
京都市美術館で開催中の「バルテュス展」を見た。
20世紀最後の巨匠といわれるバルテュス。
ルネサンス以後の西欧絵画の伝統を受け継ぐ末裔を称し、20世紀に咲き誇った前衛絵画とは一線を画した静かで瞑想的な画風。
展示作品は少女の絵が多く、炎上狙いの初期作品も。
鏡を見る少女などは興味深い。人物が幾何学的なポーズをとっているのも面白い。
筆者としては風景と人物が一体になった作品のほうに興味があるがそうした作品は少なかった。
さて会場入り口に冒頭のような絵がある。実はこれは印刷物で本物は会場の中にありそちらは撮影禁止である。海から降り注ぐ虹が魚になり、ネコの人物がナイフとフォークを持って正面を見ている。
この絵は何なのかと思っていたらレストランを飾る絵だと説明されている。
最初見たときはほかの絵とは趣を異にしたベタな画題に違和感があったが、それはサービス精神の発露だった。
虹が魚に化けて食卓にのぼるという構図が円環を描いている。
この作品の原案も展示されていたが、そのスケッチでは、猫が魚にかぶりつこうとしており怖かった(笑)
イセエビや、魚ではホウボウも見える。魚は写実的に描かれている。
海の描写はかなりファンタジックだ。海の真ん中から突き出た虹、海が青いのに雲が赤い。
それにこの海、防波堤に当たる波はけっこう強めで、ボートの少女は髪が吹き飛ばされそうなほど風が強いのに、少女は全然意に介さずへっちゃらだ。救命胴衣も付けていない。海は危険と楽しさに満ちている。
海から虹のように海の幸が皿に上がってくるとは、まるで釣り人の願望を描いているようだ。

京都の琵琶湖疎水(午後4時ごろ)