いたが、形とか模様とか繊細なつくりだ。

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琵琶湖の釣り場案内図

釣り場案内図や、漆塗りのびく、ウキ職人作のモロコウキ、さらにはモロコ釣り入門書が展示。
1950年ごろの琵琶湖南湖、いまでは埋立地との水路として残っているような、瀬田の大萱付近の小さな河口がモロコのポイントだったようだ。エリなんかもある。旧集落以外は田んぼだ。
その頃は瀬田駅も近江大橋もイオンもなかったので、京都からの釣り客は石山駅で降り、バスか徒歩で瀬田川を渡って釣り場に向かったのだろう。
地図を見ながら、のどかな風景を想像した。ホンモロコ、近年は徐々に数が琵琶湖で回復しているというが、将来南湖でも捕れるようになる日も来るのだろうか。
ただホンモロコが減った原因としては水辺環境の変化だけではなく、もともと琵琶湖にいなかった移入種ワカサギの大繁殖が影響しているのではという見方もある。1990年代にホンモロコの漁獲量が激減したのち、ワカサギが大量に捕れるようになったのだ。
きょうの展示を見る限りワカサギは細くていかにも弱々しく、春に川で捕れるホンモロコのほうが魚体も大きくて、たもですくった程度では死なないし、どう見てもホンモロコのほうが強そうな気がするんだが、個体ではなく総体としてのワカサギは、侮りがたい強さがあるのかもしれない。
こんな厳冬期に産卵するところをみると、産まれたての稚魚を狙う他の魚もじっとしてそうだし、一気に増えて従来のホンモロコの地位を奪ってしまったのか。湖岸に行って、産卵期のワカサギの繁栄ぶりを見てみたい気もする。

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琵琶湖と湖面に浮かぶ冬鳥たち


posted by 進 敏朗 at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月07日

ミズアオイや水草

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ミズアオイの花

迷走した台風11号は昨日、高速で日本海を通過。
滋賀では思ったほど雨も降らず、風は午前中がピークで、庭にあった軽いものがいくらか吹き飛ばされただけで済んだ。
台風一過の朝、庭のメダカ池で今年もミズアオイが咲いた。

薄い紫色の花が数輪で塔のように開いている。
丸い葉っぱはワックスをかけたようにつやつやで、濃い緑と薄い紫のコントラストが池に広がる。花の咲いた植物体は緑9割、紫1割といった配色の割合で、咲き方は近縁種のホテイアオイのでかく見栄えのする花に比べるとかなり慎ましい。この慎ましさが、在来植物というやつなのだろうか。

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水草が繁茂する琵琶湖(正午ごろ)

琵琶湖岸に出る。ここは草津市の烏丸半島。
水生植物公園で「水草展」が開催中というので見に訪れた。
琵琶湖には、ヒシやヨシなどの水草が繁茂している。
8月後半から9月初旬にかけてが、水草の繁茂がマックスになる時期のように思える。

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南米のオニバス

水生植物園の池には、子どもが乗れるという南米のオニバスが。
葉の直径1メートルくらい。お盆のような形で、触ると、弾力があって、まるでビニール製の子供用プールのようだった。

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葉がゆらめくミズオオバコ

さあ水草展を見た。
水生植物園だけあって、展示はアクアリウムの趣で、透明な四角や円筒形をした水槽に、いろいろな形をした水草が活けられている。
ミズオオバコの水槽は、水が上部から流れていて、ゆらゆらと薄くて広いがゆらめく仕掛けに。
これはミズオオバコが用水路など流れのある環境に生えるから、その環境を再現しているのだろう。水草、種類によっては、泥っぽい環境を好むやつもいるだろうし、透明な水槽で長期間にわたり「見せる」ようにするのはなかなか大変なんじゃないかと思った。

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ムジナモ

希少なムジナモも。
ほ場整備や用水路の三面張り、湖岸の改変などで、種類によっては、ほとんど姿が見られなくなったものも少なくないという。
私は、水草の消滅が進んだ最大の原因はザリガニの食害なんじゃないかと思っているが、どうなのだろう。
庭のメダカ池にザリガニが侵入してきた際には、ほとんどの水草が食いつくされた。
いま、ザリガニは再放流禁止にされるなど、ザリガニ駆除の機運が高まっている。あれが減れば、水草も植生の多様さの復活につながるのではないかと思う。

