2017年04月24日

三上山に登る

三上山.jpg
三上山(午前8時20分ごろ)

三上山(みかみやま)はその形から「近江富士」といわれ、滋賀県南部では知らない人はいない(たぶん)。

標高は432メートルと低い。
だが平野の中に立っているので目立つ地域のシンボル的山。
滋賀に住んで四半世紀となるが、登ったことはなかった。

今こそ登る時では。このように感じ天気の良い日を選び決行した。

表登山道入り口.jpg

8時半過ぎ表登山口着。
ここには駐車場はないが自転車で来たので大丈夫。

ちなみに駐車場は西側の裏登山道入口にある。

登山口の標高はほぼ100メートルで、だいたい330メートル登ることになる。

さて、ゲートを開け登りはじめると段差の大きな石段で早くも息切れ。
お堂跡地で休み、もう引き返そうかと思った。

表登山道.jpg
登山路の様子

でもそこからはやや傾斜が強い登山路が続く。足元に、いい案配で石が配置してあるのか自然に散らばっているのかわからないが、歩幅としっくりきて、しんどいながらも一定のペースを保ち進む。

割岩の案内.jpg

しばらく進むと上の写真のような看板にいきあたった。

割岩.jpg
割岩

ここが三上山登山の見どころのひとつ割岩で、大きな岩が割れた狭い隙間を進むものだ。

割岩の中.jpg
割岩から空を見る

進むのは難しくはなかった。外に出ると山中に生まれ出たような気分に。

褶曲.jpg
褶曲した岩

ところでこの山の岩を見ていると、堆積岩のような、地層の重なりみたいなものがあって褶曲が見られる。
これは火山が起源の火成岩ではなくて堆積岩ではないの? と不思議に思ったが、あとで調べると、もと堆積岩が熱変成をうけて固くなった変成岩であるという。

こないだ登った彦根市南部の荒神山は、火砕流が固まった湖東流紋岩でできていた。

岩の節理.jpg
三上山の岩がつくりだす節理

この三上山は、8000万年前か1億年前に湖東にあった巨大カルデラ火山のとなりで、熱を受けた堆積岩が変成、隆起して、周囲の花崗岩が風化して崩れていくなかで残った巨大な岩の塊のようだ。

この山の隣にある妙光寺山の山麓なんかは、風化が進んだ花崗岩で、足を踏みしめた先から崩れていくようなもろさだったけど、この山は足場が固くてくてしっかりしている。

ただ富士山型をしているだけでなく、岩質も周囲の山とちょっと違っていたのだった。

さて、割岩から上は岩場が広がっていて、傾斜も急になって、手も使いながら登っていく。

眺望.jpg
下界を見晴らす

頂上の手前で下界を見晴らす場所に出た。

野洲川下流の平野が広がる。そして堤防内を蛇行する野洲川、向こうには琵琶湖、比良山系はかすんでいる。

古代の首長はたぶんここから平野や琵琶湖を見て、見える範囲が自分らの国だと思っただろう。

三上山のふもと、大岩山古墳群と呼ばれる付近からは、最大の銅鐸が出土していることも印象深い。


野洲川と東海道新幹線.jpg
野洲川を渡る東海道新幹線

新幹線も見える。山の上まで、鉄橋を渡る音が響いてくる。
8号線を往来する車両の音も聞こえる。音的には、山の静けさはちょっと少ない。

水田.jpg
水が引かれつつある水田

乾いた土に水が引かれ、平野に水気が満ちようとしている。

御池.jpg
青い水をたたえる御池

三上山の北の谷地にある「御池」が、青いシールを貼ったように平たい。

トンビ.jpg
トンビ

ピーヒョロロと鳴くトンビも風を切り、何かワイルドに見える。

ほどなく頂上の鳥居が見えてきた。

山頂部.jpg
山頂の鳥居

時刻を見ると9時半すぎで、途中2回休憩してだいたい1時間。

日の丸.jpg
頂上にはためく日の丸の旗

ただ頂上は木に囲まれていて下界が見えづらい。

ここから、入って来たほうとは反対側から降りはじめたが、そこは山の南側にある花緑公園へのルートだった。

引き返さないと、このまま降りたらもとの登山口までだいぶ歩かないといけない。そこで、途中で山腹を左回りに回る道を通に右折し、ゼンマイの野の中を歩いた。

ぜんまい園.jpg
ゼンマイ野

そうしてだいぶ歩いたが、裏登山道に合流し、下山の途に就くことができた。

檜皮の材料.jpg
檜皮を取る檜

赤い肌の立派な針葉樹が何本かあってアカマツかなと思ったら、看板があって、御上(みかみ)神社の檜皮用に育てているので傷をつけないでくださいと看板があり、ヒノキなのか。

三上山は、御上神社のご神体となって、神社の素材も古来、ここから採っているようだった。

山崩れ原.jpg
大規模な土砂崩れ跡

山の西麓に土砂崩れした跡が広がる。そこは、黄土色っぽくて花崗岩が風化した砂のようだった。
斜面のすぐ下に集落があり、これは危ない。

山の水源流.jpg
穴から水が

登山道のわきの岩に穴があいており、水が出ている。
川の源流のようだ。

三上山の表登山道では、水気が感じられなかった。固い岩のせいか、この山には深く削られた谷というものがない。水が浸透しにくい山なのだろうか。その点も、山中に豊かな沢水が流れていた荒神山とは印象が違っていた。

山水.jpg
山水

裏登山道駐車場まで降りると11時になっていた。
駐車場の横に、さきほどの山水や土砂崩れ原からの水を引いた石製の樋があり、小さな滝となって落ちていた。

これをカップですくい、口に含んでみた。

…強烈な檜皮臭がし、すぐに吐き出した。土砂崩れ現場のほうに、刈った枝などが大量に落ちていた。それを含んだ水だったようだ。

山モニュメント.jpg
石製三上山モニュメント

登り始めはしんどかったけど、意外と余力を残して下山することができた。
自転車で春風の中を帰った。


posted by 進 敏朗 at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 低山めぐり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック