刈り取りを終えた田の脇を、草津線の電車が走る
草津線の電車から車窓を眺めると、石部から甲西に到る途中、線路わきの田園の中に、ヨシが生い茂った田1枚分の池が見える。
不思議に思い、車で訪れた折、確かめてみることにした。
田の中にヨシが茂る
このあたりはほ場整備がされていない田んぼが残る。刈り取りの終わった田のあぜに、ヒガンバナが赤い花を咲かせのどかだ。
ヨシ帯の中から、何かの甲高い鳴き声が聞こえる。鳥かと思ったが、ぴょんぴょんと池に落ちる音が聞こえるのでカエルのようだ。
池の様子
のぞいてみると、広さは家の庭くらいで水は浅く濁っていた。どうやら水はけが悪い湿地なのかもしれない。
ここの地形は南側が山で、北側の野洲川に向かって低くなっているが、その途中で東西に走る草津線の土盛りが、排水を妨げて湿地を形成したのかもしれない。草津線は、開業して120年以上にもなる古い線路だが、レンガ製のマンポとよばれるトンネルがそのまま残っているのをみると、土盛りは開業時からのものかもしれない。
草津線の下を潜るレンガ製の「マンポ」
三上山と、落合川の土手をバックに立つ謎のコンクリート櫓
このマンポの近くに天井川があり、コンクリート製の櫓がたたずんでいる。
これは何なのか。天井川の土手に登り観察する。最上部に手すりがある。真ん中は四角く穴が開いている。どこにも登り口がない。おそらく、昔は真ん中に梯子がついていたのだがそれが撤去されたものと思われる。
天井川の土手から眺める
この櫓、線路と天井川の隣に立っているところを見ると、おそらくは天井川の増水を監視する施設だったと思われる。柱に切れ込みのような装飾が施されている様子をみると、昭和初期くらいの建造物ではないか?
この川、落合川は昔の石部町と三雲村の境にあって、阿星山を水源とし、北上して野洲川に注ぐ。おそらく大雨になると一挙に増水したものと思われる。が、今では役目を終え、遺構だけが田んぼに残る。誰も上らない櫓は今も草津線の電車と天井川を見張っている。不思議な光景だ。


