ザゼンソウ群生地へ
ザゼンソウの駐車場
高島市今津町にザゼンソウを見に行く。
滋賀に住んで30年以上になるが、これまで実物を見たことがなかった。
琵琶湖大橋を渡り湖西道路を北上。
大津市北小松付近で工事が続いていたバイパスが完成しており新しいトンネルを抜ける。
群生地の場所は、国道161号から小浜方面へ左折する「おなじみの立体交差」を下りてすぐの場所だった。
群生地の遊歩道
群生地は遊歩道が整備。
竹藪に入ったところにすでに1個出ていた。
群生地のようす
「ザゼンソウ」の大きさは思っていたよりも大きく、どう形容すればいいのか難しいが、花を包む「仏炎苞(ぶつえんほう)」というドーム状の部位が、新聞に掲載された写真からの事前のイメージではソフトボールくらいかと想像していたら、ハンドボールくらいの大きさがあった。
数も多くて、湿地の一帯はザゼンソウがそこらにポコポコと黒っぽい頭を出していた。
頭を出したザゼンソウ
紫色まじりの茶色でつやがあり、内部に緑がかった薄黄色い卵形の花。
多量の花粉をドーム内に積もらせている。
なんともいえないカラーの取り合わせ。
大きめのサイズや質感もあいまって、かわいいとか可憐というよりなまめかしさを感じた。
なまめかしい仏炎包の質感
仏炎苞の中の花は約20度の温度に発熱しているといい、早春にいちはやく花を咲かすことで、越冬した虫に受粉させる戦略をとっているのだという。
カメムシも寄ってきたぞ(先端部分)
花が熱を発する、すごい草だ。
それゆえ、白い雪を解かして頭を出した姿がザゼンソウの絵柄としては最上といえるだろう。
しかし、積雪したらノーマルタイヤの私の車は運転できないので、それは悩ましいところだ。
地図を確認すると、湖西線の近江今津駅から行けない距離ではなさそうだが(このあとに掲載の地図参照)。
花は、腐った肉のようなにおいがするという情報もあったのだが、生息地に入ることができなくて確認できず。
ザゼンソウの花のしくみ説明
成長してきたザゼンソウ
ザゼンソウは熱帯地域に多いサトイモの仲間ながら、寒冷地に進出し、日本の自生地は北海道や北関東、甲信越などが知られ、この滋賀県の高島が南限(ただし鳥取県智頭町の自生地のほうが南のようだ)とされている。暑さや、強い日射に弱く、こうした竹藪に囲まれた、年中冷たい湧水が流れている現地の環境が、好適地となったようだ。
群生地の湧水
ザゼンソウ自生地のある高島市今津町周辺
(自生地は図中央付近のたて・よこ方向の赤い道路と今津川(青い線)に囲まれたエリア)
「南限」は鳥取県の自生地ではないかと思うのだが、鳥取県の自生地が地図によると山奥の標高がわりと高い場所なのに対し、高島の自生地は海抜100メートルそこそこの平地にあるところが特異だ。
おそらくは夏場でも暑さにやられないだけの湧水があるのだろう。
現地では北寄りの冷風が吹き、観察している間に体が冷やされた。
今津は滋賀の中でも涼しい地域とは聞くが、その冷しさが確かめられた気がした。
湖北のミカン産地菅浦
立派なみかんの木
いっぽうで、湖北にみかんの産地があるというので、車でさらに約30分進み、行ってみた。
そこは湖北の菅浦。葛籠尾崎の根元にある岬の集落である。
集落の入り口の四足門
集落の入り口に立派な木が果実を実らせており、それは温州みかんではなくて八朔のようだった。
山の斜面のけっこう高い場所にも木が植わっている。
収穫が終わったみかんの木
斜面に植えられてたみかんの木(中央奥)
菅浦の集落は南が琵琶湖に面しており、裏山も南斜面だ。
しずかな湖畔。曇っていたが寒くはない
そのせいか、菅浦では、さきほどの今津のザゼンソウ群生地では冷風が吹き付けていたが、須賀浦では風がなく、湖面も静か。曇り空ながら寒さを感じなかった。
湖岸で弁当を食べても平気だった。
湖岸の展望スペースから見た竹生島
琵琶湖に囲まれた菅浦地区
みかん栽培は、日本の産地としては和歌山、愛媛、静岡などで盛んだが、滋賀県でも生産地があったのだった。
菅浦は、湖北という、どちらかといえば日本海側寄りの気候の地ながら、琵琶湖に囲まれた南斜面であることを利用して栽培がおこなわれていた。
八朔は、そんな甘い品種ではないので寒さに強いのかと思ったら、温州みかんよりも耐寒性は弱く、マイナス5度くらいまでしか耐えられないという。
琵琶湖に囲まれた南斜面という菅浦の地形が、氷点下の急激な冷え込みを防いでいるのだろう。同じ滋賀県の中でも地形によって微妙に異なる気候に着目した果樹栽培に驚くばかりだ。
菅浦産はっさく
帰りがけに、近くの道の駅で、菅浦産の八朔が売られていたので、買って食べてみると、ジューシーで甘かったのでびっくりした。
寒冷地に生えるザゼンソウ生息の南限や、温暖な気候を好むミカン栽培。
滋賀では、温暖や寒冷な気候の境目が入り交じっていることを、天然の植物群落や果樹栽培を通じて観察することができた。


