2020年07月17日

法金剛院のハス

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満開のハスの花

山陰本線・花園駅は雨の中。
京の花の名所、法金剛院を訪れた。
花園、ここは30年以上前、受験のため鳥取県から京を訪れたときに泊まった宿があった思い出の地。
丸太町通にあったその宿はなく、古かった駅舎も高架駅に。
でも妙心寺前の丸太町通のカーブやアップダウンの感じは昔のまま。
そこで初めて知った「餃子の王将」も、二階建ての建物になって繁盛している。

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ハスで埋め尽くされる庭園

ハス見学は2日前までに予約が必要で、受付では検温も。コロナ対策で庭園だけの見学となった。
そのためか見学者はそれほど多くなくて、静かで庭園の情趣を楽しめた。

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境内案内図

平安初期に貴族の別荘として開発された法金剛院。
その由来を、下の写真にアップした。
「法金剛院」と名付けたのは平安末期の待賢門院で、今に伝わる庭園とかはこの時に造営されたのではということだった。
京都で平安時代のようすがわかる庭園や建築は案外少なくて、貴重な機会だった。

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法金剛院の案内看板

ホテルなどの観光開発が近年急速に進む京都だが、右京の花園駅前は案外静かだ。
法金剛院は丸太町通の花園駅正面にあって、静寂に包まれる。
右京の静寂はうちが守ると主張しているような。

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傘の花

塀の外の車の音も庭園の緑に吸いとられ、俗界とは遮断された浄土のような庭園。


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庭園のハス

庭園のハスは水面から高く伸びて繁茂し一風変わった風景だ。

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現存する国内最古の人工滝、青女の滝

そして見たかったのが、現存する国内最古の人工の滝「青女の滝」。
どんなだろうと見てみたら、巨石を組み合わせ、まるで古墳の石室のような趣だった。
もしかしてその石室づくりの技術が転用されたのか。あんまり自然のミニチュア再現といった感はなく、いかつい見た目だ。
石は垂直よりも内側にへっこんで水が空中に落ちるようになっている。
そのサイズ感、部屋のようにくぼんだ滝の形状から、もしかして、滝の下に人が立って、水ごりができるように設計されたのかも、などと思ってしまう。
ともあれ、池の上流に滝があって、やっぱりこれは、水が山の源流から来て池に注いでいることを表しているのではないかと思った。

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池の洲浜とコイ

滝の下流にある池は、説明板によると昭和45(1970)年に発掘されたとある。上に建物が立っていた時代もあったようだが、池は平安時代の形をとどめているとみられる。

一角には丸石を用いた洲浜があって、コイが浅瀬に群れていた。
池の洲浜は、近年平安時代のつくりが復元された平等院鳳凰堂の池にも見られるが、この洲浜も平安時代の意匠だったのか。

やせたコイが背中を出して、浅瀬の石についた藻のあたりを盛んに食んでいる。
必要以上の餌は与えないのだろう。なんというか寺全体から質素な雰囲気がにじみ出ている。

DSC_0386 水滴.jpg
ハスの水滴

鉢植えのハスは間近に見られて良い雰囲気。
小雨の中、葉に落ちる水滴がころころとはじかれていくのも趣があった。
やっぱり庭園に池は必須であったのだなあと、平安貴族の庭づくりを思った。


posted by 進 敏朗 at 00:21| Comment(0) | 水辺を見る(滋賀以西) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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