2014年08月01日

本願清水のイトヨ

本願清水の池.jpg
本願清水の湧水池(午後4時半ごろ)

福井県勝山市の県立恐竜博物館を子供と訪れた帰り、大野市を訪れる。
市街地の南側にある「本願清水(ほんがんしょうず)」。
池の石垣のまわりに蔵や木造家屋が立ち並ぶ景観が趣深い。
湧水の水辺は涼しく部活帰りの中学生もベンチで涼みいい雰囲気。
昨年8月3日にもまったく同じルートをたどっている。
湧水が見られるがために恐竜博物館に連れていく楽しさも倍増だ。
名水を使ってのみそ、しょうゆ、酒も購入す。これは大通りの市営施設で。


地下水位表示.jpg
地下水位の表示

さて昨年はイトヨ観察に終始したが、今回は周囲を見る余裕もできた。
地下水位の表示看板があり本日は「マイナス2m23cm」。

館内の説明によると「マイナス2メートル」がひとつの基準のようで、それより上昇すると、池内の井筒から水が湧き出るようになっているという。
いま池内に湧き出ているのは、ポンプを使って地下40メートルから強制的にくみ上げている水で、近年は池の水位が低下傾向にあり、池を人工的につくりかえ枯渇を防いでいる。
大野の町にとっての地下水位情報は滋賀県にとっての琵琶湖水位と同様に切実なのだろう。

工法の説明.jpg
池の工法の説明

館内では、池の工法の説明板があった。メダカ池を作った身には参考になる。
やはり最下層には大きめの石が敷き詰められ、その上にベントナイトで漏水防止がほどこされている。

さて今年は、2リットルのペットボトル3本を持参し蛇口から名水を汲んだ。
昨年、女性係員から「5分くらい出しっぱなしにしておくと冷たくなりますよ」と勧められたが、なんとなく5間分出しっぱなしにするのはためらわれ、ほどほどに冷たくなったところでペットボトルに移す。
きょうはその女性係員には会えず。ザリガニ釣りの少年少女も今日はいない。
だが、今日の担当の係員の方によると「今年のほうがザリガニがよく見える」と、ザリガニ釣りの子供らは言っているそうだ。

名水蛇口.jpg
名水が出る蛇口

さて、半地下の部屋から池の中を観察する。やはりイトヨがいる。ここにいるイトヨは陸封型といって一生を淡水でくらす。

イトヨ.jpg
イトヨ。手前がオス、奥にいるのがメス

何やら下向きになって、底の藻や砂をつついている。トンネル状になっているとされる巣を繕っているのだろうか。

イトヨのオス.jpg
イトヨのオス

イトヨ(糸魚)は、見た感じ滋賀県の醒井などにいるハリヨ(針魚)と、大きさも形もよく似ている。
ほとんど同じ魚なのではと思われるくらいだ。
細かくみると、イトヨの胴体には板状のウロコが多く、ハリヨのほうがもうちょっと緑色っぽい。

館内には日本産トゲウオ科数種の分布図があり、冷水を好むだけあってやはり東日本に生息地が多い。
シールによる表示では福井では若狭のほうにも2カ所、鳥取県でも中部のあたりに2カ所生息地がある。

雑魚.jpg
池でとれた魚の展示も楽しい

さて外に出て、池の周りを歩くと、全域にわたってイトヨがいる。そして大きめの魚もいるが、館内での展示からそれはウグイやカワムツのようだ。

本願清水の水中.jpg
池の最奥部で水中撮影

水中にカメラを入れ撮影する。池の底は緑色の藻でおおわれている部分が多いが、藻がないところもあり、そこには水が湧き出ているのかもしれない。
水温が低く、カメラを水から引き揚げると、水中と陸上で温度差が20度近くあり、レンズを保護するガラスの内側に水滴がついて曇ってしまった。この状態で撮ると霧の風景のような感じになった。内部に水滴が発生すると故障の原因になるのでよろしくない。

霧の本願清水.jpg
霧の池?

滋賀県南部にも湧水にハリヨがいたが、それは戦後まもなく絶滅した。
里の中への復活の試みも、地下水量が安定しないなどが原因でうまくいっていない。氷河期以来何万年何十万年と維持されてきた環境が途絶えてしまったわけである。大野でも、イトヨの生息地は最大の本願清水以外は細々としたものになってしまったようである。大野ではイトヨを守ることが大野の水文化を守ることだとスローガンが掲げられ水環境の保全につとめていた。名水の町がいつまでも受け継がれてほしいものだ。






ラベル:ハリヨ 湧水
posted by 進 敏朗 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 水辺を見る(滋賀以東) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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