2023年03月15日

ミツバ

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ミツバ

昨年、庭のメダカ池のほとりの湿地に、ミツバの種をまいたところ順調に育ち、冬を越してさらに群落が広がってきた。
ミツバはセリの仲間で、このような水のほとりを好むようだった。
池の脇には湿地スペースがあり、そこに泥田を好むというサトイモなどを植えたこともあったが、広さの関係もあって小さくしか育たなかった。そこでミツバではどうかと思って植えてみたところ、予想を上回る繁栄ぶりとなってきた。
刈って、うどんや鍋に乗せるなどして食べるには十分な量が確保できそうだ。

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池の中にも

株が分かれて池の中にも小さなミツバが生えてきた。
これは根元が完全に水中にある。
池のほとりは、陸地になっている部分から、だんだんと水の中へとなだらかに変化する環境をつくってみたのだった。
ミツバはこのうちどの部分を最も好むのか。観察してみたい。
春の楽しみがまた一つ増えたのだった。

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春になりメダカも出てきた池

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〈おまけ〉ジンチョウゲ咲く




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2023年03月12日

早春のビオトープ

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アオサギのいる早春の湿地

三重県の知人を3年ぶりに訪ねた帰り。亀山で、広いビオトープに立ち寄った。
国土地理院の地図を見ていて、亀山市に池が数か所並ぶ場所があり、これは人の手で整備されたビオトープではと思ったが詳しくは調べず、たまたまそこを通りがかったのだった。
車を1号線のバイパスの脇に進ませると「亀山里山公園みちくさ」とあった。
春の芽吹きがようやく始まろうとしており、訪れる人もいない。

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うごめきの見えた小さな池

でも静かなのでゆっくりと見て回れる。
どのような風に池を造っているのかを見た。
それは田んぼの跡地のようだった。
魚のうごめきが小さな池からあった。オタマジャクシかもしれない。

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水草の芽生え

全体に水が少なかったが、これからどこかから流してくるのか。

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小高い場所から見る

案内所のおじさんに話をうかがった。
やはりここは休耕田で、2008、09年に、谷地形の3.5ヘクタールを市が整備した。
これだけ広かったら、管理が大変でしょうと尋ねると、「いや、草は生やしとくから、そんなに大変ではないよ」とおじさんは答えた。
いや、でも、木は伐採とかしてあるし、水の管理も大変なのではないか。
おじさんによると今はザリガニの除去が課題となっているという。
特定外来生物に指定されたザリガニは、捕った場所から移動させることが禁じられた。
この公園では以前からザリガニ駆除として子供に手伝ってもらい、ザリガニ釣りを行い、子どもは熱中して取り組んでいたが、今後は持ち帰らすわけにはいかなくなったのだと。

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小魚たち

小魚もいる。カワムツや、タナゴ、クチボソのようなやつが水槽を泳ぐ。
メダカもいるんだそうだ。カワバタモロコが減っており、これを増やすことも課題となっているという。
ちなみに魚の捕獲は禁止である。

早春だったため、あまり花とかは見られず、静かだった。
こういう季節だからのんびりと歩いて回れるのだが、4月ともなれば、さまざまな行楽などが忙しく、せっかくこうしたビオトープで生物観察に適した季節になっても、なかなか来ようという気になれない。


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2023年03月05日

西宮貝類館

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西宮貝類館

兵庫県の西宮貝類館に初めて行った。
国内外の貝類2000種類を展示する施設ということで、貝類ファン必見の施設ではないだろうか。
以前から訪れてみたいと思っていたが、場所が駅から離れた埋立地にあり、躊躇していたが、早春のこの日に車で行ってみた。
無料の駐車場が3台分あり、日曜日でも停めることができた。
建物は貝類をイメージしているのか、二枚貝の水管、または巻貝の殻口を思わせる回廊に吸い込まれるように入った脇に入り口があった。
安藤忠雄設計で、阪神大震災から4年後の建立だ。

