2020年08月03日

野洲川中流2020

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野洲川中流の橋(午後2時半ごろ)

野洲川は滋賀県湖南地域住民にとって身近な川。
琵琶湖に注ぐ県内の川では最大級だが、魚影は薄い気がする。
ことし5、6月の下流でのコアユ捕りなんかは、2匹とか、ゼロとか、悲惨としか言いようがなかった。
だけれども、7月前半には下流でまとまった数が網に入り、やはり遡上はあったとみられ、例年にない降雨があった梅雨が明けた8月初め、豊かな流れを保つ中流に鮎がいるのではないかと探索する。
野洲川漁協が今シーズンから解散してしまったので、放流は行われず天然遡上の鮎しかいない。

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粘土盤

甲賀市水口町あたり。
川岸の白っぽい岩は、岩ではなくて、古琵琶湖層由来の粘土が固まったもの。
琵琶湖がいまの場所にできる前の大昔、「甲賀湖」という湖が甲賀市一帯にあったそうな。
野洲川はそのあたりを流れている。
この粘土、乾いているときはひびが入ってかちかちだが、濡れたら、まるで巨大な石けんのようにつるっと滑って転倒するので、上を歩くのは非常に危ない。
この粘土層が多いので、野洲川は薄く濁ったような水の色になる。
それが鮎の数にも影響しているだろうか?

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鮎が入った

梅雨明けから4日くらいしかたってないというのに水量が多くない。
青土ダムからの放水を絞っているのか。
つるつる粘土盤に足を取られながら、よさげなポイントを歩き回って探し、網を投げると鮎が入った。

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鮎だ

立派な鮎が入った。しかし、後が続かない。
なかなか捕れそうな場所を探すのが難しい。

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ムギツク

ムギツクがとれる。
とがった口、その割に尾が太くずん胴に見える魚体、真ん中に入った黒い一本線、オレンジ色の尾びれなど、ちょっと独特の形をしたコイ科の小魚。
やっぱり琵琶湖水系は魚種が豊富だな、などと見入る。

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バス稚魚?

見覚えのない魚が捕れた。
色や模様はギルに似ているが細長い。でもブラックバス(オオクチバス)ともちょっと違うような。
これが流れる川の中を生息域にしているというコクチバスというやつなのか。持ち帰ることにする。

追記:コクチバスは、野洲川では青土ダムに定着していることが報告されていた。魚を捕った現場はダムよりも下流だが、ここで捕れたということは野洲川中流域で広範囲に生息しているのかもしれない。ただでさえアユ生息にとって微妙な環境に、ますます厳しい条件が加わっていると言えるだろう。

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雄大な野洲川の風景

野洲川の中流の風景は雄大だ。その川景色にはほれぼれする。
しかし、流れの中には魚が少ない。
網の中に何ひとつ入らない、ということがほとんどだった。

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水の色

古琵琶湖層の粘土がとくに厚い地帯を流れてくる最大の支流、杣川(そまがわ)との合流点より下流は、水量こそ多くなっているが、水の色は上の写真のように薄濁りが増している。グーグルの衛星写真からも、白ナイル川と青ナイル川との合流のような、水の混ざり具合が確認できる。

野洲川はなぜ、鮎が少ないのか。
そもそも琵琶湖の鮎は、湖の北のほうに多くて南は少なめということがある。
加えてこの水質。
粘土質の薄濁りに加え、中流域に10万人以上の人口があり(湖南市や甲賀市の大半)、下水網が整備されたとはいえ工場立地や田んぼも多いという事情(生活排水、工業、農業排水などの影響)もあろう。
そして県内最大のカワウコロニーが同河畔にあり、コクチバスもいるとなれば、三重苦、四重苦を背負っているようなもの。

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とれた魚

しかしそれでも、鈴鹿山脈に源を発している本流は澄んでいて、ぶじ遡上できた鮎は大きくなれるようだった。
捕れたのは17センチ。身に厚みがある天然鮎。
ここまで育つのはさすがに時間がかかると思うので、7月に遡上したやつではないと思われる。もっと早いどっかの時期に遡上があるのだろう。

野洲川も、決して捨てたものではないことがやってみて分かった。
でも、これ以上の数を捕るのはなかなか厳しいものがあるんじゃないかと思わずにはいられない。
湖南地域のホーム河川、野洲川。
県内のほかの川にくらべて環境的には厳しくても、もっと都市部の暮らしとか広い目で見れば、まだこんな自然が身近にあるだけましと思わないといけないだろう。


posted by 進 敏朗 at 21:42| Comment(0) | 漁撈活動記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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