岩盤を削り滝が落ちる
春の彼岸から10日あまり遅れ車で帰省。
この日は気温は低めながら穏やかな天気。
篠山、和田山経由の9号線ルートの途中、北寄りにそれて神鍋山に向かった。
神鍋は兵庫県北部にある高さ467メートルの火山。
近畿地方では火山というものがめずらしいうえ、この神鍋山には火口が残る。
山の付近に、いくつか滝があるということで寄ってみた。
いちばん立派なのは「八反の滝」。
駐車場から、のぞき込むと向こうのほうに、渓流が岩盤を削り、滝が流れ落ちているのがいきなり見える。
滝つぼが見えてきた。
滝までは、山を下りていき、50メートルくらいくだっただろうか。
大きな滝つぼが見えてきた。
八反の滝
岩壁を流れ落ちる滝、高低差30メートルくらいあるかと思った。
じっさいには24メートル。
行楽客も数人ちらほら。
滝つぼの池が広くて、神秘的だ。
滝は火山地形とも関係しているのであろう。
神鍋山が噴火したとき、川の流路を溶岩がせき止め、水が溶岩を削って滝などができたと思われる。
具体的に、滝が流れ落ちているあの岩が溶岩なのか、滝つぼは何岩なのか。
岩を見て、うーんどうなんだろうと思いをめぐらせる。
岩壁の縦に深く切れ込んだ筋は、溶岩が冷えてできた節理にも見えるが、よくわからず。
カタクリの花(ピンボケ)
駐車場付近にはカタクリの花も咲いてた。
山里の春情緒が感じられる。
駐車場付近
冬はスキー場のゲレンデとしても利用される神鍋山。
しかし記録的な暖冬のため、積雪はほとんどなかったみたい。
止まったリフトを眺め車を降りる。
登山のはじまりが、すでに標高350メートル付近なので、あと110メートルくらい上がれば火口なのだった。
火口への道
しかも火口へは、このように舗装道路が続いているのだった。
坂も、そんなに急なことはなくて、これは楽だ。
この春、ふたたび鈴鹿山系に登ろうとしている準備運動も兼ねているが、これでは楽すぎて、準備運動の効果がじゅうぶんに得られないかも。
火口に出る
15分か、20分もしないうちに、火口に出た。
火星の表面のような、赤茶けた石が覆っている。
ここが、2万5000年前に噴火があったという神鍋山の火口。
火口
全景を撮ろうとしたが、広くて収まらない。
フェンスなどはなくて、万が一、落ちても、歩いて登ってこれるくらいの傾斜がある。
底は、湿地のような感じではあるが、池はなくて、水は吸い込まれていくようだった。
立っていた看板
看板を見て、全景を理解。
山の直径約700メートル、比高120メートル、火口の深さは約40メートルで、周囲は750メートル。
ちょうど、1年前にのぼった京都府北部の田倉山と規模が似ているミニ火山だ(2019年3月3日記事「夜久野溶岩台地行(上・下)参照」。
この神鍋山のすぐ周囲数キロには、いくつかの小さな火山があって火山群を形成している。
付近での噴火は約70万年前から始まり、いちばん新しいのがこの神鍋山で2万5千年前。
次の噴火もいつかあるのかもしれない。
この日は、火山の地層や風穴は見ずに、下見程度の低山行に。
つぎ機会があればほかのミニ火山や、滝、地層などを見て総合的なミニ火山学習の機会としたい。