天野川の土手からみたかぶと山(午前9時半ごろ)
醒井駅からかぶと山へ
平素の運動不足と酒、夜食等の生活を改善したい機運が生じ、自然に触れながらの体を動かす活動、「低山めぐり」を先日から実行した。
毎秋の健康診断がきっかけになっているのだが、半夜勤の後、夜食後すぐに睡眠という習慣が定着してしまいこの1年かつてなく胴回りが増した。動くことへのおっくうさが加速していく。この流れを変えたい。
何せ運動不足だから、低山でも息は切れるが、高低差200メートルくらいまでなら、休み休み歩けて、そこそこ運動にもなるんじゃないかという目論見。
先週(10月15日)、米原駅からすぐ東の太尾山(254メートル)に登った。
今回は、米原からさらにひと駅、醒井のかぶと山(284メートル)を目指す。
駅ホームからすぐに、天野川をはさんでそびえる低山。
どんな風景に出会えるのか。
イヌタデが原
イヌタデが原、雑草にみごたえ
朝の大垣行き快速で、醒井駅で降りたのは1人。
同駅から、いったん西に進んで天野川の橋を渡り約2キロ先の多和田に登山道の入り口がある。
まずは平地を歩いて足慣らし。
休耕田には、ピンク色をしたイヌタデがびっしりと咲き、庭にも生えている雑草なんだけど雲のような視覚効果で見ごたえがあった。
国道21号線の橋から見る丹生川
天野川につながる丹生川も朝の光を受けて澄んだ水が光る。
以前、夏に訪れた際には上流に設けられた堰から田に取水されて、まったく水のない石河原だったが、この季節はビワマスの産卵場として期待が高まる。
多和田の集落
山すそを時計回りに歩くこと30分。山裾の西端から北に回ると多和田の集落が見えてきた。
蚕の繭を引き延ばしてつくる真綿で栄え、そこから発展したキルトの郷鎮企業群。
低山の奥には伊吹山が頭を出す。
山の案内
歩きやすい山道
尾根先端部の高台、大宝神社の裏に登山口があった。
駐車スペースもあったが電車で来たのでそれは必要ない。親切にいろいろと説明してくれる地元のおじさんに謝して山に入った。
立派なクヌギの木
先週歩いた太尾山に続きこの山にも大きなクヌギの木があってたくさんドングリが落ちていた。
先ほど通過した天野川の橋にもドングリが入った動物のふんが落ちていた。イノシシが柵を超えて出てきたか。
山道は整備され、日当たりが良く、坂もそれほどきつくはなかった。でもたまに傾斜が大きなところもあって、ハアハアと息を切らしながら、止りながら歩いた。
環状列石と説明する看板
山には、「環状列石」と説明がある石の連なりがあった。
石のサイズのそろえ方とか並べ形はそこまで整っていない印象で、木も生えて全貌がよくわからず。ストーンサークルというにはぼやけた印象。
山頂は、砕かれた石灰岩が転がっていた。
山頂付近から琵琶湖側が見える
山頂付近の木の間から、琵琶湖方向の眺め。
山から琵琶湖が見える眺めはやはりいいものだ。
この日は対岸はうっすらと見えた。
粉吹きキノコ生える
キノコも数種類を見たが、相変わらず特定ができない。
南(東)側の眺め
登山口からは東へと進んだが、山頂からは北向きとなって尾根沿いを進む。
東海道本線、国道21号線、旧中山道と醒井の集落、その奥の山並みも。
穴が開いた石灰岩
山は石灰岩でできており、浸食を受けた岩がころがっている。
このあと、大規模な穴「風穴」にも通りがかる。
尾根の鞍部
尾根の鞍部には平たい場所もあって陽が差す。
ここに建物があったのだろうか。
岩が転がって庭園の趣。
ピーク付近
284メートルの山頂のほか、北側に310メートルくらいのピークがあり、そこにも行ってみたのだが、杉の木立に囲まれて眺望は得られず。
山の秘部「風穴」出現
多和田の風穴
歩いていくと柵で囲まれた一角があって岩に穴が開いていた。「多和田の風穴」とある。
