琵琶湖博物館で、「世界湖沼の日」(8月27日)制定を記念した水族展示があった。
世界の湖沼の環境を考えようと、アメリカやアジアの湖の魚が展示されていたが、その中でも目を引いたのが、インドネシアのスラウェシ島のメダカの展示だった。
スラウェシ島の地図
スラウェシ島には、琵琶湖のような古代湖がいくつかあり、湖ごとに固有種のメダカがいるのだという。
トウティ湖のメダカ
トウティ湖は、アルファベットの「K」のような形をしたスラウェシ島の右下の画の根本あたりにある。
中国の洞庭湖(どうていこ)と読みが似ているが関係はない。
スラウェシ島は面積17.4万平方キロで、日本の本州(22.8万平方キロ)に匹敵する。3000メートル級の山もあり、山がちなところも本州と似ている。
人口は約2000万人といい、これは本州よりだいぶ少ない。
トウティ湖の広さは琵琶湖(670平方キロ)よりやや小さい561平方キロ。
水面は海抜293メートルとやや高く、最大水深は琵琶湖より深くて203メートルという。
このトウティ湖には固有種のメダカ「マーモラタスメダカ」がいるのだが、2023年にはさらに新たな固有種「トウティメダカ」が認められたという。
トウティメダカ
それがこのメダカだったが、肌色で半透明な感じで、日本のメダカよりもほんの少し大きいようだった。
底近くの水槽の奥や、水草の間におり、物陰に隠れる性質があるようだった。
マーモラタスメダカ
いっぽうの、同じ湖にすむマーモラタスメダカは、見た目は片方のメダカと見分けがつかなかった。
しかしこちらのメダカは水槽の前方に姿を現し、写真に撮りやすかった。
見た目からはほぼ区別がつかないものの、性質には何らかの違いがあるようだった。
やや大きなニグリマスメダカ
さらに、スラウェシ島にはポソ湖という古代湖があり、こちらの広さは323平方キロメートルと琵琶湖の約半分。
地図をみるとポソ湖とトウティ湖は川がつながっておらず、別々の水系にある。
島に古代湖があるという点で、スラウェシ島は本州と意外な類似点があることを知った。
ポソ湖には数種類の固有種のメダカがいて、2つの種類が展示されていた。
大きな目、低い頭、上を向いた口、まっすぐな背中などメダカの基本形は守りつつも、いろいろなバリエーションがあって面白かった。
スラウェシ島はメダカのホットスポットという説明もあったが、すでに数十年確認されていない種類もあり、絶滅したのではと危惧されているという。
日本のメダカ分類
また、日本のメダカの分類と分布域の説明もあった。
滋賀県のメダカは、「ミナミメダカ」のなかの「東瀬戸内集団」という。
私は岐阜県の平野にメダカを見に行くことがあるが、そこのやつは「東日本集団」。
そして福井県に行けば、「キタノメダカ」というメダカの分布域に。
山陰地方には「ミナミメダカ」の「山陰集団」。
九州では、大隅半島や薩摩半島とかで固有の集団に分けられているのも興味深い。
なんだか、弥生時代の銅鐸や銅矛とかの分類と分布をみているようだ。
メダカは、世界の淡水で繫栄してきたのだが、水辺の変化で「メダカの学校」がみられる小川はとても少なくなっている。
インドネシアでも絶滅した種がおり、水質など、水辺の環境も脅かされているという。
世界にはいろんな固有種のメダカがいて楽しいなと思ったが、そんな多様なメダカが存続できる環境が守られてほしいものだ。
〈おまけ〉コイのように大きいが形はタナゴのような、不思議な印象の魚「クサゴイ」


