
滝川(午前9時半ごろ)
風のない五月晴れの日。
滋賀県で最大の落差がある滝「楊梅の滝」に行った。
昨日の朝までに、湖西では40ミリを超す雨が降り、水量が増えて見ごたえがあるかもしれない。
電車で行くことも考えてみたが時間が合わず、川の下流に車を停めて、歩いてみた。
滝の近くに駐車場があるんだけど、川の下流からたどっていくことにした。

コアユ滝登り
滝川は、雨が降らない時は枯れていることもあるが、きょうは流れがあって、コアユの滝登りが見られた。
動画を撮影するなどして遊ぶ。
こんな小さくて可憐な魚を、甘辛く炊こうとするなんて(この後、別の川にて捕獲)。
さて、川沿いにさかのぼっていく。
国道161号線の手前で高い堰堤があり、魚止めの滝となっている。

堰堤の雌滝と雄滝?
楊梅の滝は、雄滝と雌滝というふたつの滝があるが、この堰堤も、それをなぞっているのか。

土石流の跡か
堰堤の上流は、大きな石や倒木が転がっている場所があって、土石流が発生した跡のようだ。3年前の台風の大雨時の影響かもしれない。
川沿いの山道は、やがて舗装道路に合流。

タニウツギの花
いろいろな花も咲いている。

滝の説明
15分ぐらい歩いて、滝への登り口に到達した。
楊梅の滝。説明は、上の説明看板のようだった。
足利13代将軍義輝の命名という。楊梅とは梅じゃなくてヤマモモのことだという。
この義輝の父は、昨冬に訪ねた岡山水茎城で生まれた足利義春だった。滋賀の水辺に縁深い末期の足利将軍たちよ。

案内地図
楊梅の滝は、下流に雌滝が、上流に雄滝との説明。

花崗岩の敷石や石垣
山は白っぽい花崗岩でできており、この豊富な石材を利用しての敷石や石垣がみられた。

雌滝
歩くこと10分、雌滝に着いた。
高さ15メートル、豊富な水が流れ落ちている。ミストも吹き付けてきて冷たい。

はしご
さらにここから、雄滝を目指す。回り道をしていくルートもあるけど、そのまま沢沿いにいくルートを選び、45度以上の急坂を登ってステンレス製はしごを進んだ。

石の上を流れる水

薬研の滝
雄滝に至る手前で、急角度での水の流れ落ちがあり、後で調べたらそれが「薬研の滝」だった。上から眺める滝だったのだった。

雄滝
ほどなく雄滝に着いた。
滝川というだけあって、本当に滝の連続。
雄滝は高低差40メートルで、雌滝よりもさらに雄大。滝のてっぺんから滝つぼまでがレンズに収まらない。
午前中に来たので、東を向いてる滝が明るく見えるのがよかった。
滝のてっぺんから風が吹き下ろして帽子が飛ばされそうだ。ミストも冷たい。

ミストの中に虹も
時間が合えば滝に虹がかかるなんて光景も見られるのだろうか。
この滝の標高は、案内看板によると雌滝の下で海抜290メートル、雄滝の滝つぼで330メートルくらい。
ここから琵琶湖まで、わずか2キロくらいしか距離がない。
山登りを好むS氏が以前、滝より上に興味があるので、滝はそれほど魅かれないというような趣旨の話をしていた。
山の高みを目指す者にとっては滝の上が目指す世界なのだろうが、水辺ファンはそれとは逆に、滝を原点として河口までをたどりたかったのだった。
この楊梅の滝の標高は、野洲川でいえばほぼ鈴鹿峠に匹敵するが、鈴鹿峠から野洲川の河口までは40キロか50キロくらいあるので、歩いてたどるのは1日では難しい。
ところがこの滝川では、滝から河口まで歩いてたどれるので、そこに興味を持ったのだった。

琵琶湖を見下ろす
雄滝からの帰りは、ぐるっと回り込んで滝見台を通り、滝入り口の橋のところに出た。
滝から30分も歩くと、もう河口が見えてきた。
滝から河口までは、生活排水も流れ込まず、そのままの水が琵琶湖に注ぐ。
滝の場所でみた水量は、河口付近になるとだいぶ少なくなっていて、半分もないんじゃないかという印象。
水の多くが伏流水となっていくのだった。

河口が見えてきた
このあたりは花崗岩でできている。湖南の田上山地も花崗岩だけど、田上のほうはもうちょっと赤みが強くて、湖西のこのあたりは白っぽさが目立つ。

琵琶湖に注ぐ(正午ごろ)
まぶしいライトブルーが目に飛び込んできた。
伏流水となった水は、琵琶湖の湖底から湧き出ているという。砂の白さも加わり、透明感あふれる水の風景が広がっているのだった。