
大きな塩漬けふな
水草観察の好適地・赤野井湾を訪れたら、同湾にある赤野井漁協で湖魚の直売市が開かれていた。
立ち寄ってみると、売られていたのは塩漬けふなだった。30センチ、大きいのでは40センチくらいあるだろうか。1匹が500円、上等品は800円という。500円のなかにも、卵を持ったいい掘り出し物があったのだが、そういうやつはすでに、近郷の人がより分けて持って行ったという。
これは滋賀特産のふなずしの原材料。ここから米に漬けて、数か月寝かしてふなずしにする。漁協の人の話では今から漬けて「正月には食べられる」とのことだった。

5か月の間、ご飯に漬ければふなずしに。滋賀のスローフード
この塩漬けふなをふなずしにするには、桶を用意するのだが、ふなが大きいので、桶も60リットルとか、そんなサイズになる。見本が会場に置かれていて、ふつうで50か60リットルサイズ、米を4升とか5升用意しなくてはいけいない。小さい桶では、3升の米で、10匹のふなを漬ける。これが最小単位のようだった。
ふなを購入したのち、漁協で米を漬けて、ふなずしができるまで桶を保管するサービスもあるが、炊いた米を持参することが条件だ。自宅の鍋では、いちどに炊けるのは多くて1升だろうか。10匹いちどにふなずしにすれば、1匹あたりの単価は格安になるが、、、、。とりあえず購入は見送った。
琵琶湖の南湖は、深くて透明度の高い北湖に対して浅くて泥っぽく、アユやビワマスといった澄んだ水を好む魚は少ないのにくらべ、フナやコイなど泥水を好む魚の好漁場なのだった。ふだん川でコアユを好んで捕っているが、もうひとつの琵琶湖の重要な水産資源であるふな食を楽しむことなしには、琵琶湖の水産は語れないような気がする。
ビワマスがうまいのは、多くの人が納得するところだろうが、ふなはどうなのか。そこが問われる。
それにしてもふなずし、作れたらいいなと思っていたが、こうして塩漬けを実際に販売する現場に来てわかったことは、桶一つが最小ロットなのだった。そうなれば、自分で食べるほかに、人にあげたり、来客をもてなしたりするときに使いたいものだが…この良さが分かってくれる人を増やしたいものだ。