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ミズアオイの鉢植えも

館の外に出ると、入り口前の広場の一角に、ミズアオイの鉢も置かれ、花が咲き誇っていた。
うちのメダカ池のやつよりも一回りも二回りも大きくて花も立派だ。
やっぱり日当たりとか栄養が違うと大きくなるみたい。
でも小さ目のほうがかわいらしい感じもする。
滋賀県内では、どこかで自生しているところはあるのかと探したが、田んぼで栽培の例はあるようだが自生地はあるのかわからない。
昔にくらべれば生活排水による水質汚濁や除草剤による影響は改善されたので、ザリガニの駆除が進めば、ミズアオイが普通に生える水辺が復活するかもしれない。


posted by 進 敏朗 at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

ゲンジボタル飛来とヒメボタル

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虫がいる

昼ごろ、玄関の扉にホタルのような虫がいると、子どもが言うのにうながされ行ってみる。
すると木製扉の表面に黒い虫がついている。


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ゲンジボタルだ

胸部が赤く、ゲンジボタルだった!
徒歩数分のところには生息地があるが、風で飛ばされてきたのか。
扉が木製のせいか、木かと思ってとまるのかもしれないが、たいていはガで、ホタルが来たのは初めてだ。
さすが滋賀県というべきか。
ホタルは微動だにせず、じっと止まっていた。

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月夜(大山崎町)

この夜は大山崎までヒメボタルを見に行ったのだった。
桂川近くの小泉川右岸川尻に、西日本最大の群生地があるという。

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ヒメボタル(手前の白い点)

ヒメボタルは、1秒にも満たない短い間隔で点滅を繰り返していたが、これを撮影するのは素人には難しかった。
ゲンジボタルは数秒間光っているので、水辺を飛び回る様は詩情が感じられるが、ヒメボタルは、何というかより機械的な印象がする。
ひっそりとした藪で明滅する様は、静寂で少々怖い感じもした。暗がりを怖がる朋。実際不気味な感じはあった。冥界の使者? そんな感じで光っていた。
月が出ていたのを見た。

子どもから、昼のホタルをメダカ池近くに放したら、夜、池付近を飛んでいるのが見られたと聞いた。
それは風情があったことだろう。

posted by 進 敏朗 at 23:59| Comment(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月27日

コウホネを採る

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第4次メダカ池のミズアオイ

メダカ池でミズアオイが多数咲いている。
植え付けて4シーズン目で、年々増えて今季は群落という感じになってきた。
全国的に絶滅が危惧されているが、池では特に何も手を掛けなくても池底から発芽して花を咲かせる。
たくさん生える場所では当たり前に見えるような環境が、じつは得難いものであることを物語っているのかも。
ミズアオイの生えているメダカ池では地下水がわずかずつだが途切れずに注ぎ込み、農薬はいっさい入ってこない。それだけでだいぶ違うのかもしれない。

8月から9月にかけては、川で水草の花がよく見られる。
水路の水草観察。これは水辺に恵まれた滋賀県南部で味わえる楽しみだ。

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用水路のコウホネ

野洲市内の3面張り用水路でコウホネ(河骨)の群落がみられる。
きょう環境省のレッドデータで知ったが、コウホネは滋賀県でも準絶滅危惧種であるという。
在来植物だから滋賀では特に珍しくはないだろうと思っていたがそういうものでもないらしい。

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繁茂するコウホネ

しかし、訪れた用水路や近くの川では、数百メートルにわたってコウホネが繁茂していて、これを見る限りすぐには絶滅という事態にはなりそうにない感じだった。
用水路は、田んぼからの水を琵琶湖に流す排水路で、栄養分の多い水が流れている。
日照り続きというのにほ場整備の完成した田んぼには豊富に水が注がれ、排水路には水が勢いよく注がれている。

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水面の葉と水中の葉

先日、草津の水生植物公園でコウホネの展示を見て、コウホネには水面に出ている葉っぱのほかに、水中の葉っぱもあって、水中の葉っぱは柔らかく波打ってひらひらしていることを知った。
用水路の上から眺めると、たしかに2種類の葉っぱがある。
黄色い花が咲いているのは、こんもりと葉っぱが繁っている所には少なく、水中葉のところに多い。
1秒間に数十センチの流れがあり、水中葉がひらひらと揺れている。

