2015年07月23日
近江妙蓮
近江妙蓮のつぼみ
梅雨明けが発表された近畿地方だが、朝から強い雨だ。お昼前に雨は上がったが、野洲川は濁流がごうごうと流れている様子。
午後から昼寝して、守山市の近江妙蓮公園に行く。
ここには珍しいハス、近江妙蓮があるというが、行ったことはなかった。
池の様子
野洲川の旧南流に近い、田園の集落に池がある。入場料を払い、入ると、つぼみが見えるが、咲いているものが少ない。これから咲こうとしているつぼみは直径10センチくらいの球状で、中にぎっしりと花びらが詰まっているようだった。
三つの花が咲いている
咲いているやつは、中心部が黒っぽく焼けているものが多かった。この近江妙蓮は、ふつうのハスと違って中心部に花托がなく、種ができずに、数千枚という花びらが詰まっている。花びらは外側は一枚一枚が大きいが中に行くほど小さくなってザクロの実か何かに見える。
開花した近江妙蓮
同公園の資料によると、この妙蓮はもともとインドにあったものを6世紀ごろ、達磨大使が中国に伝え、それが慈覚大師円仁が唐から日本に持ち帰ったと伝えられているという。この守山の妙蓮が生える「大日池」からは室町時代、足利義満に献上されたと伝えられ、600年前には繁殖していたことが知られている。しかし、1896(明治29)年以降、花をつけなくなり、妙蓮池を代々もつ田中家や地元の人が困っていたところ、「ハス博士」こと大賀一郎博士が、同池から金沢に移植されていた妙蓮を里帰りさせ、1963年に復活に成功させ今日に至っているということだった。
池の脇を流れる水路。中世にはつながっていたのかもしれない。現在は、水路のほうが掘り込まれて池の水面よりも低い。
この妙蓮は種はできず、すべてレンコンからクローンで増えるので、600年前と同じ蓮を見ていることになる。それゆえに、同じ形質のやつしかないので環境の変化には強くないだろう。静かな野洲河畔の田園に、千年以上の時を経てインドから中国、日本へと旅した空間と時間の流れが継承されていると思うと不思議なことだ。
係員の方に花期を訪ねると、8月の上旬までは見頃が続くという。今年は、梅雨明け前に猛暑となり、そのあと台風が襲うなどしたため、花が焼けて黒くなったり、折れたりして、例年にくらべていまひとつなのだそうだ。
〈おまけ〉濁流の野洲川
夜、野洲河畔でカブトムシを子供と探すが、雨上がりだったせいか、あるいは今年は少ないのか、昨年見かけた木にも気配がなかった。
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