滋賀県の「鮎資源情報」で、ことしのアユの産卵第3次調査(9月26〜10月5日)が発表されていた。
それによると、産卵数は170億粒、この第3次調査までの累計が177億粒で、平年(過去10年の平均)の106億粒を1.6倍くらい上回っている。
この調査は毎年、11月まで、5次にわたり行われているが、産卵のピークは、この9月下旬から10月初めにかけての第3次調査。
これを見ると、今年の産卵は順調のようだ。過去10年のうちには平年の数パーセントと異常に少ない年もあったから、平年よりやや多いくらいではないだろうか。
この調査は毎年、琵琶湖にそそぐ11河川で行われている(湖西から時計回りに和邇川、安曇川南流・北流、石田川、知内川、塩津大川、姉川、天野川、芹川、犬上川、愛知川、野洲川)。
ここしか川がないわけでななくて、ほかにも真野川とか、鵜川、余呉川、日野川とかたくさん川があるが先にあげた11河川が代表的な川みたいだ。
第3次調査を川別にみると、姉川が88億粒と最も多くて全体の半分強を占めている。
流域面積でみると姉川は滋賀県の陸地部分の10分の1くらいだから、こんなに半分強も集まるとは極端だ。福井、岐阜県境の深山を源流に流れてくる水がいいのだろうか。姉川は鮎にとって最も重要な川のようだ。ダムがつくられなくてよかった。
つぎが知内川の33億粒で、川の規模を考えると密度は姉川以上だ。
そして今年は、この数年間では見られなかった現象があり、例年あんまり多くない犬上川で23億粒とあり、3番目に多い。
同じ湖東側の愛知川が「増水」とあり、調査できない状態だったことから、断流もしばしばの犬上川が例年になく流量が多くて産卵の条件に恵まれたのかもしれない。
いつもは、姉川と安曇川を結ぶラインの北側の川ばかりで産卵が多く、湖東側の川ではわずかにしか産卵がみられないのに、今年は違った現象がみられて興味深い。
ここまでの3河川で全体の8割以上を占めている。
つぎに石田川が8億粒、塩津大川が7億粒と、湖西湖北の「常連」が続くが、湖西の大河川、安曇川が北流南流合わせて3億粒と意外なほど少ない。安曇川は北隣の石田川の6、7倍は大きな川。水もきれいなのに。何が鮎をそうさてているのか、自然は不思議だ。
滋賀南部住民のホーム河川、野洲川での産卵は、0.1億粒と、非常に少なかった。
野洲川は琵琶湖にそそぐ川では姉川とならび最大級の流域面積があるが、鮎の産卵は姉川の880分の1。この「南北格差」はすさまじい。
この9月、ビワマスを見に野洲川に行っていたが、ビワマスの産卵もあるいはこれくらいの格差があるのだろうか。もしそうなら姉川に行くとどんな光景が見られるのかと興味をそそられる。
ともあれ、今年のアユの産卵は順調のようだ。
ところでこの川別の産卵数は、川に遡上する鮎の密度とは比例しないと思われるので、野洲川でも来年、たくさんの鮎の遡上がみられるだろう。
また、近年は春までに、琵琶湖の中でヒウオの数が激減する現象も見られたりするが、それさえなければ、来年も鮎の順調な遡上がみられるだろう。
こうした調査はもっぱら漁業や水産業に携わる方のために行われているプロ向けの情報だと思うが、こうしたデータが公開されて素人投網ファンにとっても楽しみとなっている。ありがたいことだ。
2016年10月13日
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