5月に入り天候不順が続く。
例年、連休の後半あたりが見ごろとなる草津市の三大神社の樹齢400年とされるフジ古木はまだ満開が続いていた。
その境内で、地元の人たちが湖魚食品を販売していた。写真は、琵琶湖で捕れた鮒(ふな)の煮付である。琵琶湖には、二ゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ギンブナの三種類のフナがいるのだが、何ブナなのかは特に明記されない「子持ち鮒煮付」だ。炊きたてらしく、購入時はまだ、ほかほかしていた。
輪切りの大きさを測るとたてが13センチ、幅8センチもある。フナの種類によって体高が違うが、もとの体長は40センチくらいではないか。故郷の小学生時代、用水路で捕まえたフナは大きくても20センチくらいだった。
だがその頃、フナを食う目的で捕まえたことはなかった。食用魚という認識は希薄だった。日本海が近かったせいもあるし、当時、川に農薬や生活排水が流れ込んで、川魚を食べる習慣が急にすたれたせいもあるかもしれない。いちど、同級生の家先で捕まえたフナを、試しに七輪で焼いて食べたが、「泥臭くてまずい」。そんな記憶が残る。
それが琵琶湖では、重要な食用魚として捕られている。
琵琶湖のフナは、そんじょそこらのフナとは違う、美味である。とは聞くところである。
実際、「ふなずし」は好むところだが、煮付けはどうなのか。
箸で身を分ける。大づくりな肉質を想像していたが、意外にパラパラと細かくほぐれていく。
食べてみると、濃厚な砂糖醤油の味。これは……。
巨大な佃煮のようである。
半面、「フナ本来の味」は、どういったものなのか、この煮付からは良くはわからなかった。さらに食べ進めたい。