2014年10月29日

赤貝の浜(白子〜千代崎)

赤貝浜.jpg
赤貝の貝殻が漂着している浜(千代崎付近)


三重県鈴鹿市の伊勢湾岸を歩いた。
津駅から近鉄で、名古屋方面の普通電車に乗り、鼓ヶ浦で下車。

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白子港にそそぐ堀切川

駅を出ると街道があり、白子港へとそそぐ堀切川には白い欄干と擬宝珠の橋がかかる。川は仕切ってあってコイが放されていた。海近くなのに意外な感じだ。
沿いを歩いて浜に出た。

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鼓ヶ浦海水浴場

日本海沿いで育った筆者にとって伊勢湾は、生態系が大きく異なる、謎の多い海だ。
干満の差が2メートル以上もあって、日本海側ではみられない干潟ができる。
そこでは潮干狩りをするとアサリが捕れる。二枚貝の豊富さには、ただ驚くほかない。日本海の浜を見ても、もっと小規模にしか貝殻が落ちていないし、浜を掘っても貝なんかいない。
だが釣りでは、勝手が違っていて、これまで伊勢湾ではあまりいい成果を得たことがない。
海が遠浅なので、どうも満潮のときを狙わなければならないみたいだ。

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波打ち際の養殖施設

波打ち際から竹棒が差してあった。海苔養殖だろうか。
夏は海水浴場なので、冬場に棚を設置するのだろうか。
砂浜には白い貝が転がっており、見ると赤貝の仲間サルボウガイのようだった。
このあたりの浜では、サルボウガイが優占しているらしい。アサリもあるにはあるが、アサリの殻ひとつに対し赤貝が10個といった感じ。


白子港のハゼ釣り.jpg
白子港のハゼ釣り

白子の港内で数人がハゼ釣りをしていたが、潮が引き始めているせいか、あまり釣れていない。
編み笠に釣り人特有のポケットの多いジャケット、指が出るグローブに軸受けリールという、いかにもないでたちの釣り人が、糸を垂らした竿先をちょっとずつしゃくりながら、20センチずつのサイドステップで岸壁沿いを右方向へ移動していく。
こんな繊細な誘いをかましているのに魚信がない。
誰にでも釣れるといわれるハゼ釣りも、潮によってはこんなにも釣れないものなのか。

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井上靖の筆跡のようだ

江戸時代、漂流の末ロシアにまで至った大黒屋光太夫の碑を見た。
ここ白子では型紙とか、硯などの伝統産業がある。乾物屋もあったが定休日だった。1と6のつく日に朝市も近くの広場で開かれているとあり、いつか来てみたい。

カモメと鵜.jpg
海鳥のエサ場

そのあと岸壁を見るとカモメや鵜が群がっている。排水が出ているようだ。
それは水産加工場からの排水で、ピンク色をした水にはキラキラとしたものがたくさん流れていた。
伊勢湾の対岸にあたる愛知県の知多半島には鵜の営巣地があると聞く。
鵜はそこから飛んできたのだろうか。
数十キロを飛び回ってエサが多い場所を探すことができるのは鳥類のすぐれた能力だと思う。

一本松.jpg
街道の一本松

ここから千代崎港まで、まっすぐな海岸線に沿って北方向に歩く。
街道沿いの松並木が立派だ。江戸時代からあるのだろうか。それは歩道のコンクリを凌駕していた。というか歩道の幅いっぱいに松が占拠している。

海浜.jpg
白く潮がふいているような模様は赤貝。奥の突堤が千代崎港

海岸の貝は、北に行くほど密度が濃くなり千代崎港の手前で極点に達した。
まるで貝塚のようだ。ほとんどがサルボウガイで占められている。
赤貝好きの人は、ここで潮干狩りをすれば十分な成果が得られるのではないか。

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まるで貝塚のよう

ほかに見られた貝は、二枚貝ではアサリ、カガミガイ。なぜかバカガイは少ない。巻貝ではこれら二枚貝を食うというアカニシ、岩場にひっついているフネガイの仲間などがあった。

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カツオの頭部のようにみえるタイラギ

長さ20センチくらいもある尖った三角形をしたタイラギが落ちていた。
有明海では潜水漁で捕ると聞いたことがある。水深が20メートルくらいのところで捕れるので、こんな波打ち際に打ち寄せられてくることもあるのかなと思って調べたら、潮間帯にすむという近縁種のハボウキガイかもしれない。タイラギの漁獲されたやつが、身を取り出した後で殻だけ捨てられたという可能性もないではない。殻の内部には海藻が付着していたのでしばらくの間、殻は海中をただよっていたのだろう。隣にも1個あった。

伊勢湾のもっと南に行った津とか松阪のほうでは、バカガイや、アサリが増える思うが、どういうわけか白子の周辺は赤貝の浜だった。何の環境的要因なのか不思議だ。伊勢湾の謎がますます深まった印象だ。

1時間くらいで歩けるかなと思ったら、立ち止まったり浜に下りたりしながらだったので2時間かかった。千代崎の海べりにそびえる低山、岸岡山(45メートル)に登るつもりにしていたが割愛。近鉄の千代崎駅から普通電車に乗って津に戻った。

海水浴場の看板.jpg
ナイスな海水浴場看板(近鉄千代崎駅)

posted by 進 敏朗 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 水辺を見る(滋賀以東) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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