2013年12月23日

歳末市ふなずし

歳末恒例の「もりやまいち」へ行く。
この歳末市は滋賀県守山市の旧中山道で開かれている。起源が中世にさかのぼるという同所での市を、現代に復活させようという目的で、近郷の野菜や湖魚、はたまたB級グルメなどを売る屋台が街道に並ぶ。

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ふなずし販売

さて、湖国名産ふなずしが売られている。
ふなずしとは、琵琶湖で捕れる鮒を塩漬けにしたのち、ご飯とともに桶の中に漬けて醗酵させた「なれずし」。
湖岸の一帯で漬けられているが、ここ守山は、琵琶湖の幅が最も狭まる地帯にあり、魚の通り道で対岸の堅田や、沖島と並んで漁獲が多い。

この屋台ではふなずしに3種類のサイズがあった。20センチくらいのが2000円、30センチくらいのが3000円。最も大きいサイズは40センチ近くて3500円。だが卵の入っていないオスは700円と、値段がかなり低い。

断然、特大サイズが得だと、店のおじさんは勧める。試食もした。

「大きいですねこれは」と筆者が特大サイズを指すと、
「いちばん大きいフナはこれくらいある」と、店のおじさんは手で表す。50センチくらいだろうか。

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「いちばん大きいフナはこれくらいだ」と手で表す店のおじさん

この大きさでこの値段なのはなぜなのかを問うと、それは、このフナが通常ふなずしの原材料となるニゴロブナではなくて、ゲンゴロウブナだからという。そういえば形が、巨大なアーモンドのような楕円形をしている。ニゴロブナは、もっと長方形っぽいだろう。

おじさんによればゲンゴロウブナは、骨が硬いのだという。しかしこのゲンゴロウブナのふなずしは、通常の1年間ではなくて2年間、漬けたので骨まで柔らかいという。「ほれこの通り」と、パックの上から親指でぐっとふなの頭を押すおじさん。ふなずしがかまぼこのようにペコンとへこんだ。
特大サイズを、見舞い品として購入す。

ふなずしの店はもう一つあり、そちらではニゴロブナとギンブナのふなずしが売られていた。

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ニゴロブナ(左、中央の列)とギンブナ(右)のふなずし

同じ23センチくらいのふなずしで、ギンブナは1100円に対し、ニゴロブナは2700円。30センチくらいのニゴロブナが4800円と、ギンブナや、先の屋台のゲンゴロウブナに対し、2.5倍くらいの値段だ。

ニゴロブナの評価の高さを実感する。
では、やはりニゴロブナはうまいのか?
店のおばさんに聞くと「小さいのはギンブナでもあまり味は変わらないが、それより大きいのは、骨が硬くなる」とおばさんは話した。「大きくなっても骨が柔らかいのはニゴロだけ」という。ただ、煮付けはギンブナのほうが向いているのだそうだ。

独特の発酵臭に好き嫌いが分かれるふなずし。滋賀県では盛んに食べられるが、これが評判を呼んで全国に広がるという話を聞かない。帰省の土産にしたいと言うと「危険です(笑)」とおばさんは話す。
結局、実家への土産にニゴロブナと、自家用にギンブナを購入した。

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フナの煮付けを争うように買い求める?地元の少年(買ったのはフライドポテトでした)










posted by 進 敏朗 at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 湖魚食品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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