2022年11月08日

秋の低山行(その5)北勢めぐり

低山めぐり、三重県北勢へ

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藤原岳を望む北勢線の終点、阿下喜(あげき)駅(午前9時半ごろ)

健康増進目的での歩く場を求め、ついに三重県まで来た。
これは水辺のブログであるが、水辺を含め広く「地形」への愛好を込め、川や低山、鉄道などがあるこの地に来た。
冒頭の写真で駅の向こうにそびえる、藤原岳に登るわけではない。
北勢線の阿下喜を起点として、里をめぐることを企図。
車で、永源寺から石槫トンネルを抜けて約1時間半かけ到着した。
途中の永源寺ダム湖では紅葉が進みつつあって、朝の光に照らされ見事だった。
紅葉見物のほうが値打ちがあるのではとの思いがハンドルを握る脳裏をかすめた。
だが、コースなどを時間をかけ考えてきたので、自分の中で急な変更ができないのだった。

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特別なカラーとなっている北勢線の車両

乗りたかった北勢線

軽便電車に乗る
まずは電車に乗る。
時刻表も事前に確認。
意外だったのは黄色い車両ではなく、地元のスポーツチーム応援なのか黒と赤に塗装されている。

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くつろぎの車内

9時41分発、つぎの麻生田(おうだ)まで。軽便電車の小さく、ガタゴト揺れる車内。
前回、乗って桑名まで行ったのは3年も前だった。

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麻生田の台地

平坦な台地上の土地

麻生田駅で降りる。
河岸段丘上に麻生田駅はある。午前10時前に駅を発。
員弁川に面した南側は急坂だが、北はこのように平たい台地が広がっている。

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規則正しい植林

水利は恵まれていないのか田んぼはない。
東西、南北方向に、グリッド状に道がつくられている。
平らな土地では植林も整然としていた。
台地の上は、茶畑や杉林、宅地が広がる。

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茶畑が広がる

台地は北方向に緩やかに登っており、1キロくらい進んで右を見ると、段丘から降りる道があった。

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振り向けば台地の縁が

カーブの先は下り坂だ。

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急坂を下りる
坂、けっこう角度があって、ずんずんと下がっていく。

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下は田園

台地の下は田

下りると低い平地があり、いちばん低いところに山田川があって、低地には田んぼが広がる。
台地との高低差は40メートルくらいあるんじゃないか。
北勢のこのあたりは土地の隆起、陥没が激しいのか、至る所にこうした河岸段丘が発達している。
この地形を利用して、歩いてアップダウン、健康ウオークをしようという趣向。
まあ本当は、こうした坂をなるべく下らずに、登るようなコース取りをしたほうが、トレーニングにはなるんだけど、前日、新型コロナの4回目予防接種をしたところだったので、今回はちょっと軽めにしようとコースを検討した。

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川沿いの先に次の台地が見えてきた

段丘アップダウン

山田川の右岸をさかのぼること数分にして、新たな段丘が前方に見えてきた。
まっすぐ進み、前方の林の右側の崖沿いを登っていく。

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坂の上からの眺め。前方の台地の上に建物が見える

坂道を段丘上まで登り、南方向を振り返ると、樹木に覆われた麻生田の台地が見え、木立の切れ間に建物がのぞいている。
その向こうは鈴鹿山脈。

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棚田

東側に目をやると、川をはさんで別の段丘があって、斜面を利用した棚田もあり。
いい眺めだ。

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集落に入っていく(南中津原)

さて道を進む。
こちらの台地は水利に恵まれているのか田が広がり、集落はさらに高いところにあった。
石垣で両側をブロックされた坂道をのぼる。
どこを見ても景色がよくて、しかも静かだ。緩いアップダウンの連続で、少し歩くだけで景色が変わるので楽しい。
民家に大きな榧の木が生えている。

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鳥居と参道(鼓)

南中津原、北中津原、鼓、と、高台の集落に沿って北上。
出発地点の麻生田駅は、標高が95メートルくらいだったが、すでに200メートルを超えている。
麻生田駅から北に約5キロの宝林寺(東貝野)を前半の目標地点にする。そこまで11時半までに着くつもりが、回り道をし、また案外と距離があったため途中から急ぎ足になる。

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急に風が強まり木の葉舞う

東貝野の集落に向かう途中で海抜250メートルの峠というか川筋を分ける地点に達するが、急に風が出てきた
鼓集落を過ぎ、進路を西に替えたところで、尾根の切れ目から北西の風が突然強まり木の葉が舞う。北西の季節風が、北勢に吹きすさぶ。
きょうは午後から曇りそうな様子。もう少し風のない日が、野外活動にはベストだな。

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ソーラー発電の斜面

山の斜面ではソーラー発電も建設中。
木材にかわる資産になるだろうか。南向きだけに日当たりはよさそう。
これだけ地肌むき出しの斜面になれば、大雨時には土砂も相当流れるようになるのではないか。

