2020年01月23日

三重県総合博物館探訪

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渡り廊下を通って博物館へ

1月も下旬だというのに、雪がまったく降らず雨の日が続く。
未曽有の暖冬。このまま立春を迎えてしまうのだろうか。一体この先、どんな春、夏が待っているのか。

雨のなか三重県総合博物館に行くことを計画。

そこには三重県の地質とかの展示もある。
滋賀県と三重県とは隣接してるが、山で隔てられていることもあって、近くて遠い場所だ。
しかし地質などは、滋賀県の湖東側と、三重県の北半分はなだらかにつながっている。それを見たい。

滋賀県南部の自宅からは、距離にして70`とそんなに遠くはない。
三重県の南勢地方に住んでいる人よりもむしろ近いかもしれない。

高速道路を使わずとも、最近の広くなった国道1号や三重の県道を走れば、1時間半くらいで着くかと思ったが、鈴鹿峠をおりた関から先、伊勢自動車道が通行止めとなって高速道から降りてきた車列に巻き込まれ、数キロ先の次インター入り口まで牛歩を余儀なくされることに。

渋滞を抜け、田園を直進する4車線道路をバーミヤンの先で右折すると、低い丘陵に道路に面して、まるで見せつけるように真新しい県立図書館があり、道をはさんでこれまた新しい建物の博物館が現れた。

ちょうど滋賀県の瀬田の文化ゾーンのような場所だった。

立体駐車場から、道路をまたぐ渡り廊下を伝って、博物館に入った。

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おしゃれな館内

開放的なガラス張り、吹き抜けにはモビールが吊るされ、机やいすも一組ずつデザインを違えるなど、おしゃれさが目立つ。
三重県総合博物館は2014年の4月竣工。
見つけた資料によると延べ床面積10800メートル。
地中熱利用で冷暖房の消費電力を大幅に減らすヒートポンプシステムを備えた新鋭建築だ。
まさに居心地のよい快適空間といえるだろう。

これで観覧料(基本展示)は520円。
企画展が見たい場合でも、合わせて800か900円そこそこ。
これで半日すごせるとは、ずいぶんお得な施設だ。

真新しい快適な館に、この冬場の平日、常設展示(同館では基本展示の呼称)を見に来る人も少なく、ほぼ館内を独占した状態に。

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ミエゾウ骨格模型

エントランスの目立つ場所に立つのはミエゾウの骨格模型。
350万年前の伊賀地方の古琵琶湖層から、足跡や骨の一部が見つかり、体高が4メートル近くもある大きなゾウだったという。
琵琶湖の起源となる伊賀湖は三重県にあったのだった。
滋賀の多賀町で全身骨格が見つかったアケボノゾウのレプリカもあった。
アケボノゾウは体高が2メートルしかない。
子供だからではなくて、ミエゾウが時間をかけ小型化して日本列島仕様になったものがアケボノゾウだという。
同じようなゾウの化石に見えて、両者には約200万年の時間の開きがあるというから、同時には生息していなかったのだった。

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地質の展示

基本展示では、地質の展示に力が入っていた。
「寄せ木細工の三重の大地」という展示がある。
地質の違いによって、カラフルに色分けがされた紀伊半島。
その紀伊半島の真ん中で、左から右にすっぱりと、色が変わる線が走っている。
それが中央構造線。

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中央構造線の説明展示

中央構造線の露頭が三重県内で見られる場所が地図で示されていた。
かつてこの線を境に、南側の陸地が北側に対してどんどん横ずれしてきて、ほんらいなら隣り合うことのない茶色と黒のふたつの地層が隣り合うことに。
筆者も松阪市の月出の露頭を見に行ったことがあった(2016年10月20日記事「中央構造線の露頭」参照)。
まさに日本列島が寄せ木細工のようにして形成されたことを示す大きな証拠。
三重県内では数か所で露頭が見られるとあって、力を入れて特集していた。

地質についての説明は詳しく、地層を立体的に図示し、少ない字数でまとめられていたが、専門用語が割と見られ、その用語についての説明がなかったり、どこかにはあったかもしれないがすぐ横にはなかったりして、説明文と図解とを何度か見比べて、ようやく「この説明はこういうことを指しているのではないか」というぼんやりした思いに至るのだった。

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画面に「メランジュ」の文字がフラッシュ

県内で見られる岩石も、いろいろと紹介。
メランジュとは、基盤の岩のなかに、石灰岩とか、チャートとかちがう岩石がまざって見られる泥岩や砂岩のことだった。岩石の映像に「メランジュ」という文字がフラッシュのように現れて、目に焼き付いた。
まじめにわかりやすく、解説している動画から漂う雰囲気。
余韻のようなもの。こんな時間は博物館の中にしか流れていない。

