今年度の滋賀県のアユ資源予測調査が先日、発表された。
9月初旬から10月末まで、11河川で5次にわたり調査が行われ、それらの河川での推定産卵数は合計約70億粒という。
過去10年の平均は、約110億粒。
例年の3分の2の量だが、記録的な少なさだった2年前(7億粒)から、昨年(45億粒)と、順調に回復している。
来シーズンはやや期待できるかもしれない。
調査11河川は湖西から時計回りにみると和邇川、安曇川、石田川、知内川、塩津大川、姉川、天野川、芹川、犬上川、愛知川、野洲川。
琵琶湖にそそぐ川は小さいのを合わせると100以上あり、この11河川は湖西湖北湖東湖南の代表的な産卵場がある河川ということだろう。この11河川のほかにもコアユが産卵する川はいくつかあるだろう。
11河川の中で、最も産卵数が多かったのが姉川で36億粒。なんと、半分を超える数が姉川で産卵されている。
次が安曇川で19億粒。
そして5位までを見ると塩津大川(4.4億)、石田川(4.2億)、知内川(3.2億)と続く。
ここまでの合計で約67億粒となり、70億のほとんどを占めている。
この5つの川はいずれも、琵琶湖の安曇川と姉川を結ぶラインより北にある。
野洲川の河口付近(9月撮影)
これに対し、滋賀南部住民のホーム河川、野洲川の産卵数は、これら5河川に次ぐ6位だが1.4億粒と、がくんと落ちる。
川の規模でいうと、琵琶湖研究所の資料では野洲川の383平方キロに対し姉川369平方キロとほぼ同規模。
だが産卵数は、25倍も開きがあるのだった。
同様に、安曇川とくらべても14倍の開きがあり、琵琶湖最北部の塩津大川になると、川自体は野洲川の10分の1もないんじゃないかと思われる小さい川だが、産卵数は3倍以上も多くて川の面積あたりでみると30倍以上もの開きがある。
天野川河口付近(7月1日撮影)
米原から彦根にかけての天野川(0.9億)、芹川(0.8億)もやや多くて、川の大きさを勘案すると、産卵の密度は野洲川にくらべて3〜4倍と思われる。
半面、湖東の犬上川(0.3億)、愛知川(0.4億)が意外と振るわない。きれいな川なのに。
コアユは琵琶湖沖から近づいてくるので、近江八幡から彦根にかけての湖岸が遠浅なことが関係しているのだろうか。それにくらべると野洲川の河口は、北湖が狭まった南端に近くて意外と深い。だけど野洲川の対岸にある和邇川は0.0億という数で、説明がつかない。
鮎釣りで有名だが意外に産卵は少ない愛知川(9月撮影)
コアユの産卵にこれほどの「南北格差」が存在するとは意外な印象だ。
ただし川でのコアユ釣りや投網は、こんなに格差があるとは思えない。
この11河川には、南湖に注ぐ川は含まれていないが、琵琶湖最南部の大津市の吾妻川や相模川の河口とかでも、春にはコアユが釣れるんだし、産卵とは別に、琵琶湖にくだったヒウオは琵琶湖中を回遊するのではないかと想像する。
なんだけども秋に産卵のため河口に集まるコアユの数に大きな差が出るということは、琵琶湖を回遊しているコアユも圧倒的に北のほうに多いんじゃないか。
やはりそうしたことを考えると湖北の川にくらべて野洲川は、魚影が薄いと考えざるをえない。
野洲川でも河況さえよければ、食べるには十分な量が捕れる。だが、湖北の川はどれだけ魚影が濃いのだろうかと興味をひかれる。
2014年11月16日
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