
野外展示の作品
静岡県掛川市の芸術祭「掛川茶エンナーレ」を見た。
掛川は訪れたのは初めてだったので視界に入るものすべてが新鮮だった。
知らない町や土地を訪ねること自体が楽しいという面が大きい。
日帰りというスケジュールで、車で訪れた。
しかし、最初は駅前駐車場に停め、あたかも電車で来たふりをして町中をめぐった。
街をみると、駅前にも現代彫刻とか、小石を集めた曲線美のプロムナードとかあり、まちなかにも戦国武将の妻の内助の功をモチーフにしたレリーフとか、すでに町中のいたるところに「芸術作品」が集積している観があった。
そのような中で「茶エンナーレ」の作品だけを他の景観と区別して見ることは難しいくらいだった。

掛川城と、手前に流れる逆川
掛川城に到達する手前で、川が流れていた。この川が深い崖のようになっていて、それが「欠けた川」、掛川の地名の由来になっているらしかった。それを後で知った。訪れたときには、台風の影響か濁った水が下のほうを流れていて、水辺に近づきにくいなあと思って通り過ぎたが、後になってちょっと悔やまれた。

天守閣から眺めた市街地(西の方角)と深い谷間となって流れる逆川

初冠雪が前日あった富士山を視認
基本このブログは水辺のことを中心にしているので、あと水辺にこじつけて記すと、屋敷の庭園や中庭でいい感じの池があった。

大商人屋敷にあったいい感じの池
市南西部の横須賀地区には湧水池の庭園があり、それは作品鑑賞とは関係なしに見たいなあと思っていたが、この日は休館だった。

明治期の重要文化財建築を会場にした展示
城や御殿、明治期の公会堂など、さまざまな建築があって、作品の展示に趣があった。
何よりもこの日は晴天で、光のあたりが良かったのが幸運だった。

日干し煉瓦の作品
茶殻を練り込んだ日干し煉瓦の作品があった。
茶殻の練り込み感が、見た感じでははっきりわからなかったが、内部は茶殻なのだろうかと興味をひかれた。
茶の香りはしなかった。
思いのほか角がシャープだ。日干し煉瓦、どれくらい風雨に耐えられるのかが知りたかった。

五明のお茶
茶園にも、作品が展示されていた。
五明地区では、お茶をいただいた。静岡の茶は、滋賀県のとは違って、緑色をしていた。
茶葉は、いつも飲む煎茶よりも細かく、粉々になっていた。深い味わいだった。

茶園
滋賀県でも、信楽や、土山など茶の産地はあるが「黄色い茶ですか」と尋ねられた。
同じ緑茶だと思っていたが、土地が違えば茶の製法も違うんだなあと知った。
あと、期間中、番茶も製造中で、どんな味がするのか興味を引かれた。

原泉の河原
午前中、掛川城や、大日本報徳社、「まちなかエリア」を回り、ラーメン屋で昼食をとった後、資生堂アートハウス、ガラス建築で内部にバルーンの作品が展示されていた市役所、そのあと五明エリア、さらにはアート展示会場ではないがねむの木村なども見て回った。
午後はかなりの急ぎ足だった。
最後は原田・原泉エリアを見て帰ろうとしたが回り切れなかった。
とても、1日では回り切れない。ほかに3エリアあるのだけど、それら全部をゆっくり回ろうと思ったら、最低でも2日、3日くらいはかけたほうがいいんじゃないかと思われた。

7年前に稼働を止めた製茶工場のスイッチ類
明治期の和洋折衷から、現代建築、再建された天守閣、廃業した製茶工場など、作品が展示されている建築が多様で、会場となっている建築物のスケールが大きく、その分展示作品もひきたった。まちの中の建築物を最大限にいかしている感じがしてよかった。

製茶工場内の作品展示
このようにアート観光を満喫した一日だった。
会期中に、また来る機会があればいいが…しかし、日帰りでも高速道路料金とかの出費がかさみ、けっこう遠くて、思いのほか疲れた。次、来る機会があればいいのだが。

河原の石