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向こうに高い木が見えてきた

巨木が見えてきた

さあ急ぎ足で進み、悟入谷川を渡ると、木立の向こうに、ひときわ高い木が見えてきた。
あれが宝林寺のコウヨウザン(広葉杉)であろうか。

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宝林寺のコウヨウザン

高さ約20メートル、国内最大級というコウヨウザンの木は中国の原産で、江戸時代に植えられたという。

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大きくてまっすぐ
幹はほとんどまっすぐで、地面から根っこも見せずに、ずぼーんと垂直に生えている。

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枝が放射状に広がる
枝が傘のように放射状に広がっている。木の形状が特徴的だ。
威容を観ながら、しばし腰を下ろして水飲み休憩。
グーグルの表示では最短距離で5.2キロだったが、寄り道したのでここまで7.4キロ、かかった時間は1時間45分くらい。かなりの速歩だった。

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寺の裏山に登る

眺望を求め裏山に

さてこの宝林寺の西側から、林道が山へと伸びていた。
これを登っていけば眺望のポイントがあるのではと踏んで、入ってみた。

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黄色い土だ

車両用の舗装がされており歩きやすいが、急坂ですぐに息が切れる。
がけ面を見ると黄色い土。石灰岩ではなさそう。
滋賀県の山でもよく見るこれは何岩?

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見晴らしの良さそうなカーブ

だいぶ登って、地図では海抜320メートル、ヘアピンカーブにさしかかった。

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藤原岳が見える

カーブを折り返して少し登ったあたりに、木立が途切れた場所があって、送電線の鉄塔まじりであるが西への眺望がえられた。
藤原岳や、手前に何筋かの段丘が見える。

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藤原岳の右に視界を移したところ

視界を右に移して西北方向を見ると、いろいろな形をした山があって、手前には変電所。
段丘、田んぼ、山林。
変化に富んだ地形にしばし見入る。
林道、この奥へさらに登り道が続いて海抜600メートル以上のピークにもつながっているのだが、眺めの良い場所がこの先あるのかは分からず、体力的にもこれ以上は難しいので、きょうはここらでと引き返す。

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紅葉も始まった里

阿下喜へ引き返す

林道を下りて、こんどは西南へ進路を転じ、阿下喜駅を目指して歩くが、疲労が予想以上だった。
寝不足や、ワクチン接種の影響も出ているか。注射針を刺した利き腕でないほうの肩が痛む。
回り道をいろいろするつもりだったが割愛し、一応貝野川の橋は渡って、同川左岸を進むものの、最短に近いコースを行く。
それでも、行く先々の景色はすばらしい。

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段丘から降りる道(左)との分かれ目

河岸段丘の段丘面はほとんどが、木に覆われていて、「段丘斜面」というものは隠されている。
木がなかったら、段丘の形が分かるんだろうけどそうはいかず。
そこはこうして歩いてみたり、それをもとに頭でイメージを補ったりして、丘の形を思い描く。

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木立の向こうは田んぼ

暗い木立を抜けると、午後の光に照らされた田園が現れ、ドラマチックな感じ。
どこを切り取っても絵になる景色だ。

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貝野川を渡る

しかし疲労は激しく、空腹になり、はやく昼ごはんが食べたいという一心で貝野川を再び渡り、阿下喜の町に入ると食堂を探した。

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阿下喜の町並
川が「C」の字を描くように蛇行した台地上にある阿下喜の町。
旧北勢町、現いなべ市の中心部だけあって、そこそこ町は大きい。
食堂のラーメンはハムに白菜シイタケ、半割りゆで卵の入ったみそ味で、おいしかった。だが焼きそばが人気メニューのようだった。

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お菓子屋の看板の北勢線電車

どこを歩いてもいい景色だった

食堂を出ると空は一転、曇っており、風は冷たくは冬の到来を思わせた。
玩具店、金物店、青果店、などが街路に軒を連ねるが、やってない店も多い。昭和のにぎわいは失われてしまったのか。
かと思うとアートギャラリーもあり、新しい試みも見られる。
市街地も巡りたいが今回は体力が尽きた。
電車の絵が掲げられた駅前の菓子屋で大福を買う。
トータルで13キロくらい。高低差は230メートルあったほか、坂道もけっこうあった。
7000キロカロリーを消費すれば脂肪1キロが燃焼するとされる。
歩きだけだと、カロリー消費は緩やかなものにとどまるのだが、それでも約3時間の速歩や、急坂登りもあり、自分のなかではそこそこの運動強度があったものと推定。1000キロカロリーは消費したと信じたい。積み重ねが大事。

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ツートンカラー車両が来た

駅に電車は止まっておらず、さ帰るか、と思ったとき、遠くの段丘沿いを近づいてくる車両が認められ、待っていると、クリーム色と深緑のツートンカラー車両が到着した。
このカラーの車両は少ないようなので、いいものをみた。

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列車が来たところでこの日の日程を終了

電車と終着駅の町、段丘、藤原岳、川筋の多さに多彩な景色が展開する北勢のあたりの景色が好きなので、いつでも訪れたい。
posted by 進 敏朗 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 低山めぐり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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