2016年02月04日

貝殻を訪ねて2016

海岸への階段.jpg
海岸への階段

立春とともに、貝拾い活動を行う。
ここ数年、水辺活動オフシーズンの冬にやってきたが、今年は、井戸掘りで気が付くと1月が過ぎ去ってしまった。

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秡川河口右岸側の伊勢湾(午前9時半ごろ)

これまでは志摩とか、紀東とか、黒潮洗う外洋沿いを目指していたが、今回は趣向を変えて伊勢湾を目指す。松阪よりちょっと鳥羽寄り、明和町の海岸に出る。自宅からだいたい100キロで2時間少々で着く。

地図を見ると伊勢湾の三重県側の海岸線が、雲出川とか櫛田川の河口があるあたりが凹んだ感じになって、そこから鳥羽方面に南下すると、陸地が海のほうに緩やかに出っ張った肩がある。かつて祓川は、櫛田川の本流だったといい、大量の土砂を流出していた跡ではないかと思える。その出っ張りのあたりの浜で漂着する貝を拾うことにした。

おそらく先週、海が荒れた後で、まだ大潮が来ていないから、大量の漂着物にめぐりあえるかもしれないと考えての行動。

現地に着くと護岸工事がなされていて、砂浜の浸食が進んでいるようだった。

吹き寄せられた貝.jpg
吹き寄せられた貝

それでも大量の貝が吹き寄せられており、その量にとにかく驚く。なぜかといえば筆者の場合、海浜の基準となっているのが、少年時代に貝拾いをした鳥取県の浜だからだ。日本海ではこんなに大量の貝殻があふれていることはないし、あってもこんなに大きな貝ばかりということもない。

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アサリが多い

貝を見てみると、アサリが最も多い。潮干狩りの時に外道として出てくるバカガイやシオフキガイはなぜか少ない。アサリは、拾う対象というより「食べ物」というカテゴリーが意識されて、どうも集めたいと思えない。アサリは、模様が多彩なので、いろんな模様を集めるという趣味を始めれば、面白いかもしれないがとりあえすはアサリ以外の貝を探した。

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タコノマクラ

タコノマクラは日本海でも見られるが、これは直径が5センチあった。もっと大きいのもいるそうだ。五弁の花を思わせる模様。
まあこれはウニの仲間で貝類ではないんだけど拾った。

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ジェット天秤

釣具も時々落ちている。

浮きはよく見つかるが、こうしたオモリも打ち上げられるとは。こんなジェット天秤は、投げ釣りをして、根掛かりしたものだと思うけど、それがこんな海岸まで打ち寄せられる海の潮汐や波の力はすごいものだと思う。

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貝でできたマウンド

波打ち際に、貝が山のように盛り上がった不思議な場所があった。おそらく、両側から波が来て、ここにだけ貝が積みあがるような現象が起きたのだろう。一様に見える海岸の中で、波の強さとかの加減でこんな現象が起きるのか。

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海藻が出てきた

これを掘り崩すと、中も貝だったが、海藻も出てきて、小さな貝もいろいろあった。まだみずみずしかったのでちぎって食べると適度な柔らかさに歯ごたえもあってうまかった。冷たい砂の中で保冷されていたようだった。これを集めて持ち帰った。調べるとホウノオという紅藻類のようだった。

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巻貝も

見慣れない形をした巻貝もあった。持ち帰って調べるとモミジボラというクダマキガイ科の貝に似ている。しかし、手持ちの図鑑によるとその貝は分布が北海道南部とあって伊勢湾と合致しない。
と思ったら、ネットで見ると房総半島でも割とよく落ちているという。ということでモミジボラのようだ。
こういうときネットは便利だな。

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貝文字があった

ナミマガシワガイという、半透明な薄黄色とか朱色をしたカキのような質感の二枚貝が、割とたくさん落ちていた。

いままでこの貝に対して、不定形のところがちょっとねと、眼中になかったのだが、あらためて眺めると色がきれいだなと思った。

黒潮洗う浜や、日本海でも時々見られるタカラガイは見かけず。また、日本海の浜にはたくさん落ちているイカの甲がない。しかし、二枚貝では見たこともないやつが落ちていて面白かった。これまで、思えば貝拾いには、日本海では決して見ることのできない南洋の片鱗を求め、そこに最大のロマンを感じていたのだったが、こうした湾の貝も生態が違っていてまた違った面白さがあった。

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拾った主な貝(5日撮影)

小さな巻貝の中にヤドカリが入っているのがあり、うっかり持ち帰ってしまったが海に帰すわけにもいかなくて気の毒なことになってしまった…。冬でもヤドカリが活動しているとは知らなかった。


posted by 進 敏朗 at 23:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
検索からやってきました。同じ滋賀県民です。

この時期になると、もう貝拾いはできませんか?
娘が貝拾いに行きたいと言うのですが、調べてみるとやはり冬の間が多いようですね。行ってみてガッカリというのも悲しいので、もしご存知でしたら教えていただきたくコメントさせていただきました。
よろしくお願いします。
Posted by ミキティ at 2016年04月28日 22:51
こんにちは。
滋賀県の方ですね。娘さんが貝拾いに行きたいと。いいですね。私も子供に貝の美しさを訴えたりしますが反応が薄いので、うらやましいです。

貝拾い、ごらんのように年1回、冬に行っているのですが、これは春になると、釣りとかのシーズンが始まって、そっちが忙しくなってしまうからです。
今の時期に行っても貝殻はないのか、というご質問ですが、貝殻はたぶん年中浜にあると思います。たしかに冬になると貝が死んで殻が漂着したり、荒れることも多いから、冬のほうが拾いやすいと思います。でもだからといって夏でも貝殻はあると思います。伊勢湾は種類は別として量が多いです。きれいな貝とか、タカラガイとか拾うには、鳥羽以南がいいかなと思いますが、伊勢湾も捨てたものではありません。海藻周りの小さな貝とかもあります。サクラガイなら、安濃川の河口付近とか砂がきめ細かいところがいんじゃないかと思います。
Posted by 筆者 at 2016年04月29日 02:56
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