湖南平野の雪景
3日間にわたる降雪がいったん明け、青空が広がった。最低気温は氷点下。
琵琶湖博物館で、ワカサギの展示をしているというので見に行った。
館へ続く道
1年間の有効期間があるパスポートが先月で切れたところだったので、1600円を払い購入する。
来年1月までにもう1回来れば元が取れるのだ。近距離に住んでいる者としては、これはお得だ。
ワカサギ
水族展示の「流れる水槽」のところで、そこには夏場はコアユが泳いでいるのだが、本日は、コアユに似た魚が泳いでいた。
ワカサギなのだが、素人目にはコアユとの違いを見出すのが難しい。ほとんど同じに見える。強いていえばコアユよりも細いような。銀光りが強いような気もしなくもない。体をくねらせて泳ぐ様子もそっくり。
ワカサギはこの季節、産卵期を迎え、日没後に湖岸の河口付近を目指して接岸する。その機をとらえての展示とのことだが、たもですくっただけで弱る繊細な魚ということで、連日、弱ったやつを入れ替えるなどして元気に泳ぐさまを生態展示しているのだという。
水槽には、群れですいすいと泳ぐワカサギ。水槽の底の砂利、どのように管理しているのかわからないが苔が生えておらず見事だ。
夜に湖岸に行くと、実際にワカサギがたもですくえるそうだが、寒いし、暗いし、自分としてはやる気が起きない。
しかし、こうして泳ぐ姿を間近に見ると、捕ってみたいなあという気も少し起きる。
風がなくて月が出ているなどの気象に恵まれれば、場合によっては行くこともあるかもしれないが、また検討したい。
モロコ竿
本日の展示ではさらに、B展示室でモロコ竿の展示があった。
高槻からの寄贈で1950年代ごろのものらしい。
竿は京都でつくられた京竿という。大きいほうは12本継で、1本30センチとして3.6メートル級くらいだろうか。小さいやつのほうは9本継で1.8メートルくらいか。光ってて保存状態がいい。大事にされていたのだろう。
馬井助作のウキ
そしてこのウキ、京都の「馬井助」の作という。釣りのウキを作るウキ職人というものがいたことに驚いたが、形とか模様とか繊細なつくりだ。
琵琶湖の釣り場案内図
釣り場案内図や、漆塗りのびく、ウキ職人作のモロコウキ、さらにはモロコ釣り入門書が展示。
1950年ごろの琵琶湖南湖、いまでは埋立地との水路として残っているような、瀬田の大萱付近の小さな河口がモロコのポイントだったようだ。エリなんかもある。旧集落以外は田んぼだ。
その頃は瀬田駅も近江大橋もイオンもなかったので、京都からの釣り客は石山駅で降り、バスか徒歩で瀬田川を渡って釣り場に向かったのだろう。
地図を見ながら、のどかな風景を想像した。ホンモロコ、近年は徐々に数が琵琶湖で回復しているというが、将来南湖でも捕れるようになる日も来るのだろうか。
ただホンモロコが減った原因としては水辺環境の変化だけではなく、もともと琵琶湖にいなかった移入種ワカサギの大繁殖が影響しているのではという見方もある。1990年代にホンモロコの漁獲量が激減したのち、ワカサギが大量に捕れるようになったのだ。
きょうの展示を見る限りワカサギは細くていかにも弱々しく、春に川で捕れるホンモロコのほうが魚体も大きくて、たもですくった程度では死なないし、どう見てもホンモロコのほうが強そうな気がするんだが、個体ではなく総体としてのワカサギは、侮りがたい強さがあるのかもしれない。
こんな厳冬期に産卵するところをみると、産まれたての稚魚を狙う他の魚もじっとしてそうだし、一気に増えて従来のホンモロコの地位を奪ってしまったのか。湖岸に行って、産卵期のワカサギの繁栄ぶりを見てみたい気もする。
琵琶湖と湖面に浮かぶ冬鳥たち