穴をのぞき込みたいが柵の外からだと下までは見えず。かといって柵を越えると危ない。
風穴の説明看板
説明看板によると、深さは垂直に5メートル。
そこから横方向に穴が続き、奥にはコウモリのふんが積み重なっているという。
コウモリのふんはバットグアノといって肥料として売られているくらいだから、これを採りだせばいい作物が育つんじゃないかと思ったが、5メートルの穴に落ちてしまえば救出は困難だろう。
石灰岩が雨水で浸食されてできた風穴。山頂付近に「山の秘部」を見た気になった。
わずかに紅葉
尾根道にはツツジやカエデが植わっており、青もみじの中、わずかに紅葉が始まっていた。
レタスにぎり
尾根道の北端にあずまやがあり、ここで休憩、昼ごはん。
朝、残りのごはんで作ったが海苔がなく、レタスを海苔がわりに。
ヘビ。これもアオダイショウか
低山の観光施設
先週に続きヘビも出現。緑っぽいグレーと黄色の体色、つぶらな瞳。
山にできた観光施設
ここから登山道を外れ、林道から市道に出て北上。
山の原に牧場を模した観光施設がある。
踏切が鳴っているなあと山の中で思っていたが、それはこの施設から発されていたのだった。
のどかな里山にはびっしりと車が停まる。
各所の山に採石跡があって、石灰岩が金を生み出していたが、今では観光施設がお金を生み出すようになった。
山室の集落
山室湿原を目指す
県道を北上し、小規模な峠を抜けると下り坂の先に視界が開け、伊吹山を望む山室の集落が見えてきた。
各所に小山が点在して、少し歩くだけで伊吹山の見え方が変わるのも趣深い。
セイタカアワダチソウ、新幹線、伊吹山
いっとき各地で猛威を振るい、今では勢力が弱まったセイタカアワダチソウも、部分的に大繁殖していて、黄色く咲き誇る花をバックに伊吹山撮影。
東海道新幹線も快速で通過。
車窓から見えた田んぼの中の小山は何だろうと思っていたが、それは廃寺だった。
田園と秋空
古墳、廃寺、と小山はさまざまに利用されているようだった。
湿原は集落から北に離れ、新幹線の下をくぐり、山の谷に入ったところにあった。
山室湿原
もう10月も下旬であったので、サギソウはじめ湿地の植物の花は咲いておらず。
トンボは盛んに飛んでいた。ちょっと大きかったからハッチョウトンボではない。
遊歩道で一周。やはりシーズンは夏。あまり訪れる人もおらず、静かな中を歩いた。
柿の栽培地
地図では近距離に見えたが
予定では、ここから東方向に山越えして近江長岡駅を目指すはずだったが、予定よりも大幅に遅れてしまって、午後3時を過ぎ、迷ったら日没で危ないかもしれないので、予定変更して南へ醒井駅を目指した。
夕方近い天野川
歩き疲れて足が棒のようだ。
何とか天野川の橋にたどりつき、21号線を渡って中山道に入る。
醒井の清水
そこには有名な湧き水がある。
水をくんで飲むと、不思議と歩く気が起きる。
力を振り絞って醒井駅に到達。出発から約7時間、午後4時前。
歩いた距離はほぼ20キロ。左足の指の皮がはがれた感じがする。
醒井駅のホームとかぶと山
ホームに滑り込み、4時の電車に間に合い安堵。
国土地理院の地図を見て、山に破線の道が描かれているので、行けるかと思っていたところ、実際にはどこが道なのか分からず引き返すこと多数。後半はずっと舗装道をひたすら歩く行路となった。
本来はかぶと山のあと、2、3の尾根道を行くつもりだったが、ことごとく行けず、舗装道を行くことになった。
山の道って、よっぽど整備されたところでないと、素人には危なくて歩けたものではないと思い知った。
そして、地図で見ていると、このくらいの範囲なら歩けるか、と思っていたが、実際には20キロも歩くことになって足が棒になってしまい、あっという間に時間がなくなってしまった。脚力の衰弱を思い知らされる。
次は、もうちょっと無理のないように計画を立てたい。