ヤナギモ群落
この日は別のことを企画していたが、天気が良くなかったため、メダカが観察できる小川を訪ねて出かけた。
水草が群生している用水路を発見した。
まずは水草が、メダカ生息の手掛かりとなる。
水面から頭を出すたくさんの花
葉が細長い形をしており、後で調べたら、これがヤナギモらしい。
私は水草の名をあまり知らないのである。
花が水面から多数、頭を出している。昆虫に媒介してもらうのだろう。
魚がいないか探すが
水草の切れ間に目を凝らして魚がいないか探すが、メダカどころか魚の姿は見られない。
田んぼの水が流入し、少し濁っている。
雨がぱらつくあいにくの天気。
メダカの群れ
探すこと約30分、より小さな水路をそおっとのぞいてみたところ、メダカ発見。
ここは田んぼの排水が入ってこないのか水が透明である。
流れがゆるく、大雨が降ってもあまり激流にならなそうな場所であった。
拡大したところ
水深はせいぜい10センチあるかといったところ。
15匹くらいの群れがおり、これからが産卵期だろう。
メダカの小規模校だが、これが本日みた最大の群れであった。
ヌマエビらしきものが数匹
エビも川底でじっとしている。石か葉のように見える。
メダカ落としの滝
100メートル下流は、30センチの段差になっていた。
この段差の下にひとたびメダカが落ちたら、遡上するのは難しいんじゃないか。
メダカに限らず、ドジョウなど魚の生息域は、水路に設置された段差によって相当ぶつ切れになっているのではないか。
この上流の小川は、メダカにとっていい環境なのだろうがそんなに広い場所ではなく、細々と生存していた。
野生を感じさせる環境のメダカ
さらには、三面張りでない湿地のなかにも見かけたが、ごく浅い流れの中に、木の棒のようにじっとしている。
さきほどの水路よりもさらに水が少なく、細々とした場所だった。
ここも下流はほ場整備により滝のようになっているので、少ない水の中、代々重ねているようだった。
こんな場所にも生きていて、メダカという魚のほんらいのタフさを思い知らされる。
自宅につくった池や水槽で観察・飼育をしているが、メダカは夏場の水温上昇や酸欠などにも強く、冬は落ち葉の下で越冬。ミジンコやボウフラ、花粉などなんでも食べる。
海水でもしばらくは生きているそうである。
こんな適応力のあるメダカが見られなくなったのは、やはり用水路の直線化と段差で、急流になり大雨時に流されてしまうのと、遡上できなくなったことに尽きるのではないか。
本日、いろいろと水路を見て回ったが、メダカがいたのはごく一部の水路や湿地だった。
段差の上流に残されたサンクチュアリのような空間だったが、いずれの場所も小規模で、環境の変化ですぐにでもいなくなりそうだった。
メダカ、たぶん滋賀県では大きな水路にも、いるところにはいるとは思うけど、こうした小川で身近に観察できるほうが楽しい。段差をスロープにするだけで、こういう生息域はもっと増えそうな気はするのだが…。