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入口の展示

玄関の展示は大規模で迫力があった。
世界の貝類を一目で見れるように展示してあった。

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貝拾いも(持ち帰ってはいけない)

台の上は貝類が散りばめてあって手に取ることができる。
貝殻でできた浜のようだ。来館者の子どもが夢中になって遊んでいる。これはいいぞ。

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ピンクガイ

大きいやつもあるぞ。ピンクガイは、巨大なつやつやした唇のようで、ずっしり重い。

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頭足類であるアオイガイ

頭足類のアオイガイも。これは、殻のあるタコイカ類である。
昔、幼少時に鳥取県の母方の祖父母の家に飾られていた。
3〜4歳の頃、古い家屋の薄暗い部屋の中、棚のガラスごしに白い殻が浮かび上がっている映像が断片的に頭の中に残っている。
その数年後、小学校の高学年となって貝拾いに目覚め、海辺の祖母の家に貝拾いを目的として通うようになった。あの飾ってあった殻はどこにしまってあるの、と祖母に尋ねたら「家を新しくしたときに割れちゃって捨てた」と明かされ、がっかりしたことを思い出す。
浜で打ち上げられていたのを拾って来たものだというが、あれから約40年、浜辺をうろうろしているが、いまだにアオイガイの殻を見つけたことはない。

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採取地が記載された標本箱

館に展示の貝類、採取地はフィリピンが多かった。
国内では沖縄か、本州では潮岬の周辺。
やはり貝は、南洋に行くほど色・形が派手になっていく。
北は北で、北方産貝類の美しさの基準があるとは思うのだが、どうしても南方の浜で貝拾いをしたほうが楽しいような気がする。
そういうわけで貝拾いが自分の楽しみになるとともに、南方の浜へのあこがれを抱くようになった。
いつかヒマになったら日数をかけて鹿児島の大隅・薩摩半島とか、浜が広そうな種子島とかの海岸を数日かけて回って誰にも邪魔されず貝拾いに没頭したい。このようなことを思って忙しい日々の慰めにしていたものである。
ここ数年は中断しているが、冬場の恒例となっていた貝拾い活動では、在住の滋賀県から主に伊勢方面を目指し、志摩からさらに南方に進み、ある年には三重県境を越えて和歌山県の新宮まで至ったが、展示を見る限り貝類採集はやはり、潮岬にとどめを刺すようだった。
潮岬まではさすがに遠く、滋賀からは泊りがけで行くことが求められるが、いつかは目指してみたい本州最南端の貝の「聖地」。

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角が生えた二枚貝も

世界の珍奇な貝類もあり、生物の不思議をいろいろと思う。

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螺鈿フィッシュ

アワビなどの殻の内側の光沢を板状に薄く剥いだものを張り合わせる螺鈿細工も、私が好きな工芸だ。
これは螺鈿で魚を形作った工作だった。
堀江謙一さんのヨットも展示されている。大洋の荒波に耐える堅牢な室内は、巨大な貝殻を思わせた。

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貝殻が並ぶ内部

貝に魅せられた関西の研究者やコレクターによってつくられたコレクション。
カンブリア紀の生物爆発のように、1990年代日本では全国各地で博物館の爆発的な開館ラッシュがあった。ここ兵庫では、阪神大震災の復興事業が取り組まれ、貝類の殿堂が誕生した。
貝殻は、中の軟体動物が分泌した骨のようなものだが、コレクターにとって興味があるのは貝殻で、中の軟体は余分なものとして忘れられる。ビックリマンチョコとシールの関係に例えられようか。
貝を採取するとき、貝殻の真の形・色の鮮度を得たいと思えば、生きた状態で捕獲し、中の肉を煮るなりして殺して取り出すのが本筋だとは思うのだが、生きている貝を殺すにはしのびず、また、浜辺に漂着したのを拾うほうが、生きていたものが死んで海によって浄化され、純粋な「貝殻」となっているような気がする。
静かな館内にしばし時間を忘れて見入った。



posted by 進 敏朗 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 貝拾い記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする