2023年09月09日

金生山と湧水池(下)

路線バス乗車、印象的な停留所名

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旧中山道の赤坂の町並み

休日に東海道線で岐阜県大垣市を訪れ、金生山を往復して汗だくになった後、美濃赤坂駅から電車に乗って、南西の方角数キロ先にある趣ある田園の池を目指そうとするが、3時間に1本しかない電車に乗り遅れ、待ち時間が惜しいことから路線バスに乗ることにする。
池に近づくには、大垣駅行きとは逆方向の「消防赤坂分署」行きに乗る。同署の詳しい位置をグーグルで見ようとしたら東京の赤坂消防が表示される。響きが都会的なバス停。
途中「昼飯(ひるい)」「昼飯南」のバス停を通過。ここで昼食を取れば、忘れられない思い出になりそうだったが、暑さによる疲労でそのような余興を試みる余裕もなし。

終点の消防赤坂分署からは、目的地の池にさらに近い場所まで運んでくれるコミュニティーバスが接続しているはずだが、時刻表を見ると1時間の待ち合わせ。さらなるバス利用はあきらめて歩くことにした。
グーグルマップによると、池まで3.3キロ。金生山を下山した地点からは4.6キロだったので、1.3キロ近づいたことになる。わずかだが昼の暑い時間帯、この違いは大きい。幸い、午後から雲も出てきて日差しが遮られてきた。

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頭を出す伊吹山

水田転作のエダマメ畑が広がる田園の道を歩く。
何の変哲もないように見える農道でも、訪れたことのない場所を歩くのは楽しい。
前方には西美濃の山並みから頭を出す伊吹山。

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採掘が進む金生山

北側を見やれば、採掘の進む金生山の姿。凹んでいる部分の右側を登ったことになる。
あれがまるごと、数億年前のサンゴ礁であったというのはにわかに想像しにくい。

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矢道川。

歩くこと約40分、一級河川「矢道川」に差し掛かる。
橋のたもとから、この夏公開されたジブリ映画で注目された鳥、アオサギが飛翔。
澄んだ水が勢いよく流れる。草が刈り取られた直後だが、行きがけの電車からは草刈り作業の様子が見られた。
川の看板の真後ろに、ヤナギの木が2本立っているのが見える。あそこが目指す池だ。

水量豊富 趣ある池だが

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池に到着

池に着いた。もともとの湧水池を整備し、ポンプで水をくみ上げていると説明があった。

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排水口

池から用水路へ、かなりの水量が排出されている。正確にはわからないがバケツ1杯分が2、3秒で満杯になりそうな量。
これだけの水量があれば気温の上昇による温度変化も少なく、ハリヨの生育には好条件ではないか。

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池の全景

さて池には魚はいるのか。
静かな水面にはアメンボ、黄色いイトトンボ。
岸近くに、カワムツ幼魚らしき群れ。
水中は髪の毛のような緑色の藻で大半が覆われている。

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水源付近

池の南西側に水源が2カ所。
ここに隠れているかも、と凝視するが見当たらない。
橋のところではいつくばって下をのぞき込むと、カワムツとともに、ザリガニ発見。
ハリヨの姿は確認できず。
私の低い観察眼のため、見つけられなかった可能性は大いにあるが、ポンプで復活させた各地のハリヨ池を訪ねて、ハリヨが見られなかったのはこれが初めてではない。

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脇を走る東海道線を電車が通過

せっかくの事業費を投じて整備されたハリヨ池であるが、趣ある湧水の中の光景は淋しい。
このような生き物の乏しさの原因は、やはりザリガニではないかと私は思う。

環境省によると近年、各地の水辺でオニバス等の在来水草が急減、それによってゲンゴロウなどの水生昆虫も姿を消しているが、同省は、ザリガニによる食害が原因と断定した。今年6月、アメリカザリガニを含む外来ザリガニ全種が「特定外来生物」に指定され、再放流禁止となった。
かつては私もザリガニ捕りなんかを楽しんでいたが、その生態系への影響の大きさが知られるようになり、認識をあらためた。
今となっては水辺からの根絶はかなり難しいかもしれないが、琵琶湖でのブルーギル・ブラックバスのように官民挙げて減らしていく取り組みが、特定外来生物指定を機に、趣ある水辺の復活に向けて求められると思う。
ハリヨの生態にも好影響となるだろう。

美濃路から垂井 不可侵な雰囲気の鉄路

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美濃路の松並木

さて帰路につく。
最も近いバス停からも距離があることから、西に3キロほどの垂井駅を目指す。
東海道線の関ヶ原−大垣間を北回りする「垂井線」の脇を南進。
そこから東海道と中山道を連絡する脇往還の「美濃路」に入り西進。
立派な松並木が沿道に続くが、歩道を圧迫した形に。心理的に車道から離れた側を歩きたいんだけど、並木の前で迂回するような格好になってしまう。昔のものが残っているのは貴重ではあるが、もうちょっと歩道幅に余裕があったら。車道を確保しなければならないので、歩道が制限されるのは仕方ないかもしれないが。なんかこう、景観がまとまらない感じがする。
できれば車通りの少ない静かな道を歩きたかったのだが、美濃路を並走する東海道本線を渡ったりくぐったりする道路がなくて、そのまま垂井駅の手前まで行くしかない。
沿線に市街地が広がっているにもかかわらず、駅間が8キロ以上もあったりして、かつ滋賀県では新設例も多い線路を跨ぐ道路はおろか、踏切すらないのは不思議な感じがする。地域<<<鉄道、というような、この地域における東海道本線の存在の絶大さというか、不可侵な雰囲気を感じ取った。


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旧中山道、垂井のまちなみ

そして池から歩くこと約40分、垂井のまちに着く。
美濃赤坂と同じく旧中山道の宿場町。上の写真の左奥の建物が酒店で、ここで缶ビールを買い、400メートルほど南にある垂井駅の広場に座り、ささやかな打ち上げとした。本日、金生山に行き、計約12キロを歩いたが、暑くて疲れた。
今回、東海道線の赤坂支線やバスを使い、半日歩き旅をしてみたわけだが、本日訪れた池にしても、車以外の交通手段を使って訪れることは想定されていないようだった。
まあ大体、行きたい場所は、そういったマイナーな場所が多いので仕方がない。
車で行くより、鉄道とかバスで行ったほうが、到達したときの感興が、がぜん大きい。
でも、車でしか行けなかったりする場所も多いし、何といっても短い時間で移動できるので、車が威力を発揮するケースも多々あるのだが。
歩きも含めて、ゆったりとその場所・時間を楽しむには、普通電車と公共交通が面白い。
半分行き当たりばったりであったが、地域の公共交通網を使い、意外性のあるルートを描いて回ってみたのだった。





posted by 進 敏朗 at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 水辺を見る(滋賀以東) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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