2016年08月19日

葦毛湿原のモウセンゴケ

湿原.jpg
葦毛湿原(午前10時20分ごろ)

朝6時から早朝から東海道線を東進し愛知県の豊橋へ。
「青春18きっぷ」(11850円)で今夏は岐阜、福井、名古屋へ赴き、この豊橋行で計2万円近い区間を乗ったことになり、同きっぷのメリットを享受した。

滋賀南部から特急券を使わず2時間で行ける範囲は京都、大阪、兵庫、奈良、三重、愛知、岐阜、福井と近畿東海北陸の8府県にまたがっているので「青春18きっぷ」は滋賀南部の住民には使いでがあるのだった。

愛知県東南の豊橋だとさすがに3時間はかかるのだが、まあぎりぎり、行先である程度の時間を過ごして日帰りが可能か。

滋賀県から愛知方面への接続は、たいてい米原、大垣で乗り換えねばならないが、午前7時7分発米原始発の新快速浜松行きというロングラン快速があり、乗り換えが米原だけで済み便利だった。

9時25分、電車が豊橋に着くと、9時半発の豊鉄バス63系統が東口「3番のりば」に待っている。
5分で接続というタイミングのよさがうれしい。

バスは30分に1本あり、所要時間も30分弱。このバスでなくても、いったん路面電車に乗り、終点の「赤岩口」からバスに乗り換えるルートもあるので、交通の便に恵まれている。

バスは夏休み期間中、小学生はどこまで乗っても50円と、粋なサービスを行っていた。豊橋はバス路線も多いから、これをうまく活用すればいろんなところに行けるのではないか。

湿原下流のため池.jpg
湿原下流のため池

10時ごろ、「岩崎・葦毛湿原(いもうしつげん)」のバス停に到着(運賃400円)。
町はずれの、滋賀県でいえば大津の田上の湖南アルプスのふもとの雰囲気に似ている。

ここから湿原まで歩いて約10分。駐車場付近に、いい感じのため池がある。水が透んでいて、いろいろの水草が生えているので、近くで観察したいが岸辺に降りることはできない。

また、田んぼの取水口が幅1メートルくらいのちょっとした池みたいになっていてドジョウとかがいて趣があった。

湿原だけじゃなくてこうした湿地も気になるのだった。

この湿原は3月にも来たのだったが、そのとき、夏場に見られるというモウセンゴケなどの植物が見たかった。

湿原に至ると、冒頭の写真のような広い場所に出た。
雨が降っていないせいか、水が少ない。

葦毛湿原は、広さが約3万平方メートル強で、こじんまりとしたガーデンのような地形に趣を感じた。

モウセンゴケ.jpg
モウセンゴケ

最初はモウセンゴケというものをよく知らずにおり、黒っぽいミズゴケのような感じの泥っぽいものに覆われた一帯に、直径10センチくらいの赤黒い感じの放射状に生えた草がぼたぼたという感じで群生していて、ちょっと不気味な感じがした。

「モウセンゴケどこなのかな」と探し回って、遊歩道全体を巡ってみて、ようやく初めにみたあれがそうだったのかとわかった。

そこは湿原の中では真ん中やや上のあたりの水が流れている周辺だった。

モウセンゴケ2.jpg
水滴が葉についている

これらは、遊歩道から約30センチ低い地面にへばりつくように生えているので、これをよく観察するには遊歩道の上にはいつくばってみる必要があった。

きょうは平日のせいか訪れる人は少なくて幸い他の人の妨げになるようなことはなかった。

それで細かい部分を見ると、葉っぱの表面にねばねばした毛が生えていて、それで虫をとらえて栄養をとるという。食虫植物だが、この日は虫が捕えられたようすを観察することはできなかった。
まあ全体が繊細なので、虫を捕えるといってもごく小さなサイズの羽虫くらいなのではないか。

日差しが強くて暑い。植物も、日照りに耐えているようだった。
湿原というと涼しいイメージがあるがここは標高も低く、日陰もないうえ、水も枯渇気味で午前中というのにとても暑かった。

ピンク色の花.jpg
ピンク色の花

近くにはピンク色の小さな5弁の花が咲いている。
ああ花があるな、と思って、とりあえず写真に撮ったが、後で調べるとこれがモウセンゴケの花であるようだった。

モウセンゴケというから苔の仲間かと思っていたが、花の形からみるとそうじゃなくて被子植物のようだった。

花がピンク色なのはトウカイモウセンゴケという種類で、モウセンゴケは白い花だという。白い花は確認していなかった。


サギソウ.jpg
サギソウ

白い花がサギのような形をしたサギソウの花もあった。
繊細な形が美しかった。

ミズギボウシ.jpg
ランの仲間ミズギボウシ

サギソウなどランの仲間は、こうした岩場のちょっとした水場とか、ほかの植物が生えにくい場所に適応した植物だと聞いたことがある。栄養がほとんどない湿地には他の草が侵入できずこうした植物がみられるようだった。

他の植物が生えないような環境に適応しているということはしぶとい生命力のようにも思えるが、ほかの草が普通に生えているような場所には生えないので、か弱い草といったほうがふさわしいのか。生息地が限らているので貴重だと思う。

トカゲ.jpg
トカゲ

しかし、筆者には珍しい草とそうでない草の区別が今一つわからない。花も、このほかにいろいろあったが、庭に勝手に生えてきたような紫色のランもあった。

扇状地の上.jpg
扇状地の上

湿原上方の扇状地のような地形にのぼってみると、石がごろごろしていて、土がほとんどない地形であることがわかる。
山が硬いチャートの岩でできているので、風化しにくいようだった。

コツボゴケ.jpg
コツボゴケ

岩の水が染み出ているところには、いろいろのコケも見られた。

1時間あまり観察して、バスの時間が迫って来た。ポイントを絞り切れておらずもうちょっと居りたい気がしたが、湿原を後にした。

広場に、同湿原で見られる花についての写真入り説明看板があって、それによるとモウセンゴケの花が見られるピークは7月ごろということで、いい感じで見ようとおもったら、もうちょっと水気に恵まれたシーズンが良いようだった。しかし、サギソウが咲くのは8月上旬から中旬ということだったので、両者の花が同時に見られたのは良かった。

追記 モウセンゴケは、滋賀県では、場所の感じが似ていると書いた大津は田上の湖南アルプスにも生えているようだった。雰囲気が似ているだけではなくて、植生も共通点があったのだった…。


posted by 進 敏朗 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 水辺を見る(滋賀以東) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック