鉢をのぞくと
メダカを飼っている鉢の中に2種類のカエルがいた。
ひとつは、中央付近の水草の間から頭を突き出している。緑色の線がある。トノサマガエルだ。
もう1匹は、陰になっている水面の右端に頭が出ている。ツチガエルだ。
以前から、この庭の鉢やメダカ池では2種のカエルが見られたが同時に見たのは初めてだ。
私は数年間、この庭でカエルを観察しているが、次第にツチガエルが優勢となり、トノサマガエルは姿を消すと思っていた。
ツチガエルの土色ボディーカラー、いぼだらけの姿、あぶらぎった鳴き声などが、しぶとさ、生命力の強さ連想させ、そういう生き物が自然界では強いのだろうと思っていた。
しかもツチガエルはオタマジャクシの姿で越冬もできるのだ。晩秋のころ、遅れて生まれたオタマジャクシを見かけ、これから冬になるのにあわれだなと思っていたがその憐みの気持ちは不要だった。湧き水のメダカ池などは、またとない冬越しの環境ではないか。
トノサマガエルはそこまでのタフさはないのではないかと思っていたが、案外、健在だった。
こちらは、クルルルという鳴き声で、まだ音楽的というか「カエルの歌」という表現に近いものがある。ツチガエルのディーゼルエンジンを思わせる低音よりは。先日の雨の晩、2種類の鳴き声が同時に庭から聞こえてきた。ツチガエルの鳴き声も案外、慣れてくるとそれなりに聞けるようになってきた。
カエルは鳴き声で、数百メートル離れたところからでも仲間を呼び寄せるそうだ。隣の神社の林から、呼応する鳴き声が聞こえてくる。池からいくら追い払っても、オタマジャクシを掬っては近くの田んぼに持って行っても、近所にカエルの本拠地がある限り、すぐに帰還してくるので無駄だった。
メダカ用にと造成した池や鉢に、招いてもいないカエルが、水辺の環境を求めて庭に定着すること数年。
庭では菜園とか、生ごみの処理もやっていて、カエルが好むダンゴムシ等の小さな虫が豊富なので、好ましい環境と思われる。
メダカ池。浮草の上にヘビがいた
ヘビも現れた。
そいつはメダカ池の浮草(トチカガミ)の上に休んでいたが、撮ろうとしたら草むらの中に逃げられた。
全長が50センチもない、模様がない、黄色っぽくてぬめっとした感じの1匹。あれは何というのか。
調べたら、ヒバカリというやつが近そうだった。
何でもそいつは水辺を好み、オタマジャクシや、小さなカエルを食べるという。メダカも食べるらしいが、捕食の挙動が確実さに欠け、メダカはそうやすやすとは捕まらず、オタマジャクシのほうが捕えられそうである。
ヘビを見かけてから、気のせいかカエルの鳴き声が控えめになった。
この池のオタマジャクシやカエルをヘビが食べれば、カエル増殖の抑制になるかもしれない。
だんだんと生態系がの輪が広がって来た。