犬上川(午前11時半ごろ)
湖東三山のひとつ西明寺の紅葉を見、観光客で込みだす頃合いに脱して犬上川に来た。
釣りや投網をしにくるのは下流部だが、この日は頭首工よりも上流を眺めた。
頭首工よりも上流は、川が岩盤を削って周囲の地面よりも10メートルほど掘り下げられていて趣がある。
河原の石
広い河原に下りてみた。
すると石が、どういうわけか赤や緑、黄色、白、いろんな色や質感があって、むだに多様な気がする。
調べると、犬上川は、いろんな形をした石をめでる水石ファンには有名な川らしい。
古生代のサンゴ礁が起源の石灰岩地帯もあれば、中生代の火山起源の石や、海底の溶岩が冷えたもの、深海に降り積もった生物が固まったものなど、いろいろな地質が流域で見られることが原因らしい。
コンクリ片もカラフルに
河原の石を混ぜてつくったとみられるコンクリ片が落ちていた。
最初、これは火砕流が石をとりこんでできた凝灰岩ではないかと思ったが、何のことはない単なる建築廃材だった。
がしかし、無造作に川石を混ぜたにしては、色がカラフルで趣があった。なかなかこんなコンクリにはお目にかかれないのでは。これも犬上川の多様な石がなせる業なのか。
浸食をうけた石灰岩
石灰岩も多い。灰色モノトーンで色合いは面白くないが、水の浸食を受けやすくて、いろいろな形ができる。この石は真ん中が水の通り道になっていたらしくくぼんでトンネル状になっていた。
犬上川は鈴鹿山脈が源流だけど、鈴鹿山脈が隆起する100万年より前の時代には、今とは逆向きに流れて伊勢湾にそそいでいたという。
琵琶湖は現在の位置になく、蒲生湖とか甲賀湖とかの時代で、滋賀県は全体がもっと高原状の地形だったかもしれない。
いま地図をみると、犬上川上流の鞍掛峠の向こう側、三重県側に、犬上川の流路の延長線とつながるように員弁川(いなべがわ)支流の谷があって、太古の昔には両側がつながっていたのではと思わせる。
今回車で峠越えをしてその痕跡を確かめてみたいと思ったが、国道306号線が土砂崩れの影響で、様子をみるため長期にわたり通行止めとなっており、仕方なく引き返した。
ラベル:犬上川