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コウホネの花

コウホネの黄色い花は小さめだが目立って、存在感がある。
濃緑の葉ともマッチしている。
コウホネを、畳一畳分の広さもないわがメダカ池に植えようものなら、あっというまにあふれかえってしまうだろうと思っていたが、先日、水生植物公園での展示を見ていたところ、小さめの鉢に収まっていて、一株だけなら案外コンパクトに育てられるのだなと思い、これを採取してみることにした。

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水路に降りて撮影

それで用水路に降りて採取できそうな場所を探すが、たいていは、浅いといっても30センチくらいは水深があって、しかも、棒を差してみると数十センチほどめり込んだ。うっかり踏み込もうものなら、足がめり込んで抜けなくなってしまいそうだ。

流れの緩い川に厚くたまった泥は、そのままにしておくと川を浅くして洪水を引き起こしてしまうから、定期的に浚渫が必要だろう。三面張り水路で重機を使えば浚渫は難しくないだろう。
するとコウホネの生息地は狭まってしまうことになるだろう。

どこか泥と格闘せずに降りられる場所はないかと探し回ったところ、水深がさらに浅く、3面張り用水路で底面が「田」の形にコンクリートが組んである場所があり、足をめり込ませずに降りることができた。

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コウホネを抜き取る

株を引っ張ると太い根っこが途中から切れる。
手で持てるほどの大きさで、これなら小さい鉢にも収まりそう。

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名前の由来となった白い根っこ

白い根っこは、たしかに骨のようにも見える。
コウホネという響き、かわいらしさはないが、昔から日本で人と関わり合ってきたのだなと感じさせる。

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バケツに入れ持ち帰る

3株を抜いて、これを川の水で洗い、持ち帰る。
いま池には買ったスイレンがあるが、これを植え替えてコウホネとミズアオイ、トチカガミ、ショウブの組み合わせにしようと。

コウホネ、あらためて生息場所を観察すると、生えていたのは水路の流れがある場所だった。果たして池で「池骨」(?)として生育することはできるのだろうか。
posted by 進 敏朗 at 00:53| Comment(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月18日

コウホネ展

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コウホネの花

草津の水生植物園みずの森でコウホネ展をしているというので見に行った。
鉢に黄色い花が咲いている。プラスチック造花のような質感が、間近に見れて楽しい。

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葉っぱのボリューム感

コウホネ(河骨)は、スイレン科の在来植物で、滋賀では三面張り用水路なんかに生えていることがある。
上の写真のように、花にくらべて、葉っぱのボリューム感が圧倒的に大きくて、これを池に植えようものなら、あっという間に一杯になってしまいそうだ。

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コウホネご飯

コウホネの根は、薬や、食べ物としても利用されたと説明があって、かつて明治時代の北海道の屯田兵は、食糧不足の際に、ご飯にコウホネの根をカットしたものを混ぜた「コウホネご飯」を食べていたそうだ。その模型が展示されていた。
現在、それが流行っていないところを見ると、あまりおいしくないのではないか。
でもどんな味・食感なのかと興味をひかれる。
展示はコウホネと日本人とのかかわりがいろいろ説明されて、家紋の一覧もあった。

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ヒメコウホネの鉢

さきほどの屋外のコウホネの鉢のボリューム感を見て、わがメダカ池に植えるのは無理だなと思っていたが、屋内のヒメコウホネの鉢の展示を見ると、案外と小さくて、これだったら池にも植えられるのではと思った。現在は店で買って来たスイレンの鉢植えを池中に埋めているが、コウホネを植えているほうが、かっこいいような気がする。

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オグラコウホネ

オグラコウホネというコウホネがあった。
水草にくわしい係の方にたずねると、オグラコウホネは、その名の通り、京都の巨椋池(おぐらいけ)に自生していたことから名付けられたという。
今は巨椋池は埋め立てられ、オグラコウホネはそこでは見ることはできないが、近くの淀川のワンドなどで一部生えているという。
コウホネは、水面の葉と水中の葉の形が違っていて、このオグラコウホネは波打った水中の葉がもっさりと茂っている。
水生植物園では、コウホネを約20種類も育てているそうな。在来植物を大切にする姿勢に好感を持った。
そのあとコウホネの自生地について意見交換。


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絶滅危惧種のフサタヌキモ

在来の水草の展示も数種類。
上から水を垂れ落として水の流れをつくった水槽で、フサタヌキモがくるくると回転している。展示方法が凝っていて、しばらく見入った。



posted by 進 敏朗 at 22:10| Comment(0) | 水生動植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする