2018年10月24日

曽爾高原

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鎧岳(左)と兜岳

奈良県の曽爾高原に行く。
瀬田から信楽、伊賀市、名張市と南下するが、青蓮寺湖のダム湖沿いを通り曽爾に至る県道81号線が通行止めになっており、険道を通って国道368号線に抜け、東回りに名張川沿いを南下。
廃校の小学校を見、回り道をして曽爾村に到達したら、出発から3時間近くがたっていた。

見たことのない尖った形をした山が見えてきた。鎧岳(894メートル)だ。

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曽爾高原

曽爾高原は俱留尊(くろそ)山(1037メートル)の西側斜面に広がるススキが原。
なぜここに、ススキが広がっているのか。毎年、山焼きを行って草原を維持しているようだった。

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お亀池

高原はすり鉢状の地形になっていて、くぼんだ場所があり池があった。
谷を人工的に仕切っているのではなくて、天然のくぼ地で、水がたまっており池となっていた。

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穂が広がりかけたススキ

ススキは池の周りでよく育っていた。
この池の存在が、ススキが原と関係があるように思われた。

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池の水面

池はだいぶ浅くて、水の中をみると、陸地の植物が生えていたから、昨晩の雨で増水したものだとわかった。
おそらく山から流れてきた泥が、池底に厚くたまっているのではないだろうか。


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山里の景観

切り立った巨岩の風景。火砕流が固まった溶結凝灰岩でできているという。
かつて日本海ができた1500万年前のころは、このあたりから紀伊半島にかけて、大規模な火山活動があった。それの跡だという。
どれくらい大規模な火山活動かというと、このような火砕流が厚さ数百メートルも堆積するくらいだから、それはもう破滅的な火山活動だったに違いない。
ここらあたりで堆積した火砕流を、「室生火砕流堆積物」という。
溶結凝灰岩は、その火砕流が冷えて固まった岩にほかならない。

火砕流に覆われた地形はもともと、もっと平らだったはずだが、そうした火砕流が固まった岩はそんなに固くないので、雨で削り取られるなどし、固い岩の芯みたいな部分が残ってこのような山になったと考えるという。

曽爾高原の池、なぜあそこに池があるのか。
それは、山崩れなどでくぼ地状の地形ができたのが原因とみられるという。火砕流からできた岩はもろいから。
ということは、大地震になると、こうした険しい形をした山は、大規模に崩れるおそれもあるということなのか。恐ろしい話だ。

いまでは近畿地方のこのあたりには火山はないのだけど、昔の陸地のつくりは、だいぶ違っていたみたい。

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鎧岳を東側から見る

それにしても緊迫感を誘う形だ。

こんな険しい山、登ることはできるんだろうかと思ったが、調べると西側のほうから登山道があるみたい。

DSCN9957 鹿.jpg
鹿

里を流れる青蓮寺川に降りようとしたら、鹿に遭遇。もう1頭、河原のほうから出てきてほうにのぼっていった。
ジャンプが軽やかだった。遠目に見ると、鹿は軽快な動物だ。
山の中でだいぶ増えているのだろう。

DSCN9971 河原の岩.jpg
河原の岩

鹿の足跡が残る河原には、灰色をした岩が横たわっている。
こういう灰色の岩は滋賀県ではあまり見ない気がする。
これもあの山と同じ岩なのか。

よく見ると、岩の中に、別の石が閉じ込められたような模様がある。
もと火砕流なのか。火砕流、固まって岩になるなんて、まったく大地の働きはすごいもんだなと思った。





posted by 進 敏朗 at 09:35| Comment(0) | 水辺を見る(滋賀以西) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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