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ジュラ紀の付加体写真パネル

こちらは「ジュラ紀の付加体」という。
付加体、この言葉を、なんども見かけた。

いずれも、海底で、海洋のプレートが沈み込んだ際に、いろんな起源の違う岩石がまぜこぜになって、つくられた地層が県内で見られるのだそうだ。

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鈴鹿山脈をはさんだ地層

上の写真では、鈴鹿山脈をはさんで、左は滋賀県、右は三重県。
地質の色や模様をみると、地続きの土地だったんじゃないかと思わせる。
鈴鹿山脈というもが真ん中に立っているから、滋賀、三重と隔てられている格好となっているが、山脈が盛り上がる以前には一様に平たい土地が広がっていたと推定されているそうだ。

こないだ琵琶湖博物館でみた、新種のタニガワナマズは、三重県北部の川の中流で見つかり、琵琶湖にすむイワトコナマズに似ている魚だった。もともとは同一種の魚だったものが、鈴鹿山脈、琵琶湖の発生という地形の変化が、種の分化を引き起こしたようだ(2018年9月23日記事「タニガワナマズ」参照)。

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松名瀬干潟の説明

生態についての展示や、歴史文化の展示もあった。

琵琶湖博物館なら、A・B・C展示室に分かれているものがひとつの展示室で紹介されている。
展示室の規模は半分以下だろうか。
県自体は三重県のほうが、滋賀県よりもだいぶ大きいが、滋賀県にとっての琵琶湖にかける熱意、あるいは琵琶湖の存在感が、他県では例がないほど大きかったのではないだろうかと思わされる。

生態展示で取り上げられていたのが大台ケ原や、伊勢湾の松名瀬干潟だった。
大台ケ原は日本一の多雨地帯だそうだが、根が「下流」志向の筆者は、もっぱら干潟の展示のほうをみた。
松名瀬干潟には、河口干潟、潟湖、砂浜、前浜干潟、アマモ場といった干潟の要素がそろっていて、まさにザ・干潟というべき、伊勢湾を代表する干潟なのだという。潮干狩りで何度か足を運ぶけどたしかに広くて気持ちのいい場所だ。

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満潮時の干潟をいくボラのはく製

干潟、そして海というものは、内陸県の滋賀にはないから、こうした展示は、三重県総合博物館の倍の広さはあるだろう琵琶湖博物館でも、見ることはできないのだった。100万年前の滋賀の外海だと思って鑑賞。

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海産貝類の標本

海産の貝類標本もあって、うらやましい限り。
三重の海ではいろんな形をした貝がとれるんだなあ。


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企画展カタログ

そして企画展カタログのデザインは、琵琶湖博物館では見たことのない優美さだった。
貝類の生態や、植物の形態に注目した内容で、2冊を購入。
三重県総合博物館、そこは三重県の地質や自然文化が学べる快適空間だった。
暖冬が続けば、鈴鹿峠も凍結することはないから、冬場でも訪れやすいだろう。


posted by 進 敏朗 at 00:00| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月09日

田上隕鉄

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日本各地の隕石の展示

ここは東京・上野の国立科学博物館。
前日、巣立ちの時を迎えた者に同伴しての住まい探しミッションが完了し、この日は完全なお上りさんとなって訪れた。

開催中の企画展「ミイラ展」は、世界各地からミイラが集合し、観賞は個人的には、生理的にうけつけない部分もあったものの、常設展示は密度がすごくて圧倒された。
生物・鉱物といろいろあったが、一角に日本各地に落ちてきた隕石の展示があった。

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田上隕鉄

その中の下段右端に、大津の田上山地で見つかった田上隕鉄の実物が何気に置かれていた。


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田上隕鉄の説明

明治時代に見つかった田上隕鉄は、重さが174キロもあって国内で見つかったものでは最も重いんだという。
いつ落ちてきたのかは定かではないが、明治時代の田上山といえば、トパーズとか水晶とか、宝石探しが盛んだったと思われる。
その中に出てきたこの隕鉄、鉄のニッケル合金なのだと。研究に使われたのか、チーズを切ったみたいに切り欠きがある。

たしか、琵琶湖博物館に、この形をした石の展示があったような気がする。この隕鉄のレプリカだったのかもしれない。
本物が東京に持っていかれている。
野洲で見つかった日本最大の銅鐸もそう。
地元では本物は見られない。
東京に何もかもが集中している実情に期せずして触れた。

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岩石がどこでできるかを示した模式図

しかしこの科学博物館、キングオブ自然系博物館というか、とにかく質、量ともにすごくて、とても全館見きれない。
展示は、非常にわかりやすくできていて、上の写真の岩石の生成される地中の場所とか、文字なしでとてもわかりやすかった。

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ホタテ貝類の標本

貝類の展示もきれいで詳しく美しい。洗練された展示。
とにかく東京には「知」も集積しているんだなということを実感。
ひとつひとつの展示の洗練が、それを痛いほど強調している。

地元のものが地元で見られないのは残念な気がする一方で、こうやって首都に来ればすべての知が一望にできる環境は、問答無用で断罪されるべきかというと、そうとも思えない。あながち悪いことではないという気もする。。
まあ里帰りとか、そういう機会は増やしてもらいたいが。
若いうちに東京ですごすことができる人にとっては、最先端のものに触れられることは確かだ。









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