
現在の野洲川堤防から眺める旧河道の堤防
「近江太郎」の異名もある野洲川は、全長65`、滋賀県でいちばん長い川である。ふだんの水量は少ないが、いちど大雨になるとみるみる増水し、何年かに1度は洪水被害をもたらしていた暴れ川であったという。戦後、国による大規模改修が行われ、最下流で二股に分かれていた河道は真ん中に一本化された。旧河道の多くは平地化されたが、所々に昔のままの堤防が残っている場所がある。

堤防から南側を眺める
ここは河口から約6キロ上流の守山市川田町の堤防跡で、野洲川が北流と南流に分岐していた地点のやや上流部で、川がS字型に曲がっていた跡である。約200メートルだけ、現在の河道から左岸に、弧を描くように突き出た形をしている。堤防は現在の堤防よりも2メートルくらい高く、天井川だったことを物語っている。

伏流水を利用した養魚場
旧河道の堤防のすぐ下に、コアユ養魚場があった。川のすぐそばで、伏流水がくみ上げやすいことから立地したと思われる。野洲川沿いにはこうした養魚場が各所に見られる。

水が出ない
集落もすぐそばにあり、神社もあった。洪水がここを襲ったのか手がかりを探したが見た感じではよくわからない。手水の水が枯れている。水の自噴はしないようである。昔は湧き出ていたのだろうか。

奥から鳥の鳴き声
堤防の竹やぶの奥から、多数の鳥の鳴き声が聞こえる。竹やぶに遮られて奥が見えないが、上空を見ると、サギが往き来している。おそらく、サギのコロニー(営巣地)があるものと思われる。隣は野洲川で魚が豊富であり、反対側は田んぼでこれまたカエルなどの餌が多い。堤防の林は人も近づきにくく恰好の営巣地であると気付かされる。

田んぼを歩くチュウサギ(嘴が黄色い)
周辺を歩くと、水草が生えていい感じの小川(用水路)が多い。何をもっていい感じなのかというと、流れがまあまあきれいで水草が生えていることである。ことごとくコンクリート3面張りとなっているが、底には泥が堆積してオオカナダモなどが生えている。水草が生えすぎると流れを悪くしてしまうので用水路の機能を阻害してしまうが、水草が生えているということは一年中、流れが枯れないということである。したがって生物が多い。観察するにはこういう小さくて流れの少ない小川が適している。野洲川に近いこともあってこの辺りは水が豊富な土地のようである。

水草が生えいい感じの小川

旧堤防は弧を描き、終点は現在の堤防へつながっている

〈おまけ〉近くの種屋さんで見つけた素敵な肥料